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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第四章「隻腕アヴェンジャーと奪還キャッスル」
47/175

『good_morning』

前回のあらすじ

地獄の断頭台

 ①


『......がた...尾方!!!』


 自分へと向けられた呼び声に尾方はバッと飛び起きる。


 尾方は頭を振って一呼吸置くと声に答える。


「ふぅ...大丈夫。ごめんねヒメ、おじさん歯が立たなかった」


「そんな事はどうでもよい! 無事なのか...!!」


 その声に真に迫るものがあった為、慌てた様子で尾方が聞き返す。


「...! ヒメ! おじさん何分寝てた!?」


『...五分程じゃ。いつもはすぐ起きるのに全然起きぬからワシは...ぐしゅ...』


 尾方は腕時計を確認する。


「...いや死んだ時間分かんないや」


 ケロッとしている尾方。


『なにを呆けてるんスかおっさん! 大丈夫なんスよね!』


 そこへ葉加瀬からガツンとした通信が入り、尾方はタンッと立ち上がる。


「ごめんごめん、見ての通り大丈夫だよ」


 尾方は軽く屈伸してみせる。


『心配させないでくださいッス! なんですぐ起きないッスか!?』


「いやね、単純に立て続けに戦えば勝てる相手じゃなかったって言うのと...」


 そこで尾方は言葉を詰める。


『尾方...?』


「いや、ごめん。実は少し迷ったんだ。本当にごめん」


『迷う...なにをじゃ?』


「...いや、言葉のとおり世迷い言さ。流して流して」


『...?』


「さて、遅れた分を取り戻さないと。まずは合流かな」


 尾方はアジト内へと向けて足を進める。後にドローンが続く。


「そういえばメメカちゃん。一ついいかい?」


 歩きながら尾方が質問する。


『はい? なんッスか?』


「さっき天使からの攻撃を肘で受け止めた際なんだけど。なんか電気? みたいなのがバチッ! としたんだよね。アレなんだったのかな、分かる?」


 葉加瀬は少し考えてから答える。


『あー多分、左手の義手の中にいる私さんの反撃ッス。彼女がこの世界に干渉する際には金属を通して電気を使うッスから』


 尾方は左手を見る。


「そっか。ありがとうメメカちゃん」


『お礼ならそっちの私さんに言うッスよ。私さんとそっちの私さんは同じようで全く違う存在なんス』


 尾方は一瞬成る程という顔をしたが、直ぐに俯いて少し考えると苦笑する。


「どっちにもお礼を言わせて貰っていいかな? おじさんどうにも区別出来そうになくて」


 葉加瀬は少し間を置いて答える。


『んー、まぁ増えるものでもないですし。いいッスよー』


「おじさんのお礼ぐらいじゃなにも増えないのね...」


『私さんは曲りなりにも科学者なんで、目に見えるものしか数えられないんスよ』


「あ、葉加瀬技術局長の口癖だ」


『しまった! やぶ蛇ッス!』


「実の父親を蛇扱いかいな」


『事実蛇っぽかったッスあの人、ねぇ』


「ねぇ、じゃありません。おじさん真面目な一般戦闘員なので上司の悪口なんか言いません」


 ここで姫子が堪らず割って入る。


『こ、こら! ずるいぞ! 二人で懐メモに花を咲かせおって! ワシが混ざれんではないか!』


「懐メモってなに?」


『懐かしいメモリーの略ッスよおっさん』


「と、とにかく! 急ぐぞ尾方! お主が寝てる間にも地響きが何度も来たのだ! もたもたしておる暇は無いぞ!」


 姫子に促され、尾方は少し早足になる。


『あ、おっさん。最後に一つだけいいッスか?』


 葉加瀬が少し慌てたように言う。


「うん? 一つだけだよ、ヒメが怖いから」


 通信の向こうから姫子の唸る様な声が聞こえる。


『おkッス。本当に一言の質問ッスから』


 葉加瀬はそう言うと、一呼吸置いて再度口を開く。


『なにか隠してるッスか?』


 その言葉に、尾方は一瞬足を止める。


 しかし直ぐにまた歩み始め、ケロッとした顔で言う。


「さてね、どれのことかな?」


 尾方はそういうと早足を駆け足に変え、アジトの中を奥へと進んで行った。



『good_morning』END

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