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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第四章「隻腕アヴェンジャーと奪還キャッスル」
48/175

『悪道替々のドキドキ蠱毒講座』

前回のあらすじ

中年、隠し事が沢山


 ①


 尾方が生き返る少し前、アジトの中を奥へ奥へと進む影が一つあった。


「やれやれ、よりにもよって筋肉の天使とは...。我が組織も運がないなー」


 溜息を付くその老人の名は悪道替々。現メメント・モリのたった二人の戦闘員の片割れである。


「あの場は尾方に任せよう、うん。私にはとてもじゃないが筋肉の天使の相手なんて無理だろうからさ。ここは適材適所で行こう...つまり」


 替々はとある大きな扉の前で立ち止まる。


「私のような非力な戦闘員は情報収集に勤しむべきなのだという話さ」


 そしてその扉の暗証PASSを事も無げに入力すると、悠々とその中へ入っていった。


「ふむ、やはり私の見立て通り、ここは悪海組も使えなかったようだね。埃被っちゃってまぁ...」


 そこは無数の電子画面が所狭しと展開されたモニタールームであった。


 このアジト内に無数に設置された監視カメラの映像はここで全て確認することが出来る。


 替々は中央の席に座るとモニターの電源を付ける。


「さてさて、状況確認状況確認...と」


 無数の画面に目を走らせる替々は、いくつかのモニターに絞って正面の画面にそれを表示させる。


「これはまた...想像以上の混沌っぷりだなぁ...」


 映し出された画面には、悪魔と思われる無数の者が争っている姿が映し出されていた。


 目視出来るだけでも、その数が百を上回ることが確認出来るほどの人数の多さである。


「つまり、國門君が連れてきた兵隊の数を軽く上回る数の悪魔がこのアジトで争っていると言う訳か...」


 敵の戦力はおそらくイーブンであろう。故に争いは今だ収束することは無く、その激しさを増している

 のだろう。


 替々は背もたれに寄り掛かり考える。


「(私の権能と集団戦の相性は正直言って宜しくない。つまり大ボスと言わずとも主戦力と思われる人物の各個撃破が私の出来る最良であるだろう...つまり...)」


 替々はそこから少しモニターを眺めた後、ニヤリと心底楽しそうに笑う。


「嗚呼、楽しいなぁ。悪巧みの時間は実に楽しい。これだけは幾つになっても止められないネ」


 そう言うと、マイクを手元に持って来る。そして放送先の部屋を幾つかに絞ると、そのマイクに語りかける。


『あー、あー、聴こえてるかな諸君。私は、しがない組織の戦闘員をやっている者なんだが』


 突然の放送に、部屋の者達は一様に戦闘の手を止め、ざわついている。


 それを替々は構うことなく放送を続ける。


『理由があって、私は君達の中の実力者とだけ戦いたい。しかし、残念ながら初対面故、君達の実力を私は知らない。だから...』


 替々は手元のボタンをいくつか押す。


 するとモニターに映っている部屋の出入り口が突然閉まり、冷たい施錠の音が響き渡る。


『蠱毒って知ってる?』




 その惨状は惨憺たるものであった。


 替々が悪戯に電気を落としたり、何かを流し込んだりしたせいで各部屋は混乱を極め、


 作者にこの作品のタグに「R-15」を付ける事を決意させる程であった。


 そんなこの世の地獄を、替々は自分の作った作品でも眺めているかのように満足げに眺めていた。


 無論その犠牲者の中に、國門の兵隊が混ざっているだろう事は承知の上である。


 なにがとは言わないが諸々こいつが黒幕なんじゃないだろうか?


 そうじゃなかったとしても、ろくでもない奴に違いない。


 替々は各部屋の生き残りが少数になった事を確認すると、部屋の開錠キーを押した。


「まぁ、これぐらいの人数だったらいいだろう。私はアジトの大会議室にいるから、好きに来るといいよ」


 替々は自分が居る部屋とは全く関係ない部屋を指し示すと、大会議室に一定数の人数が入ると施錠をするよう設定をし、通信司令室を後にした。


 実に機嫌よさげな替々は、鼻歌交じりにアジトを奥へと進む。


 その背後に、足音が一つ近づいていることには気づかずに。




『悪道替々のドキドキ蠱毒講座』END

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