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Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~  作者: 姫河ハヅキ


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32/110

第三十話 一次試験(後編)

一応書いておきます。

「」で囲まれたセリフは普通の会話、『』で囲まれたセリフは念話です。

 二人で魔法が飛んできた方向へと走っていると、段々と人の声が聞こえるようになる。しかもたくさん。そしてボクの目にはすぐには数えきれない程の魔力の塊が見える。


「これ······二十人以上の大軍が、五人を包囲して攻撃してるね。さっきのはこの流れ弾かな?あと、その周りに冒険者も隠れてる。多分漁夫ろうとしてるんだろうね」


「アンタ、よく見えるわね。というかなんで隠れてる敵をこの距離で発見できるのよ?」


「竜人にはそういう瞳が備わってるからね」


「ふぅん、そういうものなのね。で、どうするの?」


「どうするって?」


「今の状況でどう動くかってこと。静観して余計な争いに巻き込まれるのを防ぐのもいいし、乱入して撃破数を稼ぐのもアリね」


 ふむ。どうしよっか?


『ユリアはどう思う?』


『どれくらい撃破すれば特待生になれるのかが分からないから、できる限り撃破数を稼ぐ方がいいんじゃない?』


『おっけ』


 ユリアと『念話(テレパス)』で相談して方針を決めたボクは口を開く。


「五人の方を助けよう」


「どうして?」


「あの大群の敵側についた方が撃破数を稼ぎやすいからね」


「なるほどね。異論はないわ」


「それじゃあ、あの大軍の意識があの五人の方に向いている間に範囲魔法ぶち込もうか。ロネは範囲魔法ある?」


「あるけど、三秒待ってくれる?詠唱時間が必要なのよ」


「そのくらいなら待つよ」


 そう言うと同時にボクも『魔砲』の溜めを開始する。ちなみに二連装で、属性は片方が火と雷の複合、もう片方が風と氷の複合だ。【魔力操作】のスキルレベルが20を超えたから〈複合魔法〉を習得したんだよね。


「〜〜〜〜〜〜······オッケー。いつでもいいわよ」


 おお。走りながら詠唱って器用だね。


「うん、じゃあもう少し近づいてからブッパしよっか。3···2···1···今っ!」


「『影の茨(シャドウ·ソーン)』ッ!」


 ロネの魔法行使により地面から多数の影の杭のような物が現れ、受験者たちを光の粒子へと変えていく。

 うわあ、や、きゃぁあ、などの悲鳴を聞く限り、結構な人数が今の攻撃で沈んだっぽい。

 よぉし、ボクも負けてられないね。


「ふぉいやーっ!」


 特に魔法名とかは無いのでとりあえず叫びながら『魔砲』を放つ。なぜ叫んだかというと、ただの気分である。


「え、ちょ!?アンタ竜人なのに遠距離魔法使えるの!?」


「それは後で!今は試験中だから!」


 驚くロネを放置し、激戦区へと突入する。

 襲いかかってくる受験者の頭を魔法で吹っ飛ばしたり、〈魔力物質化〉の刃で首を切り落としたりして、包囲されている五人の所まで向かう。


「そんな訳でそこの五人!手助けするよ!」


「どんな訳だよ!?」


「誰だお前は!?」


 いきなり戦闘に乱入したボクに、包囲されている五人の内の一人の赤髪の男と、その五人を攻めていた内の一人の茶髪の男が同時に叫ぶ。

 茶髪の人はボクを責めるような口調で、邪魔者が煩わしいといった感じ。

 赤髪の人は······磨けば光るものがありそうだね。ボクが何者かを聞く前にツッコミを入れるってのはなかなか有望株である。


『何余計なことを考えてるのよ·········まぁ私も思ったんだけどね』


『でしょ?』


「いやー、ただ撃破数稼ぎに来ただけの竜人でっす。五人の方につけば撃破数が稼げると思ったからね」


「さっきの範囲影魔法はお前か!」


「あ、それは私よ」


 ボクに追いついてきたロネが自己申告。わざわざヘイトを引く必要は無いよ?


