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Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~  作者: 姫河ハヅキ


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83/110

第七十四話 夏休み明け

11月のうちに更新できなくて申し訳ない。書いてみたかったことを書いてたら思いのほか時間がかかってしまいました。手探りで書いたので矛盾点があっても生暖かい視線で読み進めてほしい。

なお、今回の内容がいつかの伏線······なんてことはない。本当にただ書いてみたかっただけ。

 夏休みも終わり、二学期が始まる今日、九月一日。

 日傘を差し、首にネッククーラーを掛けてと出来る限りの暑さ対策はしているのだが、まだ厳しい暑さがボクの身体を苛む。


「············あづー····································」


「······無理せずに車で送ってもらえばよかったんじゃ」


「今日は始業式と少しの話で終わりだからね。それだけのために車を出してもらうのは申し訳なくてさ」


「それでアンタが倒れたら元も子もないんやからな?無理はするもんやないで」


「明日から暑さがマシになるまでは行きも車出してもらおうかな······」


 ウチの高校は在学者数が県内でもトップクラスであり、さらにここ数年、偶然にも自転車通学の生徒が非常に多いため駐輪場のスペースが足りていないのだ。自転車で登校しようものなら、朝練のある運動部生徒によってほとんどの場所が占有された駐輪場で苦労して自転車を停める場所を探さなければならない。

 また、帰りは帰りで大変である。たくさんの自転車がすし詰めとなった駐輪場から己の自転車を見つけて、発掘する必要があるのだ。その難しさといったら、スマホの広告であった、車を順番に駐車場から取り出すパズルゲームくらいには難しい。

 そのため、徒歩で登下校が可能な生徒は強制ではないが徒歩が推奨されていたり、事前に申請をすれば車での登下校が可能だったりと、いくつか対策が行われているのだ。なお、車の使用を申請したからといって必ず車で登校しなければならないということはない。


「そうするべき。九月いっぱいはこんな感じの気候らしいから、歩きじゃ雪の体力がもたない」


「ガッデムホット」


 暑さも日差しもキツい夏は嫌いです。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 始業式と校長先生の話は画面越しで終わり、現在はホームルームである。


「いやー、画面越しってのは楽でいいな。あと涼しい」


『『『それな』』』


 生徒も先生も暑いのは嫌だからね。それが避けられるのなら皆嬉しい。


「本来なら文化祭や体育祭などの行事予定を話すんだが、二年のお前らに話すことは特にない。企画書出すのはまだ先だが、出し物の案でも考えておくといい。······あ、このクラスにだけは連絡事項があるんだった」


