第五十五話 邪神討伐編⑤
遅い上に短くてマジですいませぇん!m(_ _)m
言い訳させてもらうと、今回は話の区切り的に短くなったので完成が早く、日曜日に投稿したつもりだったんですよ。前書きに「短くてごめんなさい」と付け加えて。
私のミスで投稿されていなかったのに先程気付いて、急いで投稿した次第です。
これからもこういうミスや、勉強に手間取って投稿は何度も遅くなることはありそうですが、「あぁ、またか。」といった感じで気長に待って欲しいです。
身勝手で申し訳ございませんm(_ _)m
「我が名はニャルラトホテプ。千の化身を持つ、無貌の神である。小さき者共よ。この我の一部となれること、誇りに思うがいい」
え、嘘ぉ!?このタコが、あのニャルラトホテプ!?二重冠を戴く長身痩躯の人物だとか、燃える三眼と黒翼を備えた異形の姿だとか、顔のない黒いスフィンクスだとかじゃなくて!?このタコがニャルラトホテプ!?
クトゥルフ神話の中では結構メジャーなのになんで威厳の欠片もないこんな姿なの!?
「ニャルラトホテプ······!?なんで君みたいな大物がわざわざ来ているんだい?」
あ、姿はあんなでも強さは本物なのね。結構な邪神を狩った経験がある(自称)のリュミナが結構慌ててるな。
「ふん、我とて好きで来ている訳ではない。我は人を喰いたいとは思わぬしな。むしろ魔獣共の肉の方が口に合う」
「「「「「え?」」」」」
さっき、「この我の一部となれること、誇りに思うがいい」って言わなかったっけ?人を食べるんじゃないの?
「本当に人を食べないのかい?」
「何故そのようなことでわざわざ嘘をつかねばならん。そもそも、我には別の望みがある」
別の望み、ねぇ。その望みが他の存在に害を与えないようなことなら、この邪神は見逃してもいいんじゃないかな?もっとも、ここに来ている理由はあるみたいだから、それを解消しないとだけど。
「その別の望みって何?」
「聞かれたならば答えるのが礼儀というもの。いいだろう。教えてやる」
ふむ。ここまで思わせぶりな言い方するんだから、かなり壮大な野望っぽい?
「我が野望·········それは、美少女がたくさんいる所に出現し、思う存分我が触手で触手プレイをすることだっ!!!」
前言撤回。今すぐこいつぶっ飛ばそう。
「一瞬でも悪い邪神じゃないのかと思ったボクがバカだったよ」
「邪神なんだから悪くないわけないんだよなあ。·········まぁ、俺もこのタイプは予想してなかったんだけどな」
「変態よね」
「ん。下種」
ボク、父さん、母さん、カンナの順番でニャルラトホテプを罵倒していく中、ただ一人、リュミナだけはボク達とは違う反応をする。
「素晴らしい野望じゃないか!」
「「「「············」」」」
本っ当にこの変態は·········。なんでリュミナは聖属性持ちなんだろう?性根を考えると、明らかに闇属性か影属性だと思うんだけど?
ボクがリュミナに聖属性魔法をブッパしても、ダメージを受けるどころか回復するんだよね·········。しかも、興奮して息を荒くするというおまけ付きで。
何とも精神衛生に悪い······。
「おお!我が野望に賛同してくれるのか!」
「もちろんだ!是非、僕にも協力させてはくrーーー」
「それ以上言ったら今度こそ潰すよ?」
「ちょんぎる」
「そんな卑劣なことは、この僕がさせない!」
うん、ち○ちんって殴られると他の部位よりも痛いらしいから良い脅しになるなこれ。ボクに便乗してカンナもちょんぎるって言ってるし、こう脅しておけばリュミナも馬鹿なことを言わないだろう。
「······お、おう」
············ニャルラトホテプのち○ちんってそこなんだ。それ以前に、邪神にも性別はあるのね。
少しの間、ち○ちんらしき場所を触手で押さえていた変態邪神だが、急に咳き込んで仕切り直そうとする。
「ウォッホン。·········貴様らは、我が野望を阻む気なのだな?」
その仕切り直し方は無理があると思う······。
「阻まないわけがないよ」
「逆になんで阻まないと思ったのかを聞きたいぐらいだ。セクハラは犯罪だぞ?」
「我は人の法などに縛られぬ。まず、何故我が今の野望を抱いたのかというと·········」
ボクに続いてそう言いながら父さんがニャルラトホテプに向けて構えたのは·········バール?
変態邪神が勝手に始めた自分語りは無視して父さんにツッコむ。
「······父さん、なんでバールなの?」
「え?ニャルラトホテプといったらバールじゃね?」
言いたいことは分かるけども。
「違うでしょ、アイリスちゃん」
そうだよ母さん。さすがに今はボス戦だから自重しろって父さんに言ってあげて。
「ニャルラトホテプが相手なんだから、バールの先っぽは燃やさなきゃダメじゃない」
そうそう。なんなら髪は赤くしてツインテールに·········って違う、そうじゃない。二人してラノベやアニメのネタでボケないで。二人のボケが分かるのは、今はボクしかいないんだよ。
ほら、カンナが今の流れを理解できなくて首を傾げてるよ?
