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小夜子 居候となる その2

「えーとですね、それはそれはあるところにそれはそれは仲の良い恋人達がおりました。かれの名前は結城ゆうき 博士ひろし、あだ名は博士はかせ、女の名前は浅野あさの 小夜子さよこ、つまり生前の私というわけで、男の方は多少イっちゃってましたが たで喰う虫もなんとやらで小夜子さよこさんはその男にズッこん惚れ込んでいたそうです。


 しかすっ!


 もとい、しかしそんな彼らの幸福はそれほど長くは続きませんでした。それは神の嫉妬か はたまた運命のいたずらか べ、べん、べん! べんっ!! ある日、薄幸の美少女という形容詞のよく似合う その実とっても健康優良児であらせられた小夜子さよこさんは交通事故にわれてしまわれました。即死いっぱつであったそうです。結城ゆうきさんは悲しみました。とっても、とーっても悲しみました、悲しみのあまり普段はとんと整理もしない部屋の中を整理しました。えー、そりゃぁ整理しましたとも三日三晩徹夜で、そしてあの”マグドゥラム”とかいう秘法書の写本うつしをみつけたのです。それが書かれたのははるか以前、落書きのような日本語でそれには確かに書かれておりました。そしてその秘法書まぐどぅらむにはなんとご都合主義な事に死体しにんを蘇らせるすべが載っていたのです」

「それでっ、それがあんたがここにいることと何の関連かかわりがあんのよっ!!」

「それは…」

「それは? んんっ?」

「それは聞くも涙、語るも涙のお話でありんす。半信半疑どころか零点五信れいてんごしん九点五疑きゅうてんごぎくらいで彼はその死体蘇生術マグドゥラムなるものを試みこころみました。そして彼の施しほどこした死体蘇生術のおかげさまで小夜子さよこさんは見事に蘇りました!! 結城ゆうきさんは驚喜乱舞きょうきらんぶしました。そりゃぁもう喜びましたとも。彼女が目覚めるまでに二日、徹夜で河内かわち音頭おんどを踊ってしまわれたほどに。

 しかし、悲劇はそれからだったのです。蘇った小夜子さよこさんの脳味噌アタマはスカタコでした。それだけならまだしも生前の小夜子さよこさんの記憶がズッポリと抜け落ちてシマっていたのです。結城ゆうきさんはそれからありとあらゆる手を尽くして蘇った小夜子さよこさんに元の記憶をとりもどそうとガンバリました。どれくらいガンバったかというと三度の飯よりも大好きな五食ごどの飯を一日に三食に減らすぐらいにガンバリました。しかし悲劇はそれだけでは終わりまりませんでした。なんと、あの純心でおしとやかで控えめな温室栽培おんしつそだち小夜子さよこさんは、なんとっ! 超がつくほどのどド淫乱になりあそばしてしまったのです!!


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