小夜子 ご恩返しを試みた
「ま、季節が夏で良かったな」すっかと風景が賑やかになったその場所で源十郎は空を見上げ 呑気に呟いた。
「マスター、いま お茶でも入れますね」
「ああ、頼む」
「ごごご、ごめんなさいいっ!! わたしわたしいつもいーつっも失敗ばかりで、ううっ」
「ま、気にすることでもないさ」
「ううっ、お優しいんですね、不覚にも惚れてしまいそうです」
「こういうのは、日常茶飯事だ」
「でもでもっ、これでは やっぱりお礼にならないですぅっ、ここは私にできる唯一にして最大のご恩返しということでこの身体を好きにしちゃって下さいいいっ!!」
すぱかんっつ!!
「ダメっ! するなヤるなっ脱ぐなっ!! まーったく人がちょっと目を離すとこれだもの。って アレ!? なんか活動停止してません。…、わー、キャーーっ、私ってばもしかして人殺しっ? ううっ、源十郎様 私達はちょこっと遠くへ旅立たねばなりません。いざゆかん愛への逃避行っ!!」
「落ち着け、神無」
「そーうーでーすーっ、ちょこーっーと、こーとーぶ殴ーってくーれーまーせーんかぁー、せぇーっしょーくふりょーちょーいーと起こーしちゃーった。みたいーですぅぅぅぅーーー」
「ちぇーっ、せっかくの名演技がだ・い・な・しっ」
す、ぱぱぱぱぱ、ぱかんっ!!
「うー、どうもおありがとうございますですぅ、ときたま私の脳ミソ接触不良起こすんですうぅぅっ」
「ま、それはいいとして どう? 源十郎様もアンタも私の素晴らしさがわかったでしょ」
「ううっ、よーっくわかっりましたなんですぅぅ、骨の髄まで染み込んだんですぅ。と、いうわけで、とりあえず私が二号ってことで」
すっぱ、かーんっ!!
「もうちょっと活動停止していなさいっ!!」