「何?」
「あぁうん。異界人にしか伝わらない類の言い回しだから気にしなくていいよ」
「ん」
「あ。そういえばそのバールって武器としてはどのカテゴリなの?」
「一応戦棍扱い」
「戦棍······?」
バールの先端は尖ってるのに、打撃武器カテゴリなのか。運営の考えてることがわからん。
「······で、あるからして·········貴様ら、聞いているのか?」
「「え?聞いてるわけないじゃん」」
こっちから聞いたとかならともかく、そっちから勝手に始めといて誰かが聞いてくれるとでも?
ボクと父さんにあっけなくあしらわれた変態邪神はうつむき、何かに耐えるようにブルブルと震えている。
あれ?もしかして怒った?雑に扱ったボクが言うのもなんだけど、沸点低すぎない?
「貴様ら······この我を舐めおってえええええええええええええええええ!!!」
「「おおおお!?」」
キレ方やキレた理由は小物っぽいくせに初手エリア全域攻撃とか鬼畜じゃない!?
黒靄を纏った多数の触手が変態邪神を中心に全方位に放たれ、リュミナ以外の四人が揃ってリュミナの後ろへと避難する。
「こういう相手は得意なんでしょ!頼んだよ!」
「俺、魔法に関してはゴブリンくらい弱いから魔法の防御は頼んだ!」
「あの触手にクリーンヒットしたらヤバそうだからタンクお願いしまーす!」
「よろ」
「ちょ!?ああもうしょうがない!『我ら神軍なり』『破邪の加護』〈属性盾:聖〉!」
いくつもの魔法とアーツを発動し、触手の突撃を真正面から耐えるらしいリュミナ。少しでも助けになるようにと、リュミナに向けて支援をする。
「〈耐性付与:闇属性〉。効果はほとんど無いだろうけど、一応かけておくよ」
「ありがたい!僕の固有技能でその手の効果は強化がかかるから支援はあるだけ欲しいところだ!」
「じゃあ私も。『エンハンスド·マインド』『エンハンスド·インテリジェンス』!」
ボク達の方に殺到してくる触手は、次から次へとリュミナの盾にぶつかった瞬間に浄化され消滅している。
「さて、問題はここからどうするかだ」
「問題なの?リュミナ一人でもいけそうじゃない?」
一方的に相手を浄化できてるんだし、ニャルラトホテプの相手はリュミナ一人で十分な気がするんだけど。
「いや、今は防御に集中してるからこんなことができるのであって、攻めに移ろうとすると君達を守る余裕がないんだ。さっきの『我ら神軍なり』で君達にも聖属性で強化をかけてはいるもの、そう何度も邪神の攻撃は防げないからね」
「なるほど。ボク達は自力でこの触手達をしのぐ手札が必要、と。父さん達はどう?」
「俺とセナなら大丈夫だ。いざという時の奥の手もあるしな。そう言うスノウは大丈夫なのか?」
「まぁ、このぐらいの攻撃ならいけるかなぁ、っていうのはあるよ。カンナは······大丈夫か」
「ん、全部斬る」
「······さっきは攻めに移るとか言ったけど、このメンツなら僕が攻撃しなくてもいけるか?よし、僕も攻撃はするけど防御重視でいくから、危なくなったら僕の後ろに来るといい!」
「「「「了解」」」」
「じゃあ行くぞ!セナ、俺に憑いとけ!」
「オッケー!【精霊憑依】!」
母さんの身体が父さんの身体と重なり、それと同時に二人の魔力が混じり合って一つとなる。父さんの身体からは、先程までは無かったオレンジ色のオーラが発生している。
······かっこいいな。今度ユリアとできないか試してみよう。
スキル発動前より何割か増した速さで飛び出した父さんは、母さんの仕業か、先端に火を纏わせたバールで触手を弾き、受け流し、危なげなく触手の弾幕をかいくぐっていく。
なんでバールでボス戦するんだ父さん······。あの速度と密度をバール一本で凌げるとかマジでおかしいよあの人。
カンナは·····刀を振ってるはずなのに刀身が見えない·········。カンナに近づいた触手はいつの間にか細切れになっており、その一片もカンナに触れることはない。この人父さんよりもおかしかった·········。もうボクいらないんじゃない?
「どうしたんだい、スノウちゃん?」
「邪神討伐、父さんとカンナだけでよさそうだね?」
今も二人は触手を凌ぎつつ着々と邪神の方に進んでいて、時間さえあれば無傷で邪神の所に辿り着きそうである。
「·········」
「·········」
「······ここまで来たんだし、経験を積むためにも参戦しておこうか」
「······うん。ボクとしても言ってみただけだから、ちゃんと真面目に戦うよ。『加速』」
少し締まらない雰囲気の中、ボクも父さんとカンナに続いてリュミナの後ろから飛び出し、邪神へと立ち向かうのであった。




