小夜子 ご恩返しを試みる
「ご恩返しをさせて下さいっ!!」
それが修繕されたばかりの小夜子さんの開口一番のセリフだった。
「で、何をする気だ」なぜかメイド服の彼女にそうすごまれて彼が返した言葉がそれだった。
「とりあえずは身体でっ! て事で」
「却下却下却下ぁーっ!」
「えー、だって私 他にお返しするものなんて持ってないんですぅぅっ、それにこの方法だと私の活動資源の補給もできて源十郎様も楽しめて一石二鳥なんですぅぅっ」
「なーに考えてるのよっ! 源十郎様にはねぇ神無という立派な恋人がいるんですからねっ!」
「そう、なんですか?」
「神無は、家族だ」
「源十郎様ぁーっ!」
「と、いうことでは勝負ですぅっ! どちらが源十郎様にとって役に立つか勝負なんですううっ!!」
「ふっふっふっ、受けて立とうじゃないのこれで源十郎様に私のありがたさを骨の髄にまでしみ込ませてあげますっ!!」
「負けませんよっ!、これは私の死活問題なんですからっ!!」
「おい、神無」と、呼びかける源十郎の声はもはや二人には届かないようだった。
それからの戦いは壮絶を極めた。
料理一番勝負で作られた小夜子さんの料理の出来映えは本人の「ごめんなさぁぁい、なんせ生ける屍だから味とかわかんなくてぇ、作るのは勘だけが頼りなんですぅっ!」の一語に尽きる。
続いての屋内清掃の顛末は「ごめんなさぁぁいっ、なんせ生ける屍だから力の加減がわかんなくて」という小夜子さんの声とともに屋外清掃をやるハメに陥った。
結論、小夜子さんは何もしない方が有益である。




