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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第七章「二度咲きルーザーと廻天カンパニー」
129/175

『2222』

前回のあらすじ


清算はレジにてお願いします



視線が揺れる。


「また、だ」


と尾方巻彦は意識せずに呟く。


やっとの事で定まった焦点。


揺ぎない信念ではなく。


揺ぎない執念を持って定めた。


確かなモノ。


それでも揺れる。


それでもズレる。


現実を見ろ。


目の前に広がる無数の死を観ろ。


全ては守れない。


総ては護れない。


選択だ。


選択の時だ。


残るべき価値を。


キミが決めるんだ。


あの時。


麻琴まこと すすむ』を選ばなかったように。


キミが選んで捨てるんだ。


だって。


だって『人類』は、そうやって前に進んで来たのだから。


だから。


だから『キミ』も―――


選ばないを選ぶんだ。




ギュッと目を瞑る。


次に目を開けたときに選択できるように。


グッと足に力を溜める様に。


その場の勢いに乗れるように。


枯れた涙が溢れないように、尾方巻彦は一度スッと天を仰いだ。


その時だった。


仰いだ視線の端に。


目に障るような二束の髪がなびいた。



「我こそはダブルツヴァイツインツーブロック次男坊! 戒位第222躯!! 二枚目の天使!! 弐枚田 弐樹!!!」



「「「「(なんて?)」」」」



場違いという言葉がある。


今この時のために作られたような言葉ではあるが。


しかし、場が違いすぎると。


それは虚となり、数瞬の隙を作ることがある。


まぁその数瞬をこの二の男はポージングで消費する事になるので、代わりに私がこの男の経緯について補足しておこう。


弐枚田についての詳しい話は2の付く副題の話を読んで欲しい。


なに言ってるかわからない?


仕方ないだろそのままの意味なんだから。


まぁその、前回この男は尾方達のために敵一団の足止めをしてフェードアウトした訳だが。


ボッコボコになりながらもこれを撃破。


しかし満身創痍で動くに動けなかったところを偶然通り掛かった血渋木昇が保護。


守本書店に投げ込まれた。


そこを守本一が現れ。


「見込みあり」


と一言。


つい先ほどまで地獄の特訓を受けていたが。


突然、


「仕事よ」


と地図を渡され、シャングリラ戦線に送り込まれたのである。


しかして男はスタジアムのアーチの上で二丁の銃口を眼下に定める。


「何事かとか事態もなんも分かりませんが!! 尾方さんの役に立てるなら本望!!」


「弐枚田君!?」


尾方は慌てて踵を返す。


彼の実力は知っている。


とてもこの戦いに着いて行ける力量ではない。


尾方にとっては、真っ先に守るべき対象に他ならない。


しかしこの距離は尾方を言えども。


しかもその他の面々の前にも、既に色無が。


――――――ッッ!


もう一度尾方が、今度は開けるつもりの無い目を瞑ろうとした瞬間だった。


弐枚田の横に顕れた色無と尾方に向って、正装【二つ結び(ツインテール)】の銃口が定められた。※二丁拳銃の正装。左の銃で撃ったモノと右の銃で撃ったモノの位置を入れ替える。


ダダン!!


瞬間、尾方は弐枚田の隣に位置が入れ替えられる。


そして。


銃を乱射した。


そして無数に放たれた銃弾は、銃弾同士がぶつかり、乱反射の様に位置を入れ替えながら進み。


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!!!!!!!


()()()()()()()()で全ての色無を射抜いた。


――――キィィィィィィィィン


色無の翼が一際強い光を放つ。



「...は?」



何処にでもいる。


何処にもいない。


位置情報の理より外れた色無に。


自分自身との『位置の変移』という情報が外から上書きされた。


つまり、在り得ない数値を無理やり引き出されたのである。


結果、結論は。


誤作動による正装の解除である。



「弐枚田君...今のは?」


眉毛をひくつかせた尾方が質問する。


「複数射撃の同時着弾です。中々のものでしょう。しかしまだ守本師匠にはズレてるって蹴られるんですよ、あはは」


理由も理論も尾方には理解できなかったが、守本の名前が出た時点でなんか悟ってしまい。


ポンポンと弐枚田の肩を叩いた。


「苦労したね」


「いえ、自己研鑽は趣味ですので」


尾方はドン引きした顔で離れた。


再び翼に触れようとする色無に弐枚田は再び銃を向けた。


「もう一回やってもいいですよ。繰り返しも、二回目までなら美しい」


「...一番嫌いなタイプ」

『2222』END

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