 このクラスだけとはまた限定的な。


「文化祭の出し物についてなんだが、このクラスは一部の接客系、つまりカフェだレストランだは禁止だ。理由は············言わなくても分かるよな?」


『『『知ってた』』』


「去年の結果を見れば当然の処置ね」


「集客力エグかったもんな。他クラスから応援呼ぶとか初めて見たぞ」


「クラスとしては勝ったのに、激しい敗北感に襲われる貴重な体験をした」


「相手が悪い」


「でもむちゃくちゃ楽しかったぞ」


「確かに。プロの助けが無けりゃあそこまで高クオリティの仕上がりにはならんわ」


「ちなみに学校側も想定外の出来だぞ、あれ。俺は企画書見た時から個人的に楽しみにしてたんだが、当日はクオリティと人混みに引いた」


 口々に先生やクラスメイト達が去年の感想を言い合う中、こちらを見つめて来る漣。


「発案者兼特例処置の元凶としてはどんな気分だ、雪?」


「欲望のままに動いたから後悔はしていない」


 クラスメイトも巻き込んでのコスプレはすごく楽しかったけど、それと同時に接客の大変さを嫌というほど思い知った、いくつもの意味で記憶に残る出来事だった。

 ······さすがにあの盛況は予想外だったよ。


「まあ、皆楽しんでいたんだからいいだろ。俺も楽しかったしな!」


 以前から桔梗には叛逆の人の衣装が似合うと思ってたんだよね。

 桔梗に要望を聞いた時に「特にない」と言われたこともあり、事務所の人たちと衣装の割り振りをする際には真っ先に、かつ満場一致で桔梗の衣装は決まっていたりする。

 ちなみに漣の衣装はゲステラである。


「······俺は少し複雑な気分だったぞ············」


「でもすっごい似合ってたよ。漣にピッタリ」


「喧嘩したいならそう言え。いくらでも買ってやる」


「ゲーム内でならいくらでも売ってあげる」


「······UTOはまだ続けているのか?初めて向こうであった時以来お前の姿を見ないから気になっていたんだ」


「雪の性格なら来るであろう夏イベントにも来なかったしな」


「他の突発系イベントに遭遇して無理だったんだよね。あと、イベントの存在に気付いたのが当日という」


「お知らせ見ろよ······イベントの開催予告は八月の頭からあったぞ」


 八月はずっと学院での生活に集中しちゃってたからね。いつもなら二日に一回は見る。


「夜の祭りにも間に合わなかったのか?あれなら当日参加も可能だったが」


「あぁ、お祭りには少しだけ参加したよ。屋台はいくつか回ったし、父さんが歌ってるのも見てた」


 隣でだけど。


「祭りには来てたのか。プレイヤーが多かったから単に会わなかっただけか」


「にしても、菖蒲さんは本当に多芸だよな。パートナーの狐獣人は誰だか知らんが、あのデュエットは金取れるだろ」


「父さんは『仕事としては歌いたくない。カラオケとかで歌うだけで十分』って言ってたね」


 ボクとしては仕事で歌うのも楽しいけどね。

 ひたすらにクオリティを高めていくあの時間は、歌枠で好きな歌を好きなように歌う時とは違う、えも言われぬ楽しさがあるのだ。


「あのままハイブリッド型のスキル構成とステータスで続けてるの?」


「うん。称号や装備のおかげでソロでも十分戦えるんだ」


 手数が足りない時はユリア達もいるからね。夏期講習でレベルもスキルレベルも上げ、久々にSP消費して取得した【従魔術】の〈従魔強化〉や【統率】で強化された今のユリア達はかなり頼もしいのだ。


「おーい、そこの仲良し四人組。いつまでも喋ってないで案を出してくれ」


「「「「はーい」」」」


「そういやもう一つ連絡事項があったんだ。お前さんらに不手際はないが学校側の都合で出し物に制限をかけたから、このクラスは他のクラスよりちょびっと予算が多い。これは他のクラスにも了承を取ってあるから妬まれるなんてこたぁない。むしろ『あのクラスの接客業を阻止できるのなら多少の予算は構わない』ってさ」


『『『分かる』』』


「去年同じクラスだったから、星宮の反則具合はよく知ってる」


「接客業における星宮は禁止カード」


「今年からは星宮君を接客業に駆り出したクラスは学園祭出禁なんでしょ?」


 ボクのことを何だと思っているのかなこのクラスメイト達は!


