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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第七章「二度咲きルーザーと廻天カンパニー」
149/175

『参劫正装』

前回のあらすじ

 お前が悪い


 

  「なんで國門君まで着いて来てるの!?」


  蹴り飛ばされた尾方は勢いよくガバッと起き上がって言う。


 「じゃかあしい! もう一発蹴らせろ!」


 「会話が破綻してるよ国門君!」


 「人格破綻者に言われたくないわ!」


 出口から遠く離れたスタジアムの中央付近で尾方と国門がわちゃわちゃしていた。


 その傍ら、ショックから立ち直るために軽く、いや、強く頭を振った二人の天使は、尾方と国門に向き直る。


 そしてその一人、見上天禄が口を開く。


「さて、色々言いたいことはありますが、良しとしましょう。結局のところ、屈折の悪魔さん。貴方が殺せればメメント・モリはそれだけでお終いなんですから」


「買い被るねぇ天禄。結局僕では大したことは出来ない事なんて知ってるでしょ?」


「……」


 三者三葉に言いたいことがありそうな三人がこの場に居たが、全員あえて沈黙を貫いた。


 再び見上が咳ばらいをして口を開く。


「神の御前です。早々に決着を。いや、裁定を終わらせましょう」


「神には目もくれず良く言うよ」


 腰を深く、半身の構えながら尾方は見上の言葉をサラリと流した。


 国門もハンドキャノンのトリガーに手をかける。

 


 その時。


 

 違和感を感じた。


 


 「――――――正装『八咫鏡(やたのかがみ)』、九 一(いちじく はじめ)の銘を以て想起する」

 


 場が出来た。


 いや、搦手収のお陰で少し手間取ったと言って良いだろう。


 それでも場は『ここ』に到達した。


 それは國門 忠堅が知らない。


 それは見上 天禄が知らない。


 それは色無 染が知らない。


 神の正装。


 参劫正装(さんこうせいそう)の仮想顕現。


 参劫正装(さんこうせいそう)


 それは正しい意味での神の残滓。


 神の与えもうたる真なる道具。


 我々はそれを不細工に真似たに過ぎない。


 だから。


 故にその力は、世界の構造に届きうる。


 

 この場の誰も。


 彼も。

 

 足が動かない。


 いや、動かないのではない。


 動かしてはいるのだ。

 

 だが、前に進まない。


 行動に対し、結果を取り上げられたかのように。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 それが参劫正装『八咫鏡(やたのかがみ)』が世界に課す負荷である。


 世界を囲うその鏡は、行動の結果を、合わせ鏡の様に無限に遠ざける。


 行動が残す結果という対価。


 そこへの距離を、限りなく遠くへ吹き飛ばす。


 その負荷の空間は正装を中心に徐々に膨らみ。


 そして。


 二度と戻ることはない。

 


 参劫正装『八咫鏡(やたのかがみ)

 


 世界を上書く無心の規則。


 言葉通り。


 それは終わりを創る正装である。


『参劫正装』END

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