残酷な彼氏
「暇ー」
女の子の朔耶の前にいるのは幼馴染みで、彼氏の総一です。
先ほど喋ったのは、総一です。
性格は、マイペースでゆったり。
容姿は、女顔に童顔にチビというカツラさえ被れば、女の子に見える男としては可哀相な子。
そして朔耶の性格は、ポヤーっとしてるけど強がり。
容姿は、少年っぽい感じだけど、髪はツインテール。
だけど、総一の性格に偽りアリです。
「(ダルいなぁ、さっさと授業なんか潰れろ)」
クールで中身は黒いです。
「また変な事考えないの」
朔耶は、特殊能力があり、それは心を読むこと。自然と読んでしまう。小さい頃から、そうだったため、総一以外に言ったことは無かった。
「(読むんじゃねーよ)」
二重人格と言った方が分りやすいような気がする。
表面と裏面の気性が激しい。
「あれ・・・?」
「何だろうね〜?」
のんびりとした声だが、緊迫した表情。
なにがあったかというと、教室にいたはずの二人は、真っ暗闇に包まれてる。
「これぞ異空間〜?」
「呑気だよ総一・・・どうすんの?」
今までの現状なんか吹っ飛ばされた。
知識なんて皆無に等しい。
「眠いね〜」
「・・・総一」
「なに?」
朔耶の焦った声に、言葉遣いが変わった。
表面なんて関係が無くなった。
「誰だ?」
白い男の子が現れた。何年も引き籠もってるような白い肌に、汚れが無い白いTシャツだった。
「けっこう美少年・・・」
148センチ位の身長に、つぶらな瞳、ワンコのように可愛らしい。
『女・・・その能力に疑問を感じないか?』
「え・・・うん・・・思ってた」
さっきまで笑顔だったのに、表情が変わった。
『その能力は・・・神から授けられた物なのだ』
子供らしからぬ言葉遣いに驚いたが、総一は気にせずに言った。
「ふざけてんの?」
『男・・・お前にもある』
男の子の言葉にショックを隠せない二人。
「そんなものねーよ」
『人形遊びしたことは?』
何度驚けば良いのだろうか。
「するわけねーよ」
『なら、この人形を使ってみて』
総一に渡したのは、どっかの悪面の男だった。
総一は、人形の手を動かした。
すると、いつの間にかあった巨大スクリーンに映ってた男は、道端で手を上げた。
「へぇ・・・面白いじゃん」
「他にもあるの?」
青ざめて言った朔耶に男の子は言った。
『男が・・・願ったものに人形が変身する』
「・・・ふ〜ん。じゃあ朔耶にもか」
にやついた総一に泣きそうにしてる朔耶。
「いや・・・」
「最近、強がってるけどさ・・・そんなに僕って頼りない?一から調教しなきゃね」
嫌がってるの朔耶に、近付く総一。
手には朔耶の人形がある。
「・・・・洋服はぎ取れば脱げるかな?」
「え・・・」
顔を真っ赤にして逃げ回る朔耶。
『男・・・なんのために使う?』
「それは・・・」
総一は、なぜか言わなかった。
人形は元の藁人形に戻った。
「やっぱ、苛めるためだよ」
『好きな者を傷付けるのが嬉しいか?ずっと守ると誓ったのに』
何で知ってんだよ、と怒鳴り上げる総一。
朔耶は離れてたために聞いて無い。
『それを・・・どうするか・・・男次第だ』
言うだけ言って消えた男の子。
また光に包まれ、気が付くと教室に戻ってた。
「朔耶・・・?」
ただ、朔耶がいなかった。
それ以外は、何も変わらない。
「おいっ!!」
先生の叫びが聞こえたが無視した。
「くそっ・・・どこに行ったんだ?」
近所から自宅まで探したが、見つから無かった。
「どこなんだよ〜」
見つからないせいか、弱音を吐いてる総一。
「ちっ・・・人形じゃ探せないし・・・・ん?」
人形を見てると、ポケットが震えた。取り出すとケータイだった。
画面には、朔耶という字があった。
「もしも・・・」
『たす・・・けて・・・総一』
弱々しい声に、目を見開いた。
「朔耶?」
『なんか・・・倉庫が・・・寒い』
朔耶の言葉を必死に考える。
『海の匂い・・・だけど真っ暗』
近くに海がある倉庫を必死に考えた。
「たしか・・・海の近くに巨大冷蔵庫があったよな?魚を保存させるために・・・」
考え着いた途端に走っていた。
「この女どうする?」
「テレビ局に売り込まねーか?こんな能力は大金になる」
朔耶の周りには厳つい奴等がいた。
朔耶は、縄で巻かれてて動けない。
心で思ってることと言ってることが同じだから怖さが倍増。
「その前に遊ぶか?」
「!?」
「くくっ・・・泣いた顔も良いじゃねーか」
男は、朔耶に馬乗りになり衣服を脱がそうとする。
朔耶は、もがくが男の邪な心を読み苦痛を感じた。
朔耶の声にならない叫びがした途端に、男は苦しみだした。
「え・・・?」
右肩を押さえる男。どうやら折れたようだ。
理由は、総一だろう。人形を使った。
ブチブチと醜い音がした。男の一人の髪が抜けて、ハゲになった。
「・・・大丈夫か?」
「総一!!」
朔耶の縄を外した総一。怖かったのか総一に抱き付いて離れない。
「朔耶・・・大丈夫・・・もう大丈夫だからな」
優しく頭を撫でる総一。疲れたのか意識が途切れた朔耶。
「本当は・・・もっとボコボコにしたいけど、朔耶を休ませなきゃいけないし」
まだイライラが消えて無かった様子だけど、冷たい目で残骸となった奴等を見る。
朔耶を抱える前に、ソッと口付けをしてから家に帰った。
「朔耶に触れるなんて許さない・・・人形を使ってぶっ飛ばしてやる」