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Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~  作者: 姫河ハヅキ


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第八十九話 第二回イベント⑥

ギリギリ10月間に合った······!

視点コロコロ変えるのやってみたかったんですけど難しいですね。思いのほか時間かかっちゃいました。しかもかけた時間の割にクオリティがががが


それでも楽しんでいただければ嬉しいです。

「三つ目ぇ!」


「射出してるそれはどんだけ残弾あるのニャ?」


「ついでに材質とお値段はどのくらい?」


「ミスリルだから結構あるよ。買ったんじゃなくて掘ったりドロップで入手したものだから値段は分かんないかなー」


「『ミスリルだから』······?」


「ウチの国でもこんなポンポン使い捨てにできるものじゃないんだけど」


「おかーさんが普通じゃないのはいつものことだから、気にしない方がいいのですよ」


「考えるだけムダなの」


 今は作戦の第一段階。


セレネ、スノウ(ユリア、ヌル)、マタタビ、もこもこ、リル、イナバ

ユウリ、アイリス(セナ)、ヒバナ、セイネイ、あるとりあ、ヴァルナ


 この二組に分かれて街の魔道具を破壊しつつ追手を南の平原まで引き連れる、という算段だ。

 あ、今のうちにフミさんに連絡しとこ。いけそうなタイミングで城に潜入してください······っと。


「思ったより人来ないね?特にトップ層がいないのはなんでだろ」


「トップ層は大抵クラン所属、しかも大規模クランだから足並み揃えるのに時間かかるんでしょ。こういう街中なら複数パーティに分けるんだろうけど、全体の人数が多いからそれも面倒だろうね」


「やっぱり無所属が気楽だニャー」


 分かるー。


◇◆◇アイリスside◇◆◇


「はい」


「そぉい!」


 魔道具はそれなりに遠くにあるため、普通の魔術で破壊しようとするとそこそこの魔力を射程に注ぎ、さらに魔道具に施された防御機構を突破できるだけの威力を出せるように大量の魔力が必要となる。魔術以外でも相応のリソースを必要とすることに変わりはない。

 できないことはないが、この後にも戦闘が続くことを考えると各種リソースは可能な限り温存しておきたい。

 そこで、威力は十分だが範囲に難のあるヒバナ謹製の爆破物をSTR自慢の俺が投げることで射程を確保、といった感じで魔道具の破壊を進めている。


「······どうやったらあんな遠くのものに投擲で百発百中で当てられるんですかね」


「アイリスの家系、大体おかしいのしかいないので」


「人のこと言えないだろ妹よ」


「「えっ、アイリスが姉!?」」


「まぁ予想通りの反応だが、俺の方が上だ」


 性別に関して言及する気はない。アバターが女なのは事実だしな。


「ちなみに私よりも年上よ、この人」


「「セナよりも!?」」


「······あの、頼んでるこちらが言えたことではないのですが、もう少しなんというか······その······」


「あぁ、すまん」


 そりゃ、自分たちの人生がかかった作戦行動中に、一緒に行動してる奴らが誰が誰より年上だとかの話で盛り上がってるの見たら複雑な気分になるわな。



◇◆◇スノウside◇◆◇


「えっと······本当にいいの?」


「いいよいいよー。どうせ鈍足だから運んでもらわないとだし、私単体じゃ火力出せないかんねー」


 今ボクともこもこさんは、ブラックジャックという武器に似た状況になっている。まずブラックジャックは、皮や布でできた袋の中に硬貨や砂などを詰めて作る打撃武器で、今回は硬貨や砂の代わりにもこもこさんを袋ではなくボクの髪で包んだ形となっている。

