君の香り
冷たい風が吹いて、顔をマフラーにうずめた。マフラーからはもう僕の匂いがする。つまり臭い……
白くて大きなマフラーは僕の普段の趣味とはかけ離れていて、正直似合っているとは思えない。けれど、そんなことはこれを作った君には言えなかった
-ごめん、遅れた
-本当だよ。誕生日に一時間も待つとかないわー
-マジすみません
-まあいいけど
-そだ、これつくったの。マフラー
-おお、すげぇ。けど長くない?
-え、だってこれ二人で使うんだよ
-えっと、それは……恥ずいなあ
赤黒く染まったマフラーの切れ端を鼻に近づけて君の残り香を探す
最後まで読んでいただきありがとうございます。
大晦日ということで、手元にあったものを上げてみました
200文字に挑戦してみたのですが、失敗して次にきりのいい250文字で仕上げました。