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第四話 さらに合流&初めての戦闘

シユ姉の知り合い(ボクの知り合いでもあるらしい)の人を待っていると、ボクたちから少し離れた所で光と共にプレイヤーが現れる。金髪に黒い角が二本生えてる。あれは鬼人だっけ?


「あっ、来たで。ティノア、こっちやで」


 どうやら、あの女の人が待ち合わせの相手っぽい。そういえば、誰かに似てるかも?


「遅れてごめんなさい、シユ姉」


「ええよ別に。たったの二分や」


「ありがと。そして、そっちの竜人は誰?もしかして···あれが成功したの?」


 何か不穏な会話が······。


「そうや、大成功やったで」


「さすが雪。機械すら間違えるレベルの女顔。それに、リアルと同じくらいのアニメ声も健在」


 あ、うん。口調で誰か分かった。あと、ボクのアバターを女にしたのはこの二人の策略だね。後でちょっとお仕置きかな。

「褒められてる気がしない···。それと、こっちではスノウ」


「よろしく、スノウ。私はティノア。種族は鬼人。雷の魔法と刀術を使う」


 今ボクの本名を言ったこの少女の名前は天宮雫乃(あまみやしずの)。幼馴染、というか親戚で、今は一緒に暮らしている。

 仲はいいんだけど、雫乃は昔からボクに女の服を着せてくる。しかも、柊和姉と結託してくるから、ボクはよく二人の着せ替え人形になっていた。

 あの頃のことは思いだしたくないよ···。

 最近はあまり着せようとはしてこないけど、まだ警戒は解けない。ゲーム内の性別が女だからって着せようとしてきそうだし。

 まあ、今は自己紹介をしようか。


「あ、ボクは爪術と格闘術の近接戦闘と魔法を少し、シユ姉は魔法だって」


「スノウも魔法戦士するの?」


 “も”ってことは雫乃も魔法戦士みたいなスキル構成なのかな?


「そう思うやろ?でもスノウのスキル構成見てみ?」


 そう言ってシユ姉はボクのステータス画面をティアに見せる。すると、シユ姉と同じようにある一点を凝視して何度もボクのステータスを見直す。そのリアクション、流行ってるの?


「嘘···なんで超戦闘向きの称号を二つも持ってるのにこんなスキル構成なの?MP,STR,INT,AGIに補正がかかってるからスノウはタンクを除いたあらゆる戦闘職プレイヤーの嫉妬と羨望の的。それなのにスキルが生産中心···怒られるよ?」


「誰に!?でもスキル構成は個人の自由だし、文句を言われる筋合いはないよ」


「はぁ···こんなステータス構成でも下手な戦闘職よりは戦える。だから何も言えない」


「まあいいじゃん。それよりモンスター狩りに行くんじゃないの?」


「そやな。さっさとレベル上げな出遅れてまうし」


「ん。この件はまた別の日に問い詰める」


「もう終わりじゃダメ?」


「ダメ」


 そう言いながらボクたちはモンスターがいるフィールドに向けて歩き始めた。




「そういえば、第一階位種族だとか第二階位種族って何のこと?」

「アンタ知らずに聞いとったん!?」


 そりゃあやると思ってなかったゲームの情報なんて持ってないよ。


「うん。ちなみにSPとLPも分かってない」


「アンタ少しは予習せえや!?」


「いや、今日いきなり始めたのに予習する暇なんて無いよ」


「そうやけどさぁ···」


「二人とも、とりあえず狩りに行こう。話はその後」


「「はーーい」」


 性格は全然違うのに、こういう時返事が一致するのは姉弟だからかな?


「あ、SPとLPはレベルアップの時に貰えるやつで、SPはスキルの習得、LPはステータスの増強に使うんやで」


「おっけーい」


 まあ、ゲームとかラノベでよく見るから意味は予想ついてたけどね。


「あ、あとこのゲームには満腹度、給水度システムがある。定期的に飲み食いしないと死んじゃう。気をつけて」


「わかった」


 それ、ついでに伝える情報じゃない気がする······。


 ボクたちは街を出てすぐ、草原に着いた。


「ここは?」


「ここはモンスターが出る所や。少し待ってたらポップすんで」


「地名は?」


「はじまりの草原。プレイヤーの間では草原と呼ばれている。そして少し進んだら森がある。そこには草原よりたくさんの生産用素材が採取可能。でも、奥の方に行くと地竜がいるから注意して。ちなみに、さっきまでいた街の名前は〔アインス〕」