「ちぃっ!もう少しでこいつらを倒せると思ったのに邪魔が入りやがった。お前ら!まずはこの亜人二人だ!」


 包囲していた人達の狙いはボクたちに向いた。これで撃破数稼ぎがやりやすくなるね。


「そこの竜人と獣人、手助けはありがたいが逃げろ!さっきの魔法を見るにかなりの腕前がありそうだが、さすがにこの人数はキツいだろう!せっかくの受験の機会を散らすんじゃない!」


「「大丈夫。これくらいの相手なら何人いても負けないから」」


「なっ!?なめやがって!かかれ!」


 その言葉と共にたくさんの魔法がボク達二人に襲いかかってくる。

 ロネは闇魔法を纏った槍で打ち消し、ボクは【祓魔(アンチグラム)】でレジストする。


「ふぅ、口ほどにもない奴らだ·········はあぁ!?」


 一部の魔法がボク達から外れ地面に着弾したことによって発生した土煙を見て、ボク達が脱落したと思っていた茶髪の人はボク達が五体満足の無傷で立っていたことにとても驚いている。

 赤髪の人もボク達が無傷なことに驚いているようだ。開いた口が塞がっていない。

 そういえば、この包囲されていた五人なんだけど、周りとはレベルが違う美男美女の集団なんだよね。男二、女三のグループだけど、五人とも他の人より魔力の質が良く、量も多い。一人一人の実力はこちらの五人の方が上だけど、さすがに戦力比四倍以上の敵は荷が重かったみたいだね。


「もう終わりなの?拍子抜けだね」


「なにおう!」


「それじゃあ次はこっちから行くわよ。『闇槍全方位射出(ダーク·ファランクス)』」


「うわああああ!」「いやああああああ!」


 いつの間にか詠唱を終わらせていたロネが

魔法を発動。突然空中に現れた何本もの闇槍が敵を貫く。ちょ、いつの間に詠唱してたの?ボクも気付かなかったんだけど?

 まぁ、まだ敵は残ってるみたいだし、ボクもついでに攻撃しとこうかな。


「おまけだよっ、『降り注ぐ魔弾(バレットレイン)』!」

 

 たくさんの『魔弾』を上空から撃ち、さっきのロネの魔法で混乱している所に追い打ちをかける。うん、これで結構減ったね。


「よ〜し、それじゃあ闘ろうkーーー」


〘しゅ〜〜〜〜〜りょ〜〜〜〜〜〜!〙


「·········えー············」


 なんて締まらない終わり方·········。


〘受験者の人数が一定まで削られたので、これにて試験終了です!元の場所まで転移させてから、順位の発表です!〙


 お、結果発表か······どうだろう?かなりの数の受験者を撃破したから、少し自信はあるんだけどなぁ。やっぱり不安になるよね。


『私は大丈夫だと思うけどね』


『そうかなぁ?』


 ユリアと『念話(テレパス)』で会話している内に、試験開始の時と同じように、周りの景色が一変する。試験の前までいた場所だ。


〘はい、それではこちらに注目!〙


 試験の前には無かったステージの上に女性が一人立っていた。


〘これからベストスリーのパーティの発表を行います!それでは三位から!〙


 あ、もう始めるのね。


「私達はどうでしょうね?」


「う〜ん······結構いい所まで行ってるんじゃない?かなり撃破したから、二位か三位には入ってると思うよ」


「そこまで上手く事が進むかしらね······」


「話してても仕方がないよ。大人しく結果発表を待とうよ」


「それもそうね」


〘まずは第三位!Cランクパーティー、竜の牙(ドラゴンファング)!〙


 ·········大人になってから恥ずかしくなるんじゃないかなこのパーティー名。若者が勢いで付けたって感じしかないね。

 魔法によってステージ上に現れたのは男四、女二のパーティー。見た目的に、誰も二十歳はなってないぐらいかな。


〘パーティーリーダーのアレンさん、感想をどうぞ!〙


 試験らしからぬ雰囲気だなぁ。なんというか、ヒーローインタビュー?試験の結果発表というより、表彰式だよねこれ。受験者に感想を聞く為にわざわざ魔法での転移を使ってるし、つくづく試験っぽくないねぇ。


「え?あ、はい!この調子で二次試験も頑張って、十二英傑の方々の指導を受けたいです!」


竜の牙(ドラゴンファング)の皆さん、ありがとうございました〜。それでは第二位!〙


 ·········ごくり。


〘この学院の内部生のトップ!パーティー名、高天原(セレスティア)!〙


 わお、これまた厨二な名前。冒険者のパーティー名ってこんなのしかないのかなぁ。 

 ······そういえば、あの人達見たことあるような·········?

