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俺より可愛い奴なんていません!!  作者: 下田 暗
一章 出会い……そして、拉致…………
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俺より可愛い奴なんていません。1-7

クラスの実行委員決めが無事に終わり、山中やまなかの授業を終え、クラスはまた賑やかになる休み時間へと入っていた。


橋本はしもと 美雪みゆきは授業が終わると、教材を机にしまい、次の授業で使う教材を出し準備をしていた。


すると、彼女の前から彼女に呼びかける女性の声がした。


「あの、橋本さん。」

美雪は声に反応し、顔を上げて声のした方へと視線を向けるとそこにはこのクラスの学級委員である二宮にのみや 紗枝さえの姿だった。


「あっ、二宮さん!すいません、私からお伺いに行くつもりが……。」


美雪は授業中に後で話があると言われた紗枝に次の授業の準備が終わり次第尋ねに行くつもりだったが、二宮に先をこされ、驚いた後申し訳なさそうに謝罪し、伝えた。


「いやいや、大丈夫だよ?今、話してもいい?」


「も、もちろん!」


「そっか、よかった。」


あまり話した事のない2人はぎこち無く最初はやり取りしていた。


美雪の緊張のあまり、吃りながら自分でも驚くほど大きく出た声を出してしまい、自分の挙動不審さを恨んだが、その行動は紗枝は元気な声で歓迎されたと思い、結果いい方向へと進んだ。


そして、紗枝は一気に親しみやすい話し方に変え、美雪の前の空席に座った。


「実行委員、引き受けてくれてホントにありがとう。ウチのクラスこういうのやりたがる子あんまりいないからさ、今回もくじ引きになると思ってたんだ……。」


「いえいえ、そんな。女子二人で立候補していいってなればスグに決まってましたよ。」


「それがねぇ〜……そうでも無いんだよね〜……。このクラス、私が前のクラスで一緒だった子がかなり居るからどうゆうクラスになるか、だいたい想像出来るんだけどね、ホント、やりたがらないんだよ。」


紗枝は美雪に心から感謝している様子で美雪に感謝を伝えた。


そんな紗枝に気を使い美雪はそんな事ないと、自分がやらなくても誰かがやってくれたと伝えたが、紗枝は苦笑いしながら、実行委員ならではの苦労があるのか、少しやつれた様子で答えた。


紗枝は実行委員としてクラスをまとめなければならないのと、1年でのクラスと同じクラスメイトがこの2年の学年になっても一緒になっていたため、クラスの事情が大体分かっており、実行委員の彼女は苦労が絶えないような様子だった。


「私が兼任する事も考えてたからね…………って、こんな話をするつもりじゃなかった!ごめんね?」


「いえ、大丈夫です。」


紗枝は少し自分の愚痴を話すと次から次へと溜まっていたのか、美雪と話す内にポロポロと出てきてしまい、美雪を愚痴に付き合わせてしまっていた。


そして、紗枝は静かに聞いてくれる美雪が話しやすく、関係の無い話に付き合わせていた事に気づくと美雪に申し訳なさそうにし謝罪したが、美雪の返答と彼女の表情から迷惑出なかった事がわかると、ホッと肩を降ろし、話を本題に戻した。


「えっとね、今回の実行委員なんだけど、ちょっと特殊な仕事があって、2学年の修学旅行実行委員全員の中から6人ほど特殊な仕事を任されるんだ。」


「特殊ですか?」


「うん。今回の旅行は知っての通り沖縄で、初日はホテルに泊まるんだけど、2日目は離島に民泊なのは知ってるよね?」


「はい」


桜木さくらぎ高等学校の2年の修学旅行は毎年沖縄だという事はこの高校に通う学生なら誰しもが知っている事で、2日目が民泊だということもほとんどの生徒が知っていた。


知らない生徒がいたとしてもそれはまだ修学旅行が会話の話題に上がることが少ない1年生だけだった。



「今までは生徒達の修学旅行の前に教員が事前に沖縄に行って、生徒がお世話になる民宿の各家々に挨拶を回ってたらしいの。それでね、ここからが本題なんだけど…。」


紗枝はここまで予備知識を美雪に話、本題に入る前に一息つき、ここから前年度には行わなかった今年から出来た仕事について、周りにはあまり聞こえないよう声を潜め、話し始めた。