 つまりはボクが髪を操作してもこもこさんをぶん回し、鈍器として活用するということだ。

 【戦棍術】は持ってるからメイス判定のブラックジャックも普通に使えるけど、人を武器にして振り回すってのがどうもねぇ。


「『ハイ・エンハンスド・ストレングス』」


「『重量増加(ヘビィウェイト)』、〈我が肉体は鋼の如く(フルメタルボディ)〉」


 ······振り回される当人が乗り気だからいいか。


「あ、混成魔法使うときは何の属性使うか教えてね。さすがに耐性バフないと私でも削れるから」


「しばらくは火と土かな。速さより破壊力重視」


「あいよー。『火の護符(フレイム・タリスマン)』『土の護符(ランド・タリスマン)』」


「敵襲なのです!」


 お、ちょうどいいところに。


「『魔纏:深緋流炎』」


「報酬は俺達が「〈パワー・スイング〉」ぐべらぁ!?」


「おかーさんが髪の毛と魔法だけで殴るときより威力出てる気がするの」


「やっぱ重さは正義かぁ······」


「いたぞ!こいつらだ!」


「「「「「「「かかれええええ!」」」」」」」


「〈トルネード・スピン〉」


「「「「「「グワーッ」」」」」」


「『木槍』」


「『氷槍』」


 ボクがもこもこさんを振り回して大半を蹴散らし、撃ち漏らしはユリアとイナバが魔術でトドメを刺す。

 まだそこまで強いプレイヤーが来ていないので、ボクたち三人だけで対処可能だ。


「アチシの出番ないニャ」


「この段階で近距離専門の人に出番があるのはよくないから、出番がないのはむしろいいことじゃない?」



◇◆◇アイリスside◇◆◇


「アーツ無しで壁走りとかどうやるんです?」


「おや、身内でも初見ですか」


「天井走ってるの見たことあるからまぁ······」


「············獣人って嘘ですよね··················?」


 現実の武術由来だから種族関係ないぞ。

 そうだ、ついでに壁走り以外も見せてやるか。


「うわ、壁キックしてやがる」


「どこぞの配管工みたいな挙動してる······」


「······私もできませんかね」


「「正気?」」


「いや、パルクールとかって少し憧れません?」


 ほう、気になるかあるとりあ。


「んー······お前さん、天宮式の門下生だろ」


「そ、そうですが」


 「なんで分かった」って顔してるな。

 天宮式は大体やってるから見りゃ分かる。


「見込みありそうだし時間あったら教わってこい。格闘術の師範に『菖蒲から聞いた』って言ったら指導してもらえるように話は通しておくから」


「······本名ですよね。いいんですか?」


「何度もパーティ組んでるからお前は信用できる。礼は今回みたいな時にまた力を貸してくれりゃいい」


「ありがとうございます」


「アイリスみたいな挙動するヤツが増えるとか悪夢では?」


「運営の苦労が増えますね······」


「お前ら味方だよな???」



◇◆◇スノウside◇◆◇


「あー、あの二人が揃ってるとかヤバいニャ。まずヴィンセントの防御力と対応力は高いうえに、マチルダは回復のエキスパートだから超めんどくさいニャー。スノウは火力出せる初見殺し持ってるかニャ?」


「手札は色々あるけど、プレイヤーが一般的に持ってる情報が分かんないからどれが初見殺しになるか判断できないかな。【混成魔法】ってプレイヤーの間ではどうなってる?」


「トップ層が数人持ってるくらいで、スノウみたいな複数持ちはいないニャ。アチシが知ってる限りではスノウが持ってる混成魔法とは被ってないはずニャー」


「ふむ。ちなみに空間魔法は?」


「······マジか」


 この反応的に目撃情報すら無しか。

 ところでロールプレイ剥がれて素が出てるけどいいの?


