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第八話 サラリーマンザイ

「ついこの間まで、暑い暑いと思ってたのに、急に寒くなってきたな」

「そうですね。特に課長なんか、頭を保温するものがありませんからね」

「そうそう、木枯こがらしが地肌じはだに直接って、おいっ!」

「すいませーん」

「まったく、今時の若い者は目上の人間をうやまう気持がない。わしらの若い頃はな」

「あ、そゆの、大丈夫です」

「おい、大丈夫って言葉の使い方が変だろ。ノーサンキューの意味で使うんじゃないよ。まったく、最近の」

「ホント、大丈夫ですから」

「何だ、少しは先輩の話を聞けよ。おまえだって、来月、人の親になるんだろ」

「エッヘッヘー」

「急にデレデレになったな。名前はもう考えたのか」

「それがまだなんですよー。カミさんが妙にこっちゃって、姓名判断がどうのとか言い出しまして」

「何なら、わしが」

「あ、大丈夫です」

「だから、その言い方は。まあ、いいか。今は字画と生年月日を入力すると、自動的に運勢を判断するサイトとかもあるしな」

「そうなんです。それから、干支えとも気にしてましたね。でも、考えてみると、干支って変ですよね」

「何がだ」

「ほら、ネ、リス、トラ、ウ、タツ、ミって、どうしてタツだけ架空の動物なんでしょう?」

「ぶるぶるっ、何だか悪寒が走ったぞ。今、何て言った?」

「ですから、どうしてタツだけ架空の動物なんでしょう?」

「その前だ!」

「はあ、ネ、リス、トラ、ウ、タツ、ミ、ですか」

「ううっ、寒気がする。だいたい、リス年なんかあるかよ。ウシ年だろうが!」

「そうでしたっけ。まあ、姓名判断もなんですが、どうせなら、みんなが驚くような名前にしたいんですよね。例えば、ギネスに載るような長い名前とか。ほら、昔話にあったじゃないですか」

「昔話って?」

「ものすごく長い名前の子供の話ですよ。えーと、ジュテームジュテームだったかな」

「フランスか! そりゃ、じゅげむじゅげむ、とかいう話だ。落語の話さ」

「そうそう。落語でした。でも、あんまり長い名前は不便かなあ。それより、光ってる名前がいいかな」

「おいおい、光ってる名前って、『宇宙』と書いて『そら』と読ませたり、『火星』と書いて『じゅぴた』と読ませたりするようなことはやめとけよ。そもそも、ジュピターは木星だ!」

「あ、でも、苗字にもそういう変わった読み方をするのがあるじゃないですか。小鳥が遊ぶって書いて『たかなし』さんとか、数字の一だけ書いて『にのまえ』さんとか」

「まったく、そういうムダな知識はあるんだな」

「だって、面白いでしょう、トンチみたいで。会社の役職だってそうしたらいいと思いますよ」

「役職をどうするんだ?」

「『部長』と書いて『たぬきおやじ』と読ませるとか、『社長』って書いて」

「『わからずや』と読ませるとかって、おいっ!」

「あ、大丈夫です」

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