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俺より可愛い奴なんていません。3-12

橋本はしもと 美雪みゆき加藤かとう あやが、二宮にのみや 紗枝さえの事を待ちながら、楽しげに会話をしていると、そこへ1人の女性が彼女達に話をかけた。


「あ、加藤さんと美雪ちゃんッ!」


綾と美雪は、会話の途中でそう呼びかけられ、会話を1度中断し、声のした方へと視線を向けた。


するとそこには、こちらに手を振る立花たちばな らん根元ねもと ゆいの姿がそこにあった。


蘭には美雪がお世話になり、ミスコンに参加するために化粧や衣装を選んでくれていた。


綾には結という『ミルジュ』のスタッフが担当し、綾の化粧や衣装を選んでもらっていた。


蘭は結と共に、そのまま美雪と綾の所までやってきた。


「蘭さん、先程はありがとうございました」


「あ、私も! 根元さん、こんなに綺麗にしてもらって……ありがとうございました!」


蘭と結が目の前まで来ると、美雪は蘭に再度お礼を述べ、美雪に続くようにして、綾も自分の面倒を見てくれた結へと感謝の言葉を述べた。


「いやいや、それが私達の仕事だしね〜」


「はいッ! 加藤さん、洋服苦しくないですか?」


美雪と綾に改めてお礼を伝えられ、蘭は少し照れ臭そうに結へと同意を求めるように答え、結も軽く頷きそれを肯定すると、今度は自分が担当した綾を気遣うように話した。


「だ、大丈夫ですッ! あんまりこういった服来たこと無かったですけど、こういったのも楽しいですね!」


綾は結の気遣いにスグに反応し、ニコッと微笑みながら答えた。


綾の衣装は、結と綾の2人にしか分からなかったため、綾が黒いローブの下にどういった服を来ているのか美雪と蘭は気になり、ミスコンの本番が余計に楽しみになった。


「加藤さんの化粧もバッチリですしね。楽しみです」


美雪は、綾と結が話す中で、自分の気持ちを素直に伝えた。


綾の衣装は、見れなかったが綾に施された化粧は見ることが出来た。


正直、その出来栄えからしても綾への期待はかなり高まった。


綾は、紗枝といつも一緒にいるために、自分はあんまり目立たないなどと言っていたが、実際の所そんな所はなく。


彼女の底なしに明るい性格と清々しい程の笑顔は、本当に魅力的だった。


化粧によってより、彼女の笑顔が魅力的に移り、そこまで派手なメイクでは無かったが、それでもしっかりと施されたメイクは機能していた。


「確かにね〜、結、今回結構表彰台狙ってるでしょ〜?」


美雪の発言に、プロである蘭も同じ事を感じていたのか、ニヤニヤとしながら結を茶化すように尋ねた。

蘭からみたらそれほど、綾の出来は良かった。


「まぁ、かなり狙ってはいますよ? 加藤さんは可愛いですからね〜」


「ちょッ、ちょっと、根元さんッ!?」


結は自信ありげに蘭の質問に答え、出場する綾本人よりも堂々としていた。


結の称賛に綾は、顔を真っ赤にしながらかなり照れていた。


「とゆうか、私達もそうですけど、蘭先輩だってかなり本気じゃないですか〜?」


結はそういって美雪を観察するようにジロジロみながら、蘭に尋ねた。


「かなり本気だね〜……美雪ちゃん可愛いからね〜」


「蘭さんまで…………」


蘭は飄々とした様子で結の質問に答え、やはり可愛いと称賛され、美雪も照れた様子で呟くように答えた。


「まぁ、今回は負けれなくなっちゃったしね。安藤あんどうさんからも発破かけられちゃったし……」


「え? そんな事あったんですか??