「ならいける」


「報酬はアチシの分から多めに分配するから頼むニャ」


「お金には困ってないけどー······まぁ後で話せばいいか。ごめんリル、もこもこさん持ってて」


「なの」


 もこもこさんをリルに預け、取り出したるはミスリルをベースに少量のオリハルコンを混ぜた弾丸。範囲と有効射程にこそ難はあるが、その代わりに射程内での貫通力と単体火力はボクが作った魔道具の中でもトップクラスだ。


「とある手段でこれぶち込むから、その後に突撃してー」


「大雑把だニャー」


『ユリアはボクとマタタビさんのバフを重ね掛けしつつ例の連携技の準備、ヌルは『智慧の瞳』を限定展開して座標の測定と魔術演算の補助』


『『了解』』


 ボクたち目掛けて降り注ぐ弾幕を相殺しながら魔道具の起動と術式の構築を行う。弾丸から赤と紫、二色の雷が迸り、制御しきれなかった余波だけで辺りの壁や地面を焼き焦がす。


「······それはヤバそうだ。メイジ隊、風と水持ちは合唱で防壁を頼む。『火の護符』『闇の護符』『雷の護符』」


「『ハイ・エンハンスド・デュアル』」


『『『『『水流防壁』』』』』


『『『『『疾風防壁』』』』』


「ここで土系統か氷で壁作ってくれたら楽だったんだけどニャー」


「集団戦のプロならそんなヘマしないでしょ」


 大物二人さえ落とせば残りは烏合の衆かと思ったけど、ただの雑兵ではなさそうだね。術式自体は低位のものとはいえ、あの人数で合唱魔法を瞬時に発動するのは至難の業だ。かなりの訓練を積んだのだろう。

 それに、ボク達の前方に立ちはだかるだけでなく、辺りの建物にも多数のプレイヤーが潜んでいるが抜け駆けしそうなのがいない。統率もしっかり取れている。

 まぁやってやれないことはないかな。この手の集団ってリーダー乙ると途端に連携荒くなるんだよねー。瓦解まではいかずとも、突破できるくらいにはなるだろう。


「向こうは完全に準備しちゃってるけどいいのかニャ?」


「大丈夫。今からする戦法には準備とかほぼ意味ないから。······マタタビさん!」


「はいニャ」


 マタタビさんの突撃と同時に弾丸を放ち、ユリアとヌルの補助を受けながら転移魔法を行使する。


「『雷鳴迸る(ブリッツェン・)不可避の魔弾(フライクーゲル)』」


「あれ、撃たないのかニャ······ニャ?」


「もう撃ったよ。ほら」


「······防壁消えたと思ったらマチルダ死んでヴィンセント瀕死とか本気でどういうことニャ············???」


「気にせずGOGO!」


 A.さっきの弾丸を二人の背後に転移させてまとめてぶち抜いた後、防壁に当てて破壊した。

 ヒーラーのマチルダさんがヴィンセントさんの真後ろにいたのはヴィンセントさんが守りやすいようになんだろうけど、むしろ好都合だったんだよねー。

 ······ヴィンセントさんは仕留めきれなかったけど。ボクの手札の中でもとっておきの初見殺しだったんだけど!


「打ち取ってやるニャヴィンセント!」


「『影の護符(シャドウ・タリスマン)』〈守護者の意地〉」


 あ、『火の護符』を『影の護符』に切り替えた。

 属性系のバフって攻撃系にしろ防御系にしろ種類増やすほど一個辺りの効果量落ちるから現実的な範囲だと三種が精々で、眼前に闇と影持ちのマタタビさんがいるからその二属性は外せない。さらにボクがいるが、今の砲撃でメインは雷と睨んだ。こんな所かな?

 かかった。


「〈属性魔力付与〉」


「っ!?『風の「遅いニャァッ!!!〈漆黒牡丹〉!」


 マタタビさんの攻撃がヒットした直後にヴィンセントさんの目の前に転移。耐性バフがかかっていない氷と火の混成魔法『白冷凝炎(ヴァルコイネン)』を髪に纏わせて斬り付ける。


「〈マーダー・エッジ〉」


「ガッ······!」


 腹に風穴開けられて死なないのはびっくりしたけど、さすがに混成魔法で強化されたアーツ二連続で直撃させたら············なんでまだ生きてるの?

