Prologue
息が苦しい。
だが別に酸欠とかになってる訳じゃない。いつもの事だ、そうやって自分に言い聞かせる。
『大丈夫かい? 少し呼吸回数が上昇してるようだけど』
左耳につけたインカムから、もう大分聞き慣れた人物の言葉が流れ込んでくる。
「気にすんなよ。少し緊張してんだけど、いつもの事だからさ」
嘘偽りの無い本心だ。緊張こそすれ、怯えてなどいない。
そう思ってたら、隣で立つ少女が肩を叩いてきた。
「足、引っ張らないでよ」
少女がぶっきらぼうに言う。
でも、今の彼女の言葉が本当は、彼女なりの信頼と心配なんだということも、少しずつ分かってきた。
しかし不思議だ。
まさかただの一般人だったはずの自分が、今ではこんな非日常に巻き込まれているのだから。
グローブに包まれた手が、少し震える。
その震えた手を握って、少年は小さく息を吐いた。
ここに至るまでの経緯──それまでの体験を、少年・桐前智也は思い出す。
切っ掛けは確か──
──いや、そんなもの無いに等しかったか。
初めまして。TELと申します。
僕は転生や転移を使った異世界ものが書けませんので、こういった作品を投稿していきます。
まだまだ経験不足が目立ちますが、どうかよろしくお願いします。