 どうにか思い出そうとうんうん唸っていると、ロネが横から教えてくれる。

 

「アイツら、私達がさっき助けたパーティーよ」


「あ、確かに」


 道理で見たことあると思ったんだよねぇ。

 ·········って、あれ?ボク達は二位か三位かに入ってると思ったんだけどなぁ?まさかの四位以下?

 いや、まだ一位があるから諦めるには早いよね。最後まで聞いておこう。


〘パーティーリーダーのヘリオス様、感想をどうぞ!〙


 ヘリオス『様』?もしかしてあの人達貴族だったり?


「はい。一次試験は二位でしたが、二次試験では一位を取りたいと思います」


 見た目の割に落ち着いた口調だね。さすが貴族って感じ。


〘ヘリオス様、ありがとうございました!最後に第一位の発表です!栄えある第一位は············〙


 いよいよ一位の発表かぁ。どきどき············。

 周りの受験者も静まり返り、皆が一位の発表を待っている。そして、ようやく司会の女性が口を開く。


〘今回唯一の二人編成であり、メンバーはBランクとCランクの冒険者の二人で構成されたパーティー!〙


 お!これボク達じゃない?


〘そのパーティー名は·········!あ、パーティー名は登録されてないですね〙


 その瞬間、ほとんどの受験者とその保護者が抱いていた緊張感が霧散した。

 やっと一位を発表すると思ったらこれだよ······。


〘パーティー名が登録されていないため、名前を呼ばせていただきます!一次試験第一位、スノウさんとロネさん!〙


 司会の女性がボクとロネの名前を呼んだ数秒後、試験開始の時のように周りの景色が変わり、眼前にはたくさんの受験者とその保護者が。

 ちょ、いきなり大人数の前に出されると緊張するんだけど!?

 そんなボクの胸中を知らず、司会の女性はボク達に質問をする。


〘パーティーリーダーの方、感想をお願いします!〙


「「え?」」


 その言葉に固まるボク達。

 ······ボク達、臨時で組んだパーティーだから、パーティーリーダーもパーティー名も決めてないんだけど。


『私の記憶が正しければ、貴方達パーティーリーダー決めてないわよね?』


 アッハイ。その通りです。


『どうするの?』


『わかんない』

 

 よし、こうなったらロネに『念話(テレパス)』で相談しよう。


『ロネ、ちょっといい?』


『っ!······スノウかしら?』


『いぐざくとり〜』


 ロネって適応力高いよね。事前に何も言ってなかったのに、いきなり『念話(テレパス)』されてもほとんど動じてないんだけど。


『で、何?あまり長話してたら不審に思われるわよ?』


『パーティーリーダーって、どっち?』


『······私は嫌よ』


『ボクも嫌だよ』


「「·········」」


〘えっと············〙


 パーティーリーダーを相手に押し付けようと、互いに睨み合っているボク達に司会の女性は困惑しているようだ。どうすればいいか、と戸惑っている。


〘パーティーリーダーはどちらですか?〙


「「ロネです(スノウよ)」」


〘······どちらですか?〙


 質問の返答として、互いを指差すボクとロネ。さらに困惑する司会の女性。段々と他の受験者やその保護者の間の雰囲気もかなり緩んでいる。


〘······もしかして、パーティーリーダーを決めてないんですか?〙


「「(コクリ)」」


〘······どうします?〙


「「(フルフル)」」


〘お二人共喋ってくれませんか!?あとどうするんですかこの状況!〙


 ボク達と司会のやり取りを見ている人達から少しづつクスクスと笑い声が聞こえてくる。

 ちょっと、見せ物じゃない······いや、表彰式は見せ物なのか。ならしょうがないか。


「ロネ、どうする?」


「アンタがパーティーリーダーになって感想を言えば終わるわよ」


「その言葉、そっくりそのまま返すよ」


〘もうジャンケンでもなんでもいいんでパーティーリーダーを決めてもらえませんか!?〙


「司会の人もこう言ってることだし、ジャンケンする?」


「このままだと終わりそうにないし、仕方ないわね」


「「ジャーンケーン·········ポンッ!」」


「はぅあっ!」


「よしっ!」


 負けた······。


〘はい、決まりましたね!スケジュール的にかなり押してるんで感想お願いします!〙


「え、あ、えっと··········」


 どうしよう。今パーティーリーダーになったから、感想だなんて用意してないよ。


「ほら、早く感想言いなさいよ」


 自分は感想言わなくていいからって煽るんじゃないよロネ!後で尻尾モフるよ!