 ボクのアーツ人間特攻乗るやつだったんだけどもしかして人外でいらっしゃる······?

 死んでないならトドメ刺せばいい話なんだけど。はい〈ギロチン・アックス〉。


「ヴィンセントさんとマチルダさんがあっという間に······!?」


 うーん······やっぱりあの二人以外は烏合の衆だね?二人が大ダメージ受けたからって動揺し過ぎでしょ。即死のマチルダさんはともかく、瀕死止まりだったヴィンセントさんを誰もカバーしに来ないとか何考えてるの?

 まぁ殲滅する側としては、今みたいに棒立ちの方が好都合だけどねー。


「メイジ連中も隠れてる奴らも、まとめて片付けようか」


『マスター!』

『スノウ!』


 はっ?長距離砲撃······!?


◇◆◇◆◇◆◇


 建物に潜んでいたR&Jのメンバー達は、スノウが砲撃の光に呑まれた光景を見て暢気に会話をしていた。

 スノウの安否を確認せずに。


「おぉ、これが城の人が言ってた長距離砲台」


「『どうにか上空に相手を打ち上げてくれればこちらで対処する』ってこういうことか」


「一番ヤバい奴はこれで死んだからあtぐぺっ!?」


「······オイ。あれくらって生きてるとかぬわー!」


◇◆◇スノウside◇◆◇


 あー、危なかった。

 セレネからもユウリからも兵器あるとか一切聞いてなかったけど、ギリギリ防御間に合ってよかったよ。


マタタビ『今の無傷で防げるのに自称紙装甲とか矛盾してるニャ』


もこもこ『下手したら私より硬くない······?』 


スノウ『今の四割くらいの出力でも直撃してたら多分乙ったくらいには紙装甲です』


 今の砲撃、部分召喚した《竜装巨兵》の両腕+影属性の『魔纏』で強化した【淫靡なる触手】三本+『紺青呪氷』で強化した髪、この三重防御でやっと防げたくらいだからめちゃくちゃ威力高いよ。

 こっちのグループだともこもこさん以外は直撃してたら乙ったんじゃないかなぁ。

 まぁ生きてたしヨシ。残りの人たち殲滅したら予定通り平原に向かおうか。



◇◆◇アイリスside◇◆◇


「お?お前らが相手か、シユ」


「スノウと違ってアンタらの手札はほぼ知っとる。こっちの勝率はそう低くないと思うで?」


 なるほど。他のプレイヤーとほとんど関わっていないスノウは手札の大半が不鮮明だから、スノウ達の方には防御に長けたヴィンセント共を向かわせたな。よっぽどのものじゃなければ初見殺しにもある程度対応できるあいつは足止めに向いている。ヴィンセント率いるR&Jの連中やその他タンク系もあっちだろうな。

 で、知名度の高さゆえに割と手の内を知られてる俺達の方にはそれ以外、火力や素早さ重視のプレイヤーが来てると。俺やヒバナ相手だと防御ごとぶち抜くからどっしり構えるスタイルより回避系の方が相手しやすい。

 何度も協力したり戦ったりしてるから対応が慣れてきてるな。


「ま、手の内を知られたくらいじゃ負けねぇよ。なぁヒバナ!」


「『我流術式:火炎蜥蜴(サラマンダー・)の群れ(スウォーム)』」


「なっ······!?『五行相生:三連結』『蒼渦壁・三重』」


 騙し打ちのようにプレイヤー・NPC関係なく放たれたヒバナの魔術をシユは咄嗟に広域防御魔術で防いだが、その隙にスノウから預かっていた魔道具を起動して視界と音を奪う。


「『静かなる夜(サイレントナイト)』」


「NPCを巻き込むなんてアンタららしくーーー


 この魔道具は出力と範囲を高めた代わりに敵味方の識別ができないが、こちらの陣営はセナがこっそり待機させていた暗視魔術で視界は良好だ。会話はパーティチャットで事足りる。

 

