第八十四話 第二回イベント(実質第一回)①
例によって例の如く投稿が遅れた姫河ハヅキです。しかも文字数少なめ。
課題が多い······しかも難しい············
短めであろうと頑張って月一更新(翌月に割り込む)はするつもりなので気長に待っててください。
ちなみにサブタイトルは、ゲームとしては二回目のイベントだけどスノウがイベントに参加するのは初めてなので実質一回目、ということです。(念の為)
時は過ぎてイベント当日。イベントフィールドに転移してから止まらない周りからの視線が気になる。
「隠す気のない視線の数よ」
「まぁ俺達美少女だからなー。現実と違って顔は隠してないし露出は多いし、そりゃ視線集めるわ」
「前から思ってるんだけどその自信どこから来てるの······?」
「慣れと思い切りとしか言えん。フードや帽子みたいな被り物か前髪で隠せばどうにかなるお前と違って、俺は頭から足先まで隠さないと目立つ見た目で生きてきたから、そこら辺の対応や心構えは慣れてるんだよ」
「そっか、そうだよね」
現実におけるボクの姿で最も目立つのは髪や肌ではなく、虹彩異色症による榛色と紫色のオッドアイだ。
昔は日本人の大半の地毛は黒色だったが、近年は黒以外が増えてきているため、染めずともボクの栗色の髪は珍しくなかったりする。肌だって色白な方だが一般的な日本人の範疇に収まる程度だ。
とはいえ父さんみたいなアルビノは今でも滅多におらず、外出しようものなら嫌でも目立つ。ウィッグにカラコン、マスクと長袖長ズボンくらいの対策をすればアルビノを隠した外出が可能だが、一年通して取れる対策ではない。夏に熱中症でぶっ倒れるのが目に見えている。
また、アルビノを隠して生活するのはほぼ不可能と言える。例外なく肌が紫外線に弱く、視力や運動など何らかの障害が出ることが多いため周辺の人や学校などによる配慮を必要とするからだ。幸い、父さんの場合は障害がほぼなかったが、それでも肌が紫外線に弱いことには変わりなく、体育の授業を始めとした屋外での活動の際には特別措置を取ってもらったのだとか。
なお、スタミナが異様に少ないがそれは星宮の血によるものである。
「街に入ったら少しはマシになるだろ。行くぞー」
「うーい」
◇◆◇◆◇◆◇
「視線減らないんだけど。むしろ増えてるんだけど」
「······俺達の知名度を計算に入れてなかったな」
巻き込まないでもろて。
イベントは参加してないしフレンドは一桁だし、ほとんどプレイヤーと関わってないボクが有名になる機会があるとでも?
「ほぼ人前に出てないボクの知名度とは」
「数少ない登場でもう立派な有名プレイヤーだぞお前」
「え゛」
「一旦撒いて変装でもしないと、買い食いも情報収集も無理そうだな。路地裏行くか」
「既にボクが有名という話について詳しく!」
知名度上がる出来事にマジで心当たりないんだけど!?
◇◆◇◆◇◆◇
「この団子うめぇな。多めに買っとくか」
「良い食いっぷりだな、熊のお嬢ちゃん。大量に買ってくれるってんだしおまけをやろう」
「やったぜ」
「竜のお嬢ちゃんとその仲間たちもだ、ほれ」
『このおじさんいい人なの!』
『···至福』
『たくさん食べるのですよ!』
髪を赤く染めて装備を中華風のものに変え、おまけに弱めの認識阻害がエンチャントされたアクセサリーを付けて変装を施したボク達は、何食わぬ顔でイベントの情報を集めつつ屋台を楽しんでいるところである。
テイムなり召喚術なりで従えているモンスターを街中で外に出すというのはいつもなら禁止されているが、イベントフィールドだからなのかこの街では許されているため、リル達には獣状態ではあるものの存分に買い食いを楽しませることができるのだ。
人状態だと美幼女三人衆だから目立っちゃうんだよねー。
『うっかり喋らないようにねー』
『私も食べたいんだけど!』
ユリアはねー。珍し過ぎてリル達を人化させて美幼女三人衆をお披露目させたとしても、なおユリアの方が目立っちゃうからねー。
『ユリアの分も買ってあるから······。後で人目に付かないところで食べさせてあげるよ』
『リル達はあんなにおまけもらってるのよ。私の分もそれだけ多くしてくれるんでしょうね?』
『まぁね。食べ切るのにしばらくかかるくらいには買うつもりだから安心············って、思った以上におまけ多いね』
「嬉しいんですけど······こんなにいいんですか?」
「構いやしねぇよ。お嬢ちゃんたちのおかげで客が大量に入りそうなんでな。気が引けるんなら今食う分はそこのベンチで食ってくれ、それだけで十分だ」
「はぁ······それでいいなら」
食べてる人がいるだけで売れるなら、元から繁盛してそうだけどね?
「『実際に買ってる奴がいる』ってのが大事なんだ」
「なるほど」
《シークレットイベントクエスト:屋台の客引き を達成しました。クリア報酬としてイベント情報の一部が解禁されます》
《情報断片・9を入手しました》
この国の姫君たるセレネが行方を晦ましたという噂が市井に広まっている。
政府はそれを否定しているが、前触れなく望月祭の日程が変更され、最終日の儀式が延期となった。儀式にはセレネ姫が参加するため、噂は事実の可能性が高いと言われている。
「ん?」
「は?」
クエスト発生のシステムアナウンスなかったのに達成のアナウンスだけ来たんだけど?シークレットだからかな?