「あの、えっと、一位になれてうりぇし······ごめんなさいちょっと待って!」


ウォオオオオオオオオオオオオ!


 「噛んだ!」とか「ドジっ娘だ!」なんて言わないで!?恥ずかしくて顔から火が出そうだから!お願いだから歓声あげないでくれるかな!?


〘おぉっと、今のドジっ娘に会場が沸いております!ここライブ会場とかじゃないんですけどね!〙


 ちょっとロネ!「あざといわね······」ってボソッと呟くんじゃないよ!噛んだのはわざとじゃないんだから!


「こほん、それでは改めて。一位になれて嬉しいです。二次試験でも頑張りたいと思いみゃ·········もうお家帰るぅ!」


 また噛んだ······。誰か殺して·········。


「あうぅ············」


〘まさかの天丼!しかも今度は顔を真っ赤にしてうずくまるという大変可愛らしい動作付きだー!!野郎共、騒げーー!!!〙


 もうやだ······。


      〜表彰式終了後〜


「すまない。ちょっといいだろうか?」


 あの忌まわしき表彰式も終わり、ボクとロネが受験会場を去ろうとした時、誰かから声をかけられる。


「何?」


 振り返ってみると、優しげな雰囲気の金髪碧眼の少年と、そのパーティーメンバーらしき人達がいた。


「確か······ヘリオス様、だっけ?いや、でしたっけ?」


「様は不要だし、敬語も使わなくて大丈夫だよ。むしろ僕達が君達に敬語を使うべきなんだけどね」


「じゃあその言葉に甘えて敬語は無しでいくよ。でもなんでヘリオス達が敬語を使うべきなの?」


「先程、あの窮地を助けてもらったからね。けど、すまない。今のように人の目がある時では僕達が敬語を使うのはよろしくないんだ」


「別に構わないよ。善意で助けた訳じゃないからね」


「私も構わないわ。あ、それとは別件で一つ聞きたいことがあるのだけれど」


 ボクとヘリオスが話していると、さっきから黙っていたロネが口を開く。


「なんだい?」


「この国の貴族には、獣人蔑視の思想を持つ貴族がそれなりにいると噂で聞いたのだけれど、アンタ達はどうなの?」


「僕は獣人に悪感情は抱いていないし、他の皆も同様だよ。特にミオナは·········あぁ、まだ僕達は自己紹介をしていなかったね。僕はヘリオス、ヘリオス·セイリアだ。気軽にヘリオスと呼んでくれて構わない」


 ヘリオスの次に自己紹介したのは赤毛の少年。


「俺はフレイ·スルト。さっきは本当に助かった。感謝する、スノウ。そして、これからよろしくな」


「こちらこそよろしくね」


「お、おう······」


 フレイから差し出された手を取って笑いかけると、フレイはなぜか顔を赤く染めてそっぽを向く。


「······ヘリオスの同類?」


「だねー」


 そんなことを話し合っているのは、青髪の少女と薄い緑色の少女。


「ヘリオスの同類って?」


「·········分からないならいい。私は、ミオナ·ルサールカ。ミオナでいい」


「私はフィロ·ゼピュロス!よろしくねっ」


「二人共よろしくね」


 ミオナはかなり寡黙みたいだね。声は小さめだし、抑揚もあまりない。フィロはミオナと正反対のようで、元気溌剌といった感じ。

 最後に自己紹介をしたのは茶髪の小さい女の子。内気なのか、持っている大盾に隠れながらこちらに話しかけている。


「わ、私はメル·ネルトゥスですっ!」


 メルはそう言ったきり、大盾に隠れて見えなくなってしまった。この娘、恥ずかしがりやなんだね。


「あー···すまないね。メルは見ての通り、とても内気なんだ」


「全然大丈夫だよ。ボクもこういう時期があったから気持ちは分かるよ」


 というか、現実でのボクがこんな感じだからなぁ。人見知りにはシンパシーを感じる。

 ヘリオス達の自己紹介が終わったので、今度はボク達の自己紹介をしようとした時、ミオナがボクに歩み寄ってくる。


「スノウには色々聞きたいことがある」


「どんなこと?」


「戦闘技術や魔術のこと。あとはその美貌と胸部装甲を育てる秘訣」


「胸部装甲!?」


 それまさかボクのおっぱいのこと!?なんでそんなに機械チックな言い方なの!?