あぁ、だから1度自分の担当の子を呼び戻してたんですね。衣装合わせもなんかカタログから選んで無かったですし……」


安藤と話した時の事を思い出しながら呟く蘭に、1度バッチリと決めた美雪を呼び戻し、再度メイクに入った所を見ていた結は、納得した様子で答えていた。


「えッ!? 橋本さん、カタログの衣装じゃないのッ!?」


「え、あ、はい……ある方が持って来てくださった服で…………」


蘭と結の話を聞いていた綾はかなり驚いた様子で、美雪に尋ね、綾の熱に若干押されるような形で、美雪も答えた。


「ある方?」


「うん! あたしの妹〜」


綾が不思議そうに呟くと、蘭はなぜか嬉しそうに答えた。


「え? 妹さん?? あッ! もしかして、あの時教室に入ってきた?」


蘭の答えに、綾は最初はピンと来ていない様子だったが、思いたる節があったのか、声を上げた。


「そうそう。あの時入ってきた娘だよ〜」


蘭はニコニコと笑いながら答えた。


綾の思い当たった節に美雪と結も感づき、美雪は当時のことを思い出した。


美雪は1度蘭にOKを貰った後、支持された衣装を試着しようと、パーテーションで仕切られた着替える所へと向かった。


美雪と同じく、衣装合わせをしようとしていた生徒たちが、列を成していたため、美雪はそのルールに則り、最後尾へと並び、自分の順番を待った。


幾つか列が進み、そろそろ自分の番かと待ち構えていると、蘭からもう一度呼び戻され、再びメイクをする事になった。


その後だった。


美雪のメイクを行う前に、蘭は何処かに携帯で連絡を取っていた。


楽しげに、途中笑顔に何度もなりながら話し、最後に何か頼み事をすると、別れを告げ通話を切っていた。


そして、美雪がメイクを終え、蘭の言った通りに数分の間、待機しているとその彼女が現れた。


「となると、あの娘は立花の妹でもあるのか……いや、お姉さんか……?

どっちにしても立花家凄いな、姉弟全員美形じゃない!?」


途中現れた娘が立花家の姉弟の1人だと知ると綾は、興奮した様子で言葉を発した。


「ありがと。ちなみに、あの娘、椿つばきは葵よりも年下だから葵の妹だよ」


「あれが先輩がよく言ってた椿ちゃんですか…………、ホントに可愛いというより綺麗な人でしたね」


姉弟の事をよく話す蘭だったため、やはり後輩の結にも話していたようで、結は納得するような様子で呟き、答えた。


「でも、どうして椿ちゃんをあんな所に呼び出したんですか? 桜木高校の生徒でも無いですよね?」


結の質問はごもっともだった。


椿は、ここの桜木高校の生徒だということは無く、ましてや、ミスコンと関係など微塵も無かった。


「ん? あぁ、ちょっと衣装を持ってきて貰っちゃっててね〜……。

凄い嫌そうだったけど、何とか持ってきてもらっちゃった」


蘭は、当時の椿の顔でも思い浮かべているのか、楽しそうにその事を話した。


「相変わらず、無茶な…………」


蘭の破天荒っぷりな対応に、結は自分も常に仕事の時に振り回せれているのか、その気持ちよく分かるといったような様子で、椿に同情するようにして呟いていた。


「え? あれ? そうすると、橋本さんが来てるのってもしかして、立花の妹さんの服なの??

いや、立花って女装するんだよね? まさ……か…………」


綾は話の流れから、核心をつくような質問を美雪に投げた。


「え? あ、いやッ! 流石に立花さんの服は着ないよ!! …………そうだよ、妹さんので間違いないよ」


葵が聞いたら傷ついたかもしれないような一言を言いながら、美雪は答えた。


「へぇ〜、妹さんかぁ〜、だったら期待大だね」


綾をそう話すと、不意にその場に再び何処からか呼びかけるような女性の声が聞こえた。


「お〜い! みんな〜!!」


少し遠くから聞こえてくるようなその声を、その場の4人は運良く聞き逃すこと無く、しっかりと捉えた。

4人は会話を1度中断し、耳を澄ますようにして静かにし、声に集中すると、やはりどこからか、声が聞こえた。


「あッ、あそこだ!!」


声の発する位置が分かったのか、綾はそう言ってある方向指さした。


そこには、美雪と紗枝が待ち望んた1人の女性の姿があった。


一瞬誰だかその見た目で分からなかったが、少しずつ近くづく事で誰だか分かり、それと同時にその見た目に驚いた。


「え? あれって、紗枝だよね??」


「はい。声がそうなのでそうだと思います。でも…………髪が……」


不安になったのか綾は美雪に尋ねたが、美雪と綾と同じ意見を持ちつつも、その見た目から何処か不安を感じいた。


「葵の奴ぇ……、面白い事やってくれるじゃん……」


紗枝の姿を見ると、蘭はニヤリと笑いながら、楽しそうに呟いた。

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