「出禁にはしないが、企画書に喫茶店やレストランを書いても速攻で却下されるぞ。······ところで出し物の案は出たか?」


「接客業禁止されると割と辛い」


「リアル脱出ゲームはー?」


「問題を用意するのに手間もコストもかかりそうだな」


「教室で開催するから回転も悪そう」


「いっそ昔に立ち返って射的はどう?」


「倒れそうで倒れない景品の立て方や客にバレない程度の細工なら任せろ」


「やめい」


「なぜ!?」


「当たり前でしょうが」


 ······どういう経緯でそんな使い道の限定された技術を習得したか気になるんだけど。


「四人組は何か案出たか?」


「だってよ漣」


「だ、そうだぞ雫乃」


「だって。雪」


「え、ボク?············お化け屋敷とか?」


「ちなみに、子供でも楽しめるようにちょっと怖いくらいに留めるのか、テーマパークにあるようなガチめな奴のどっちだ?」


「ガチ。もしやるなら台本は綴さんに書いてもらおうかと思ってる」


「えっ!?」


「あ、もしかしてホラー系は書くの苦手?」


「いえ、ホラーは部活でも書いたことがありますけどいきなり言われて驚きまして」


 ホラーもやるのか演劇部。


「今のはもしもの話だからね。それに、綴さんのスケジュールも聞いてないのにいきなり執筆を頼むことはないよ」


「ですよね」


 そうして話している内に時間が経ったようで、


「もう帰っても大丈夫だぞ」


 と先生が言ったので今日は解散することに。


「帰るかー」


「午後から暇だな。近くのショッピングモールにでも行くか?」


「UTOするからやめておく。行くならメンテがある明後日」


「お前ならそう言うと思ってたよ」


「メンテが明けたら確か、第二陣の参加とそれに合わせての育成キャンペーン、あとはドワーフ達の国ヴォロベルクの開放か」


「ヴォロベルクが開放され次第全速力で向かう。ドワーフなら私の満足いく刀を打ってくれるはず」


 フンス、と鼻息を荒げるいつになくテンションの高い雫乃。ただしほぼ無表情。


「そんなに刀の品質が悪かったの?」


 ボクの疑問に答えたのは、何故か雫乃ではなく漣。


「刀というより魔刀だな。現時点でも刀に向くような粘りのある金属は発見されてるんだが、それは魔術との相性がすこぶる悪くてな。雷魔法と刀術を併用する雫乃には向いてない」


 粘りのある金属って多分ダマスカスかなー。イスファから教わった知識に当てはまるのそれしかないし。ダマスカス単体でも刀に向いており、ミスリルとの合金にすれば、粘りと魔力親和性を両立した、魔刀に合う金属になるはず。

 王都にもいくつか鍛冶屋はあるし、ギルドで刀持ちの冒険者はちらほら見かける。王都にいる鍛冶師が誰一人刀を打てないということはないと思うんだけどね。


「じゃあ合金は?ミスリルも見つかってはいるんでしょ?」


「······ミスリルとダマスカスの合金なんてあるのか?」


「あるよ?」


「さも当然のように言うんじゃない」


 イスファからは割と序盤に習ったけどね?


「まぁ存在を知ってるだけでボクの【鍛冶】のスキルレベルじゃまだ扱えないんだよねー」


「ちなみに合金の情報はどこで聞いたんだ?言いたくないなら言わなくてもいいんだが」


「仲良くなった現地人から。合金の比率は分かんない」


「ミスリルとダマスカスの合金が存在する、という情報だけで十分ありがたい。コストはかかるだろうが、クランの鍛冶師に言ってみるさ」


「クラン組んだんだ。誰がクランマスターなの?」


「柊和だ。軍略や交渉はあいつの得意分野だからな」


 クラン結成権はCランク以上だから柊和姉はもうCランクか。

 ······そういえばボクもクランを結成できるな。しないけど。


「雪、私たちのクランに入る?素材集めみたいな数の必要な作業は手伝うことができる」


「ん-、いいや。今の所は困ってないし、一人でのんびりプレイする方が気楽だからね」


「分かった。無理強いはしない。でも、クランに入らなかったからって手伝わないことはないから何かあったら連絡して」


「その時はよろしく頼むよ。······あ、そろそろ時間だ」


「今日も事務所でお手伝い?」


「うん。夕方頃には帰るよ」


「じゃあな」


「今度久しぶりに狩り行こうぜ」


「またね、二人とも」


 約束の時間が近づいてきたので三人に別れを告げ、駐車場へと向かう。


「誠さん、待った?」


「いえ、今来たばかりですよ」


「よかった」


 誠さんの車で向かう先は、女優である母さんやそのマネージャーである文香さんに文乃さん、そしてボクも所属する株式会社「アストレア」である。


◇◆◇十六夜セツナside◇◆◇


 久々の配信ですね。

 カメラok、画面はまだ待機画面でok、マイクもまだミュートでok。

 毎回指さし確認しないと、配信頻度低いので時々ミュート忘れちゃうんですよね。そして切り抜かれる。

 配信開始予定時刻の5分前ですが準備は完了。あとは落ち着いて待つだけです。

 よし、始めますか。


【ガチャ】別に、天井に行かずに六体引いてしまっても構わんのだろう?【十六夜セツナ】


 34,544人が視聴中:十六夜 セツナ チャンネル登録者数 1,337,243人


「子狐の皆さんお久しぶりです。十六夜セツナ、夏季休暇より戻ってまいりました」


:¥50,000 待ってた!!!

