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俺より可愛い奴なんていません!!  作者: 下田 暗
五章 ミスコン優秀賞達
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俺より可愛い奴なんていません。5-13

「それじゃあ! 1問目ねッ!」


あやは元気よく声を上げると、あおいに問題を出し始めた。


「立花が告白した女の子から中々返事が貰えない。そんな時、立花はどうする??」


「は??」


綾の質問に葵は、短い言葉で更に疑問形で返した。


綾の言ったことが理解出来なかった訳ではなかったが、質問がこんな時どうする口調の質問であったため、思わず疑問形で返してしまっていた。


「いや、だからぁ〜、立花が告白した女の子から中々返事が貰えない時、立花はどうするの?って……」


綾は少し面倒そうにした後、再び同じ質問を葵にぶつけた。


「そんな抽象的なクイズなの?? てゆうか、質問じゃねぇか」


「そんな細かい事は良いんだよ! でッ!? どうするのッ!?」


葵はいきなりこの遊びの欠点を見つけ、指摘するも綾にそれをテキトーな理由で一蹴されてしまった。


「んあッ? え、えぇ〜と……、何が不満なのか聞く??」


葵は何か答えなければいけない空気にやられ、少しの間、考えた後、無難そうな答えを綾に出した。


綾にそう答えると、女子陣から「あぁ〜」っと落胆な声が上がり、北川は何故か楽しそうに笑っていた。


告白を人生で1度もした事が無い葵だったが、一応自分の中で考えた答えがここまで微妙な反応をされると流石にイラッときていた。


「なんだよ、なんか悪ぃのかよ……」


この手に関しては完全に後手に回っている葵は、明らかに不満そうな声を上げながら綾達に尋ねた。


「立花君、女の子は繊細なんですよ? そんな答えが遅いからって急かすように聞くのはダメダメです」


「立花は女装あんなに出来るのに、女心は分からなかったか〜……。

人間、心までは綺麗になれないんだね……」


美雪は諭すように葵に答え、綾は完全におちょくるようにして、ニヤついた表情を浮かべながら葵にそう言った。


美雪の言い方もカンに触ったが、それよりも何よりも、綾の言い方が1番癇に障る言い方だった。


「くっそ……加藤め…………。

じゃあ、正解はなんだよ? どうせろくな答えじゃねぇんだろ??」


完全に不利な立場な葵は、悔しそうに呟いた後、答えを彼女等に尋ねた、


「正解は、それでも女の子の答えを待つ!でしたッ!!」


綾は元気よく答えを言い放つと、葵は凄く嫌そうな表情を浮かべ、明らかに不満そうな物言いで綾達を見つめていた。


「不満そうだね! 立花!」


「あぁ、大いに不満だ……。待っても来なかったのに、答えを更に待つのか??

意味わからんし、それはもう自然消滅するだろ……」


「そこだよそこッ!!」


葵が自分の考えを言っていると、綾は何故か勢いよく食いつくようにして、声を上げた。


「はぁ? そこ??」


「そう! 自然消滅だよ!!

女の子の保留なんて基本がNOなんだから、断る理由を探してる場合がほとんどだよ!

そんなところに、自分から何処が不満かなんて聞いてくるなんて、ウザイ以外のなにものでもないよッ!!」


綾は答えが書いてあるのか、ケータイを見ながら葵に答えを言い放った。


「いや、女怖ッ!! てゆうか、サイテーだなソイツ……。

告白なんて男にとっても勇気のいる行為なのに、それを踏みにじるような……」


「女心だよ? 葵」


あまりの自分勝手な答えに、葵がブーブーと文句を垂れていると、何故か諭すようにして北川が葵にそうつぶやいた。


妙に達観しているような北川に葵は不審感が湧いてきていた。


「女心って……。

それじゃあ、北川はわかったのかよこの問題。めちゃくちゃだぞ? これ……」


「北川君はわかってたよ~! 立花と違ってねッ」


「まじかよ……。何もしないで答えをじっと待つの??

聖人かよ…………」


この問題を作った人物の人格すらも疑い始めていた葵は、この問題の正解に行き着いた人物がいたことに驚きの表情を浮かべていた。


そんなやりとりをしていると、楽しそうな雰囲気を感じてか、葵たちに声が掛けられた。


「ねぇねぇ、何の話?」


声に反応しそちらを見ると、先程まで河野に絡まれていたはずの紗枝が興味あり気にこちらに訪ねてきていた。


河野も話を中断されたのか、少し名残惜しそうな表情をしていたが、こちらの会話に興味がある様子だった。


「あぁ、紗枝ッ、丁度いいところに。

今ね、あの女心クイズを立花達にやらせてたんだ~」


「えぇ? あのクイズ??