「どうやら、今回の民宿への挨拶は生徒も行くらしいんだ……。」


「えぇッ!?」


紗枝の言葉に美雪は驚き、思わず大声を出してしまった。普段静かな美雪が上げた事もあってか、近くにいた生徒の目を引いてしまい、紗枝は少し焦った様子で口元に人差し指を立て「しっーしっー」っと美雪に呼びかけていた。


美雪は自分が注目されている事にスグに気づき恥ずかしくなっしまい顔を赤らめさせ、こちらを見ていた生徒に軽く会釈をして、小さく縮こまってしまった。


「ま、まずいよ!橋本さん!まだみんな知らない情報だから。あ、後この話は出来ればあまり広めないで欲しいんだ……。」


「す、すいません……。」


紗枝は美雪の初めて見せるそんな女性らしい可愛らしい姿を見て、彼女なりに親近感が湧き、益々親しみやすさを感じた。


「橋本さんって意外と可愛らしいね。いつも普段大人しくて真面目な子だと思ってたのから……。」


「い、いや、そんな事は……、人見知りなんです。」


微笑みながら美雪に話しかける紗枝に美雪は必死に否定したが、そんな姿すらも紗枝は可愛らしいと素直に感じた。


美雪も美雪で紗枝が男子にかなりの人気があることを知っていたため、微笑みかけてくるその表情を見て、モテる人気が分かるような気がしていた。


「そっか……。それじゃあ友達になろうよ!私もクラス委員だからこれから関わる事も増えてくるだろうし、今日のお昼一緒にいいかな?」


「え……?」


紗枝のなんの緊張もない裏表のない笑顔での自然な誘いに、美雪はまさかそんな事を言われるとは思ってもみなかったため、思考が追いつかず、ただ声を漏らし固まってしまった。


「ダメ……かな…?」


「い、いいえ!お願いします!!」


紗枝の上目で不安そうに聞いてくる表情を見て、美雪は急いで答えないといけない罪悪感に襲われ、勢いよく良い返事で答えた。


「そっかそっか、えへへ。あ、男子の方にも言っとかないといけないから言ってくるね。」


「はい!」


「それじゃ、また後でね!」


紗枝は気持ちいいほどの返事で嬉し恥ずかしさを明らかに感じている様子で笑った後、思い出したように自分のやるべきことを思い出し、その事を美雪に伝えた。


そして、美雪が2つ返事で答えたの確認すると、笑顔で軽く手を振り、席を立って立花たちばな あおいにも伝えに行った。


(ホントに可愛い人だ………、モテる理由が分かります。なんなら私も変な気持ちになりましたしね……。とゆうか、そんなことより……。)


「友達……、友達……。」


紗枝が席を立って行った後、美雪は彼女と会話した内容を思い出し、体を小刻みに震えさせ、ブツブツと呟き始めた。


(やったぁぁあ!!友達………。)


美雪は足をばたつかせ、喜びが我慢できず行動に出てしまっていた。それでも声だけは出さず、必死に体に力を入れ堪えた。


(これでもう、亜紀あきやハルにも何も言わせないぞ!!フフフ……。)


美雪はそんな事を考えつつ、ふと紗枝の方へと視線を向けるとちょうど男子に囲まれた立花 葵の元へと向かっていた。


葵はさっきの授業の問題発言が原因で男子達から必死に雑務を押し付けないでくれと頼み込まれている所だった。


そんな男子達の中に紗枝が入っていき、葵に話しかけると男子は一気に散っていき、人で賑わっていた彼の席は葵と紗枝の2人の空間へと変わっていた。


(立花さん、男子には人気ですよね…、女子と話している所はあんまり見たことないですし……。)


美雪は元々クラスの噂なんかに詳しくなく、葵が女子生徒の大半から嫌われている事を知らなかったため、どちらかというと男子の中では大人しい彼もまた自分と同じ人見知りなのだと勘違いしていた。


(立花さん、すいません。私は1つステップアップしてしまいました。)


美雪は心の中で何故か少し葵の上をいったような気になり、不気味にフフフと声を漏らし笑っていた。


美雪はその日は友達が出来たことが嬉しすぎて、思わず不気味に笑ってしまい、それを見た周りの生徒達から噂をされていたことを知るのは数日後になった。

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