:¥ 25,000 セツナさんおかえりー!

:こんせつー

:¥10,000 夏休み何してた?


「いきなり高額スパチャありがとうございます。それにしても、夏休みの過ごし方ですか。······ゲームに読書、あとはアニメ鑑賞ですね」


:俺らで草

:夏休み要素全く無くて笑う

:プールは?海は?肝試しは?


「以前に話したかもしれませんが、私は夏に滅多に外出しないんですよ。体があまり強くないうえに汗っかきなのですぐ熱中症になってしまいますし、おまけに人混みも苦手なので夏の外出はデメリットしかなくてですね」


 これが私の、星宮雪としてのものとは違うもう一つの顔。

 株式会社アストレアが擁するバーチャルYoutuberグループ「ぱんでもにうむ」。その一期生にして神の使い(見習い)、黒髪黒目の狐獣人たる「十六夜セツナ」です。

 ある年のコミケで判明した、「星宮雪ではない別の誰かとして振る舞う時は物怖じしない」という性質を利用して少しでも人見知りやコミュ障を治そう、などと酷く後ろ向きな理由で始めた学生と配信者の二重生活。

 デビュー当初は初めてのことだらけで失敗ばかりでしたが、同期のメンバーやスタッフの皆さん、そして子狐(リスナー)の方々の助けでどうにか続けることができ、今や登録者数は130万人超え。後輩も増えて「ぱんでもにうむ」の知名度は上がって、案件の依頼も来るようになり、ソシャゲとコラボするようにもなりました。

 今までソシャゲはプレイする側でしかなかったのですが、自分がキャラとしてゲームに実装されると聞いた時は感激しましたよ。


「せっかく久しぶりの配信なんですから、冒頭から暗い話はやめておきましょう。ということでドン!こちらが今回の配信で回すガチャです!」


 雑談放送用の画面からゲームを開いている画面に切り替えます。

 私がプレイしている数々のソシャゲの中でも最も課金しているゲームのものであり、八月は周年イベントで、九月の頭から水着イベントが始まったので現在の画面には水着姿のキャラが映っています。

 ですが、子狐さんが注目したのはキャラのビジュアルではないようで。


:ヒェッ

:???????????

:追い課金を何度もした結果で総課金額が20万超えた娘は見たことあるが初手20万は覚悟ガンギマリすぎでは······?

:セツナさん無償石と有償石の比率どんくらい!?


「えー······八割くらい有償ですね。周年で頂いた石がそれなりに残っていたので」


 周年キャラが50連で引くことができたのは幸運でしたね。スキルが他キャラのサポートに有用で確保しておきたかったのですが、必殺技は特に使い道ないので重ねる必要性が薄いという点も助かりました。


:結局15万くらいは既に課金してるのか············。

:今年の水着はセツナさんの推しトップツー、しかもどちらも星5枠だけど、どっち優先するの?


「どちらもですね。完全体にするのでどちらも六人引きます。撤退はありません」


 追い課金上等ですよ、ええ。


:片方だけならともかく、両方とも六人引こうとすると石3000個で足りるか······?

:その先は地獄だぞ

:これはコンビニダッシュの予感


「コンビニダッシュはないですね。既に魔法のカードを準備していますので。では始めましょう」


 手始めに有償石一個で一日一回だけ引くことができる通称おはガチャを。

 ······虹回転じゃないですか!


「一発目から虹来ましたよ!神が両方引けって言ってますよこれ!」


:おおおおおおおおお!?

:もう出るのか

:クラスカードを見るまで安心できない(経験談)


 クラスカードは············一致!


「早速一人獲得とは幸先いいですね!」


 この調子でぱぱっと六人引いてもう一人のガチャも······回し············ええー?