あれ、ちょっと偏見も交じってる感じするけど……」


紗枝が会話に加わった事で綾はテンションがあがり、紗枝もこのクイズの事は知っている様子だった。


「それじゃあ、紗枝も来て河野もいることだし、二問目を出すねッ

えぇ~っと、付き合った女の子に今まで付き合ってきた人数を聞かれました。

あなたはなんて答えますか?だって」


続けて綾が質問を出すと、男三人は黙り込み、質問の答えを考え始めた。


少しの間静かになったが、そんな沈黙を一番初めに破ったのは葵だった。


「ひとまずは無難な人数をあげるな……。

二人……とか??」


「えぇッ!? 二人ッ!?」


葵が質問に答えると何故か、紗枝が割と大きな声を上げ驚いた。


「え? い、いやぁ……嘘だけど……」


真面目に質問に答えたつもりが、何故かどう答えるかではなく、実際の付き合っていた人数を告白したような雰囲気になってしまい、葵はすぐに少し困った様子で弁明した。


「え……、あ、あぁ、そうだよねッ! あははは……」


勢い余った事と勘違いしていた事に紗枝は恥ずかしそうにしながら、誤魔化すように笑って答えた。


「なになに?? 見栄かな??」


乾いた笑い声を上げる紗枝とは違い、綾はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら、葵をおちょくるようにそう言い、まじめに答えたのに妙な感じになった葵は、不満そうに「うっせ」と呟いた。


「あぁ、でも俺もそのくらいの人数で答えるな……。

少ないのも、多いのもあれだしなぁ」


河野も葵と同じ意見で、賛同するように答えた。


「とゆうことは、河野さんも嘘をつくっていう事なんでしょうか?」


「え? あ、ま、まぁ、そういう言い方されるとちょっと悪い事みたいに聞こえちゃうけど、そういう事になるかなぁ……」


河野の答えに追及するように美雪が尋ねると、河野はバツの悪そうに答えた。


河野が呟くように答えると、女性陣はあまり好印象な反応をせず、微妙な反応をみせていた。


「いや……、な、なんだよ……」


感じの悪い空気に我慢できずに葵が反応を求めるように声をあげると、綾が最後の希望と言わんばかりに、期待感をもって北川に質問をし始めた。


「北川君はどう答える? あいつらと同じ??」


綾は、葵と河野をあいつらと一括りにしながら北川に尋ねた。


綾の尋ね方に葵はイラっと感じたが、それよりも北川の答えの方が気になり、突っかかったりはしなかった。


ダメな奴らみたいに一括りにされた事を、ブーブーと喚く河野の隣で葵は北川の答えをじっと待った。


「えぇ~と……、俺は正直に答えるかな」


北川の爽やかでイケメンな顔は困った表情を浮かべ、苦笑いをしながら答えた。


北川が答えた瞬間、綾は「おぉ~」っと驚きの声を上げ、他の女性陣の印象も好意的だった。


葵はそんな周囲の反応に納得がいかずに、すかさず反論の声を上げた。


「いや、待て。

嫌な予感がするから先に言っておくが、その答えは一番どうかと思うぞ?」


「え……えぇッ、なんでですか??」


葵が反論すると綾でなく美雪が一番に反応し、その理由を問いただした。


先程の質問では自分の考えと違ったのかあまり食いつかなかったが、この質問においてはこの問題の答えがまさに自分の考えなのか、やけに美雪は食いついていた。


「い、いや、だって少ないにしろ多いにしろなんか嫌だろ??

本当に無難な人数ならまだしも、本当のこと言って多ければ遊んでると思われるだろし、少なければなんか頼りなさそうだし……。

嘘は確かに微妙かもしれないけど、変な感じになるよかマシだろ」


「それはそうかもですけど……、付き合ってるのに嘘なんて……」


葵はしっかりと自分の答えを言い、河野も同じ意見なのか隣でうんうんと首を縦に振り賛同していた。


しかし、そんな葵の答えに、美雪は葵の言っている事にも一理あると思いながらも、少し悲し気な表情を浮かべつつそう呟いた。


そして、美雪のそんな表情と悲し気な物言いに葵は、言葉を飲み込み、反論しようにもうまく言葉がでなかった。


「き、北川は? 北川はどうして正直に答えるなんだ?

別に本当の事を答えても支障ないとかはダメだぞ??」


反論できない葵は北川に話題を逸らし、逃げ道を塞ぐようにして追求するように質問した。


「えぇ? いや、それは、だって俺……、嘘下手だからバレちゃうし…………」


北川はまたもや困った表情を浮かべながら、そう答えると、再び女子陣からおぉ〜っと歓声が上がり、またもや北川の株が上がっていた。


「くッ……、もうここまでくると魔性だな……」


100点満点に近い答えをする北川に葵は、悔しそうに呟くことしか出来なかった。


北川の信頼度は増すばかりだった。

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