アイリス『俺がキキョウとラナ、あるとりあがジークとティオナ、ヒバナがレンとカナデ、あとは臨機応変に!』


あるとりあ『承知』


ヒバナ『りょ』


セナ『私は?』


アイリス『ひとまずは俺に付いて待機。いつでも支援や回復できるように準備しといてくれ』


セナ『はいはーい』


 俺とあるとりあは〈瞬間装備〉を発動して装備を奇襲・暗殺に適したものに変更。

 俺は黒いポンチョにビキニみたく布面積の少ない上下、と創作で見るような暗殺者装備へ、あるとりあは青い帽子にマフラー、ジャージ、そして黒いショートパンツとパッと見暗殺者からはかけ離れた装備へと。

 ······あのコスプレ衣装、絶対プレイヤー製だよな。かなりクオリティ高いから誰が作ったか気になるな。

 いけね、今は作戦行動中だ。気にせず自分の仕事をこなしますか、っと。

 すぐさまそれぞれのターゲットへと飛び掛かる。


「(〈ギロチン・アックス〉)」


 キキョウが構える大盾を壁キックで掻い潜り、斧で首を刎ねる。その勢いのままラナに向かおうとしたところで『静かなる夜』の効果が解除される。

 思ったより早かったが、俺達は既にそれぞれがワンキルできている。流れはこっちのモンだ。


「ん?おっと」


 殺気を感じたので屈むと、頭上を「呪いの武器ですよ!」と言わんばかりの禍々しい大剣が通り過ぎる。

 キキョウは殺ったはずだが······は?頭ない状態で動いてやがる。

 どうなってんだこいつ。


「お前、いつ人間やめた?」


「ここまでした不意打ちを当然のように避けるアンタの方が人間辞めてる気がするけどなァ!?」


「ハッ、殺気を消してから出直してこい」


「無茶言うな!」


 いやー、マジでどうなってんだこいつ。

 タンクは食い縛り系スキルを持ってるのが普通だが、首チョンパした場合はその手のスキルは発動しない。しないはずなんだがなぁ······?

 つーかその状態でも喋れるのな。デュラハンかお前。

 ······あ、デュラハン。


「えいやっ」


「ぬがっ!」


 なるほど。こいつ今アンデッドだな?アンデッドはHPさえ残ってれば手足切ろうと首切ろうと死なないし、聖属性のエンチャントが施されたフォークの通りがいつもよりいい。


「〈不死殺し〉」


「アタシもいるってのにそのアーツはふざけてんの!?」


 〈不死殺し〉はアンデッドを殺すためだけのアーツ。アンデッドに対しての与ダメージは跳ね上がるが、アンデッド以外、つまり生物への与ダメージは著しく下がる。それこそ、俺のSTRでもゴブリンをワンパンできなくなるくらいに。

 なら話は簡単だ。

 相手をアンデッドにしてしまえばいい。


「ほいさ」


「なんだこの札?······熱っ!?」


 アイテム名【キョンシーのお札】。貼った相手の種族を一時的にアンデッドへと変えるというものだ。効果時間は「貼ってから一定時間」だから剥がしても無駄だぞ。

 アンデッドには火、光、聖がよく効くから火魔法と格闘術を併用するお前は自爆するよなぁ?