「虹回転、クラスカード一致からのすり抜けは法で罰するべきだと思うんですよ」


:流れが完璧すぎて笑う

:これは愉悦ですわ

:知 っ て た


「諦めませんよ!まだおはガチャです!」


 このゲームの10連ガチャで消費する石は30個。

 それに対して私が現在所持している石の数は3000個。1000連回すだけの量はあります。なんなら今と同じくらいの量の石を買うことのできる金額分の魔法のカードが手元にありますので備えは万全。


 ~100連後~


「······これR-18では··················?」


:確かにグロ画像

:これはひどい

:このガチャ本当に水着キャラ入ってる?

:大丈夫?ガチャ回す?


 100連回して、星5どころか星4すら一人も引けないのどうかと思うんですよ。確率の下振れと言われたらそれまでなんですが、あまりにも酷すぎやしませんか······?

 悲惨すぎる私のガチャを見ている大半の子狐さんは私を気遣うコメントをしてくださっているのですが、中には慰める振りしてさらにガチャを引かせようとしている子狐さんもいますね。そんなことをしなくても引くので大丈夫ですよ。


「子狐の皆さんのガチャ宗教でも試しましょうか。どんなのあります?」


:深夜二時教

:全裸土下座教

:マイルーム教

:大成功教

:メスガキになってガチャ煽れば出る

:女王様になって罵倒すれば出る


 やはり色々ありますね。時と場所の都合で実行できないものもありますが。

 ············最後二つはただの願望ですよね?


「とりあえず、今すぐできそうな二つを試しましょう」


  ~さらに100連後~


「星5が············出ない··················」


 ガチャ宗教は多少効果があり、最初の100連では出なかった星4キャラは何人か出ました。しかし肝心の星5が出ません。

 既に手持ちの石の20%を消費してしまっていますのでこの調子だと非常にマズいですね。


「どうすれば出ますかね?」


:出るまで回せば出る

:課金しかありますまい


 うーむ······ガーチャーが多くなってきました。これでは参考になりませんね。

 あ、これ良さそうですね。


:声真似して自分を触媒にする


 私は演技や声真似が得意なんですよ。


「声真似したら出るそうなのでやりましょうか。ン、ンンッ············早く来て下さい、水着の私。私の好きな和菓子がありますよ」


:これ声真似!?本家じゃなくて!?

:お、久々に見る新鮮な反応

:セツナさんは声帯オバケだ。慣れろ

:未経験のやつも事前練習なしで声真似やってのける変態ぞ


「オバケ変態呼ばわりは悪口では?」


 全く練習しないことはないですよ。声を知らないキャラの声真似は無理ですし、アニメなりゲームなりで一度声を聞かないと。コメントにある未経験というのも、正確には、まだ子狐さんには披露していない、ですね。

 おや、いきなり虹回転来ましたね!声真似の効果早い!


「今度こそ一人目を!」


 クラスカード······またもや一致!


「お願いしますよ······よし!よしよしよし!」


 ようやく一枚目ですね!

 予定よりは遅れていますがまだ石とお金はあります。焦らずにいきましょう。


「声真似を続けていれば、二人目三人目も出ますかね?」


:無理だと思う

:このゲームがそんなに優しいとでも?

:今までのこと思い出してみ?