「それ程までに立派な代物。同じ女としては是非とも聞いておきたい」


 この胸はシユ姉のいたずらだから、秘訣も何もないんだけどなぁ······。


「別に何もしてないよ。故郷で普通に過ごしてたらこうなっただけ」


 ボクのその言葉に、この場にいた女子が全員ボクの方を向く。


「アンタ、マジで言ってるの?」(ロネ)


「え、ホントに?」(フィロ)


「······信じられない」(ミオナ)


「ほ、本当ですか!?」(メル)


「う、うん」


 あまりに女子達が詰め寄ってくるので少したじろぎながらも、どうにか返事をする。


「何もしないでそのプロポーションなの?······一回〆ようかしら」


「やめてね!?」


 ロネが真顔でそんなこと言うと、冗談には聞こえないから!


「······ちなみに、カップはいくつ?」


「え?」


 いきなりのミオナの質問に、ついフリーズしてしまう。


「スノウだけ言うのが嫌なら私も言う。私はA」


「あ、じゃあ私も〜。私はB!じゃあ次はメル!」


 なぜかフィロもノってきた。え、これボクも言わなきゃいけない流れになりそうなんだけど。


「えっ?あっ、あの······私は、Dです·········」


 メル、顔を真っ赤にするぐらいなら言わなくていいんだよ。ってか、メル結構大きいね。その140くらいの身長と、小動物みたいな雰囲気にDカップはなかなか不似合いじゃないかなぁ。

 でも、見た所Dにしては小さくない?······あ、鎧で抑えてるのか。


「この流れ、私も言わなくちゃいけないのかしら」


「スノウのカップを知りたいなら、まずは自分が言わないとフェアではない」


 ロネは腕を組み、悩みに悩んで口を開く。


「·······私はAよ」


 ······どんまい。ボクにはそれしか言えない。これ以上慰めようとするとボクじゃ皮肉になっちゃうかもしれない。


「それで、スノウは?」


「·········言わなきゃダメ?」


「「「「ダメ(だよー)(よ)(ですっ)」」」」


 観念するしかないか······。

 ボクは逃げることを諦め、俯きながら答える。


「ボクはEだよ」


 ·········言えない。魔法のサラシの効果で2カップダウンしてだなんて言えない。本当はGあるだなんて言ったらマジで〆られる。

 ······って、あれ?皆の反応が無いような···。


「何してんの!?」


 ふと顔を上げると、ボクにひざまずいているミオナと、崩れ落ちたロネの姿があった。フィロとメルは憧れるような目をボクに向けていて、ヘリオスとフレイはいきなりのミオナの行動に唖然としている。


「感服した。弟子にしてほしい」


 この娘静かで大人しいと思ってたけど、行動力高くないかな!?


「ボクが教えられるようなことは何もないよ?」


「もしかしたら、スノウの日頃の行動にその胸部装甲の秘訣があるかもしれない。それに、髪や肌もとても綺麗。側にいさせてほしい。お願いスノウ、いや、師匠」


「師匠!?」


 それ、もしかしなくてもボクのこと!?


「······ダメ?」


 くぅっ!そんな潤んだ目で上目遣いとかされると断りにくい!


「······本当にボクが教えられることは無いよ?それでもいいならいいけど」


「······!嬉しい」


 ミオナは先程までほぼ無表情だった顔をパアッと輝かせる。無表情キャラの笑顔は破壊力高いな···。

 こうして、なぜかボクに弟子が一人できたのである。

 あ、ちなみにロネは帰るまで崩れ落ちたままだったよ。

 


 





05/24バストサイズについて指摘があったので修正

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― 新着の感想 ―
[一言] 最大級に羨ましい(´;ω;`) 2カップ下げるならその2カップ分分けてくれませんか...?
[一言] 今回の試験は途中も最後も色々な黒歴史が増えたなこりゃ(  ̄- ̄) あとGカップ(本当はI?)なんて流石に盛りすぎだろ二次元キャラ理論だとDカップでもGサイズなのにサラシ封印状態でGだと封印解…
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