「ああっ、ウチのセリフが取られた···」


「油断大敵。取られる方が悪い」


「いや、別にそのくらいのセリフは取られてもいいでしょ。それよりモンスターがポップしたけどいいの?」


「ん?あれはラビットやな。でその向こうにいるのがスライムや。どっちも最弱モンスターと名高い奴やからすぐ倒せるで。ちょうど三体ずつおるし、一人一体ずつやるで」


「了解」


「うーん···初めての戦いだけど、どうなるかな?」


「いや、そのステータスなら大丈夫」


 ティノアはそう言ってるけど、そんなに弱いの?···あ、ボクのSTRは300だから、Lv1の場合、第一階位の人の四倍以上、第二階位の人の三倍だから大丈夫か。······あれ?ボクって確か称号によってVITにマイナス効果があったような。


「ボクのVITって第一階位の人より低いんじゃなかったっけ?」


「そうだけど、当たらなければどうということはない、だよスノウ」


 なんか聞いたことあるセリフ······。


「アンタのSTRやったら一発で倒せるんやから先に当てたらええんやで?」


「あ、確かに」


 それなら攻撃される前にこっちが攻撃すればいいのか。ボクはAGIも高いんだし、最弱モンスターの攻撃なら避けれるでしょ。

 それでは戦闘開始。ボクは一撃必殺とばかりにラビットの顔面にパンチ、そしてその勢いのままスライムをキーーーーック!


「あれ、死んじゃった」


「だから大丈夫だって言った。あと素材がドロップしてるはず」


 あ、ほんとだ。なになに······


兎の肉

何の変哲も無い普通の肉、様々な料理に使える便利食材


兎の耳

兎の聴力が籠もってるかもしれない不思議な素材、何かに使えるかも。


スライムの魔核

少し魔力が籠もった魔物の魔核、あまり質はよくない。


 ふむふむ、こんな感じね。じゃあ、次のバトルにれっつごー。


「近接戦闘に関しては大丈夫だね。それなら次は魔法を試してみようかな」


「えっ?アンタは竜魔法持ってたやろ?それやと魔法は「それじゃあいくよ〜」···まあ、言うよりやらせる方が速いしええか」


 シユ姉が何か言っている気がするけど、気にせずに魔法欄から火属性魔法の『ファイアーボール』を······ってない!?というか『魔纏』と『咆哮』の二つしか表示されてないんだけど!?


「シユ姉、ボクの魔法二つしかない」


「あー···アンタの種族スキルにある【竜魔法】は、詠唱が不要なんと、思考するだけで魔法が発動出来る代わりに遠距離攻撃がほぼ不可能になるんよ。『魔纏』の場合やと自分の爪やら尻尾やらにしか魔法を纏わせることが出来ひんって感じやな」


「え?」


「『咆哮』に関しては、威力は高いけど溜めが必要なうえに技後硬直も長いから使い勝手が悪い。あと、口からしか出せないから面倒」


「だからなんでティノアはウチのセリフを取るん!?」


「そんなことより、ボクは遠距離攻撃出来ないってことなの?」


「使えないことはない。ただ使い勝手がものすごく悪いだけ」


「二人揃って無視せんといて〜」


「「うるさい」」


「(´・ω・`)」


 シユ姉が少し落ち込んでるけど、無視の方向で。


「あれ?回復魔法はどうなるの?」


「回復魔法は例外。普通に行使できる」


「そうなの?良かった〜」


 それでも遠距離攻撃は諦めきれないんだよね。


「遠距離攻撃の手段···欲しいなぁ。あ、あのスキル取ればなんとかなるかも?」


「え、スノウ?まさか······」


「よし、ティノア!急いでレベリングするよ!」


「まあ、スキル構成は個人の自由だけど」


「あ、置いてかんといてぇ〜」


 高ステータスによる殺戮を30分程と、ボクへのレクチャーを少しして、無事レベルアップ。ボクの場合ここらへんのモンスターだと一撃必殺だからね。

 あと、ボクよりステータス低いのに、シユ姉もティノアもボクに負けず劣らずのスピードでモンスター倒してたのはプレイヤースキルの賜物かな?もしくはボクみたいに称号持ってたりするのかもしれない。

 三人ともレベルは上昇、そしてステータス振りとスキル修得の時間。


「よし、遠距離攻撃のためにあのスキルを~っと」


『スキル【弓術】を習得しました』


「これでOK」


「スノウ······スキルを幅広く取りすぎ。どれも鍛えようとするとすごく効率が悪い。運営の意向でSPは余るくらいの量を貰ってるから大丈夫だけど、育てるのは大変」


「別にいいよ。効率的にやりたいわけじゃないし。ボクはボクの好きなようにやるだけだよ」


「そうやでティノア。でもスノウが困った時は助けたるのがこのゲーム誘ったウチらの責任やしな」


「うん」



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[良い点] 「出来ること」や「得意なこと」じゃなくて「やりたいこと」を追い求めるスタイル、私は大好きだよ 折角のゲームだからね、他に流されず自分の好きなようにやるに限る
[気になる点] 取得称号は2つのはず
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