 ······言われてみれば、このゲームの運営鬼畜ですね。

 キャラが1、2年復刻されないなんてザラですし、復刻したとしても他の人気キャラのガチャと連続だったりするので私たちプレイヤーの財布は限界まで絞りつくされるという。


「めげずにガチャ続けますか」


   ~200連後~


「シテ······ドウシテ············」


 200連星5無しでメンタル瀕死です。

 400連でピックアップ星5キャラが一人だけとか少なすぎません?このペースでは、備えておいた魔法のカードを注ぎ込んでも片方だけですら六人引くの厳しいのですが。


:悲惨すぎて草も生えない

:モース化も致し方ない

:歴代最高爆死記録更新では


 もうヤケです。先程は却下したメスガキも今度見つけたら実行しましょう。


「どうしたら出るか皆さんの考えをください。常識の範囲内なら大体のことはやりますよ」


 その言葉に分かりやすく加速するコメント欄。あまり流れが速いと目が追い付かない可能性が······意外と追えますね。UTOでの高速戦闘のおかげでしょうか。

 それにしてもメスガキが多い。お姉さんボイスやロリボイス、クール系ツンデレ妹ボイスなどは何度か披露したことがありますが、メスガキはまだでしたっけ。

 とりあえずメスガキしますか。


「それでは不肖十六夜セツナ、メスガキさせていただきます」


:「メスガキさせていただく」とかいうパワーワードよ

:いかにも出来なさそうな入り方


「ざぁこざぁこ♡ざこテーブル♡期待以下の仕事しかできないよわよわテーブル♡」


 排出率1%のキャラが400連で一人とか本気でどうかと思うんですがー?

 ······子狐さんたちの反応が凄まじいですね。さっきは目で追えてたのに今は追えないですよ。見切り発車で敢行した私のなんちゃってメスガキですが、好評なら良かったです。

 おや、金回転。虹じゃないから信用できませんね。

 クラス一致······からの二人目!現金ですねこのガチャ。


「がんばれ♡がんばれ♡」


 このセリフはメスガキとはちょっと違いますか。

 ん!?虹回転!?まさかの二体引きですか!?


「ふぉぉぉ······三人目············」


:このガチャの性癖メスガキか?

:俺じゃん

:これは良いわからせ


 あ、メスガキが好きなら後輩のグリムちゃんがおすすめですよ。調子に乗っている時はこれぞメスガキってなるくらいにはウザいですけど、大概グリ虐という名のわからせもセットになってますので一粒で二度美味しい。

 メスガキが最後まで優勢な展開が好きな方からしたら少し不満かもしれませんが、あの子は玩具にされてこそ輝きます。可哀そうは可愛い。

 ってさらに虹回転ん!?


:は?

:マジか

:嘘でしょ?


 ······四人目ェ!(ヤケクソ)


「ここまで神引きだと一周回って怖いですね!?」


:一体も引けてない私に対するあてつけか?

:その気持ちは分からんでもない

:夜道には気を付けろ?


 おっと、コメント欄が不穏な雰囲気になってきましたね。


「安心してください皆さん。この子だけでもあと二人、さらに別の子を六人引くので爆死は嫌と言うほど見れますよ」


 今回の予定の内、半分も終わってませんからね。地獄はこれからです。


 と、思いきや。


  ~50連後~


「あと一人ですね!」


  ~さらに50連後~


「これで完全体を作るのに必要なだけの人数を引けましたか」


 順調に五人目、六人目を引くことができて結果は500連で六人という、かなり良い引き。もう片方のキャラもこのペースで引くことができれば、追い課金の必要がなくなります。無理でしょうけど。


 結局、当たってほしくはなかったですが予想通り、500連では六人引くことができず、追い課金をする羽目になって幾多もの諭吉の犠牲を経てやっと、推しの水着バージョンを六人ずつ引くという目標を達成。

 その後は保管庫に突っ込んでおいた種火と、イベントや日々の周回で溜めておいた素材で推しを育成しつつ、子狐さんたちとの雑談をして配信を終えました。


 久々の配信、とても楽しかったです。


十六夜セツナsideの地の文が丁寧語なのはなんとなくです。これも書いてみたかっただけ。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「出禁にはしないが、企画書に喫茶店やレストランを書いても速攻で却下されるぞ。······ところで出し物の案は出たか?」  際どいラインで、前年のそのアレっぷりを研究発表すればいい。  そ…
[一言] いったい、何人のヤ◯チャとクリ◯ンが爆死したのだろうか……
[気になる点] 色々あったんだろうけど更新お疲れ(ʘᗩʘ’) (どーせポケ○ンでもやってたんだろ?) 前半が夏休み終わりからの始業式で後半がガチャ祭り(?・・) ガチャなんて出る時は出るけど出ない時…
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