まずシークレットとは何ぞや。
「イベントでシークレット出すのは性格悪すぎだろ」
「知ってるんだ?」
「何回かクリアしたことがあるんでな。今ので勘付いたと思うが、シークレットクエストはクリアしないとアナウンスが出ない。受注した時はもちろん失敗した時も出ないから、クリアして初めてクエストの存在に気付く。クリアしてもクエスト情報見れなくて、発生条件も達成条件も分からん」
「······めんどくさ」
「クエスト名からしておそらくどこの屋台でも発生するとは思うが、運営の性格的に商品買うだけじゃないな。客が少ない、もしくはあまり多くない状況に加え、パーティ人数とその内の何人が買いに来てるか、もしくは購入金額あたりだろうな」
「人数の方はないんじゃない?二人で発生しちゃうと条件としては緩すぎるよ」
「あぁ、言い方が悪かったな。この場合のパーティ人数は『パーティの枠をどれだけ埋めてるか』だ。パーティ枠は六人で、プレイヤーやテイムモンスター、召喚モンスターで一枠取る。【集団】を取るとモンスター限定のパーティ枠を増やすことができるが、モンスターがパーティに入る際は通常パーティ枠より優先して【集団】系統のスキルによる追加枠に割り当てられるせいでこの手の人数系の条件は達成しにくくなる。が、お前のことだから【集団】取ってないだろうし、六枠を俺とお前、三人娘で合計五枠埋めてるからクエスト条件としては十分あり得る」
······なんで【集団】取ってないのバレたんだろう。
【召喚術】や【従魔術】、【死霊術】など使役系スキルのアーツって大概「パーティ内の」モンスターが対象だから使役系スキル取ってたら【集団】も取ってるのが普通なんだけどね。
「まぁ今は他の情報断片だな。イベント開始してしばらく経ってるから掲示板に情報ありそうだが············ふむ」
「どうしたの?」
「7以降の情報ほぼねぇわ。だが、1から6はギルドで採取やら討伐やら何かしらのクエストの報酬として貰えるらしいからまずはそっち確保するか」
「はいはーい」
『行くよ皆ー』
『あ、まだ残ってるの!』
『···もうちょい』
『まだ食べ終わってないので待ってほしいのですよ』
皆食べるの早いのにまだ食べ終わってないとは珍しい······ね············なんか増えてない?ボクと父さんが話してる途中でお皿空っぽにして暇そうにしてたよね······?
おや、初対面の犬系獣人がリル達に団子貢いでら。
「勝手にご飯あげちゃって大丈夫でした?」
「構わないですけど······一応言っておきますが、礼はしませんよ?」
押し売り的なムーブはやめてね?
「とんでもない!こんな可愛い仔たちにご飯あげれるなんて、むしろこっちがお金払いますよ!」
「え?そこまでは言ってな「撫でてもいいですか!」······この子達が嫌がらなければどうぞ」
「ありがとうございます!!!」
うん、初対面の人への距離の詰め方と勢いが異様だけど、悪い人ではなさそうだね。残像ができるくらいの速度で揺れている尻尾から見るにテンションは振り切ってるのだろうが、リル達を撫でる手つきはとても繊細だ。
「可愛い~~!!!」
『撫でられ心地はどう?』
『今までで一番上手なの······』
『···至福』
『おかーさんの次に気持ち良いのですよ』
『今までとかボクの次にとか言ってるけど、そもそも人に撫でられたことないよね······?』
『何言ってんだ。パンツァーやミネルヴァはじめ、十二英傑の面々が割と頻繁に撫でまわしてるぞ』
『あ、そうなの』
狩りに連れて行く時以外はみんな自由に行動させてるから、普段の行動知らないんだよねー。
「ありがとうございました!これお礼なので皆さんでどうぞ!」
「んえ?これ以上貰うのは······行っちゃった」
来るのも去るのもあっという間······台風かな?
「何もらったんだお前」
「よく分かんない果物。〈食材鑑定〉で見るからちょっと待って」
スキルの実(Ex)
食べるとランダムでスキルを獲得できる不思議な果物。
運が良ければエクストラスキルを獲得することもある。
「ふぁっ!?」
何このアイテム!?絶対激レアじゃん!
ただリル達を撫でさせただけで貰うの申し訳ないんだけど!
『ヤバいよこれ。食べるだけでスキル一つ獲得するんだって』
『······それはヤバいな』
『こんなの六個ポンと渡してくるとか何者なのあの人············六個?』
『俺、スノウ、三人娘で五個のはずなんだがな?』
『私の分あるのは嬉しいけど素直に喜べないわね······』
なんでユリアの存在バレてるの?怖ぁ。
『マジで何なのあの人······』
『ホントにな』
スキルの実の入手経路やユリアの存在に気付いた理由など気になることは色々あったが、害はないからいいか、と結論を出してスキルの実を食べることにした。
この後クエストでめちゃくちゃスキルの試運転した。
そういや私、この作品のペンネームとサイトのユーザー名違うんですよね。
なろうに登録した時は書く気なかったからユーザー名適当に決めて、でもある日書きたくなってユーザー名設定してたこと忘れてペンネーム考案したという。
統一した方がいいんですかねこういうの。するならペンネームそのままでユーザー名をペンネームに合わせるつもりなんですけど。