「『対死霊結界』」


「ぐぅっ······!?」


「何これ······!」


「セナ!」


「『燃え盛る刃』」


「〈ブラッディ・クライシス〉」


 対アンデッドに特化した結界を【封術石】で張って二人の動きを止め、俺が持つ中で最高火力かつ最大連撃数を誇る斧系乱舞アーツでまとめて細切れにする。

 よし、死んだな。あとはシユぶっ飛ばしてここを突破するか。

 シユの本領は指揮官だからな。生かしておくと後々がめんどくさい。

 ちょうどティオナを初見の戦法で屠ったあるとりあと共にシユの元へ向かう。


「次 は お 前 だ」


「ご覚悟を」


「アタッカートップ層二人がかりとか無理やねんけど!?」


 叫びながら魔術用意してるの分かってるから油断はしないぞ。


「俺達がクランマスターを守グハッ」


「少しでも時間を······あ、これ無理でござっ!?」


「せめて一撃でっ······!」


「あ、お前の回数制食い縛りは把握してるからその分刻むわ」


 死んだと思わせて魔術ぶつける算段なのは察してる。こいつの常套手段だからな。


「そりゃ知っとるよなー!」


「「〈ビースト・スレイヤー〉」」


 よし、一番厄介になりそうなのが排除できた。


「ヒバナ、無理やり突破するから殲滅頼むぞ」


「おうよ。あ、セイネイさんバフくれ」


「~♪」


〈演奏:祝歌・攻火〉


 この後も激戦になるだろうな。できるだけリソースは温存しておきたいところだ。


・初出アーツ&魔術解説

『重量増加』:【防御魔法】系統で習得する無属性魔術。効果はその名の通り。

〈我が肉体は鋼の如く〉:【盾術】系統で習得する防御系アーツ。物理耐性と魔法耐性の両方が上昇するが、AGIと移動速度が著しく低下するので自力ではほぼ移動できなくなる。

『〇の護符』:【防御魔法】系統で習得する属性耐性バフ。

〈パワー・スイング〉:【棍術】や【槌術】系統で習得する打撃アーツ。ただぶん殴るだけのシンプルなアーツだが、出が早くて硬直も短く、さらに軌道は使用者の自由なのでシンプル故に利便性が高い。

〈トルネード・スピン〉:【棍術】や【槌術】系統で習得する打撃アーツ。カー〇ィのハンマーのDA的な感じ。

〈守護者の意地〉:【盾術】系統で習得する防御系アーツ。HPが少ないほど防御力上昇。

〈マーダー・エッジ〉:【片手剣術】、【短剣術】系統で習得する斬撃アーツ。「人間」範疇生物(普人もエルフもドワーフも、というかプレイヤーが選択可能な種族は全て該当)に対してダメージ上昇。

〈ギロチン・アックス〉:【斧術】系統で習得する攻撃系アーツ。首に当てた時威力上昇。

『五行相生:三連結』『蒼渦壁・三重』:魔法の派生系スキル【陰陽術】に含まれる魔術。後々【陰陽術】についての解説をするので今回は割愛。

『我流術式:火炎蜥蜴の群れ』:ヒバナのオリジナル魔術。大量の追尾機能付き『火炎弾』を放つ。

『燃え盛る刃』:武器に一定時間火属性を付与する魔術。【付与術】系統の〈攻性付与・火炎〉より効果量が少し高いが、消費MPも高く、効果時間は短い。

〈ブラッディ・クライシス〉:【斧術】系統で習得する乱舞系アーツ。〈アイソレーション・ブレイドダンス〉より威力は上だが、〈アイソレーション・ブレイドダンス〉より高い消費MPと、より大きい反動に耐えうるVITが要求される。アイリスの場合は、VITは余裕だがMPは別のスキルで賄っている。

〈〇〇・スレイヤー〉:特定種族に対して与ダメージが高い攻撃系アーツ。どの武器でもその種族をしばき回していれば習得する。

〈〇殺し〉:〈スレイヤー〉系のアーツより与ダメ増加の効果量が高いが対応する種族以外への与ダメは下がる。

※実は【棍術】や【槌術】はアーツが割と共通。


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― 新着の感想 ―
>スノウ『今の四割くらいの出力でも直撃してたら多分乙ったくらいには紙装甲です』 一般プレイヤー達(俺達だと1割の出力でさえ防御抜かれて乙りそうなんですが、それは……)  こうかな?
何かお久のお久で続いてるから今何処らへんか忘れてたけど(ʘᗩʘ’) 今の所、苦戦も苦戦らしい相手が出てきてないって所か?(٥↼_↼)
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