表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

小夜子 やっかいものとなる

 えーと、そりはなぜかと言うと生ける屍リビング・デッドの活動エネルギーの精気の摂取のためであるわけで、まぁ別にその性行為さぎょうかていを楽しんでなかったかというと、そりゃまた嘘になるわけなんですけど、さてさて、そして二人はどうなったか、気になるところではございますが、べべんべっ、べんっ! 続きはまたのお楽しみということで…」

「またのお楽しみじゃないでしょっ!!」

「ううっ、頭グリグリしないでくださいよぉ、えーっとですね。ようするにあまりの淫乱さに文字通り精も魂も尽き果ててこのままじゃ自分の生命いのちがヤバイかなっ、と思った結城ゆうき博士に愛想尽かされて捨てられたところを源十郎げんじゅうろうさんに拾われたと、そういうわけでですね。いーかげんに離してくださぁーい。いたいですーっ!!」

生ける屍リビング・デッドに痛覚なんてあるわけないでしょっ!」

「そんなことありませんって、そういう肉体を物理的に維持するための情報は再構築リプレイされるんですって、ほんっとにほんとに痛いんですってば」

「ま、そこらへんでやめておけ神無かんな、ようやくその周辺へん修繕しゅうふくが終わったところなんだから、な」

「マスタぁーっ!」


 *


「どーして、マスターは余計な者を拾ったりとかもらったりとか押しつけられたりとかするんですかっ!!」

それが彼のよさだと認識してわかっていながらも憤懣ふんまんやる方もないといった風情ふう神無かんなと呼ばれた黒髪の少女が叫ぶ。

「…、すまん、な」言われたほうの男、長身痩躯ちょうしんそうくの丸眼鏡の男は さきほどから途切れもなく続く少女の不満を聞き流しつつ人体を縫っていた。


 能登のと 源十郎げんじゅうろうは人形師である。それも代々限りなく人間に近しい人形かたしろを創ることを目的とした人形師”源十郎げんじゅうろう”の名をぐ者である。そんなかれにとって生ける屍リビング・デッドを修繕する事など 何も無い所から人体と同じ人形からだ造り出すうみだす事にくらべればはるかに容易ましな作業ではある。


「zzzzzz……」縫われている人体ほんにん小夜子さよこと名乗った生ける屍リビング・デッドはその騒音さわぎの中、心地好い眠りに入っていた。ときたま思い出したかのように寝言を言う彼女をの当たりにすると”ける屍”という呼称は確かに適当な気がしてくる。


「だいたいですねぇ、源十郎様げんじゅうろうは お人が良すぎるんです。今までだって関わらなくていい騒動さわぎにどれだけ巻き込まれたと思ってるんですか…、その度に、マスターと私しとの甘美な時間がどれだけ浪費ついやされたと思っているんですか」

「zzzzz………」


「…、マスターの浮気者っ!!」


いつも通りそれが神無かんなの最後の文句セリフだった。

「さーってとっ、それじゃそろそろ私も本格的に手伝うとしますね」

「ああ、頼む」

「まーっ かせなさいっ!!」

「…、ところでこの、やたらと豊満なバストしてますね、…()少削っておいといちゃダメですか?」

「……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