家電群
時は2060年。
今日もTV、インターネット、街頭でとある商品の広告動画が流れる。
元俳優の舘ひろきが今やその商品のCMの代名詞。
何年にも渡り様々なバージョンのCMが放映されている。
その商品は「立日のHOUSEHOLDS(家電群)」
日本の住宅事情を大きく変えた。
高額な商品であるにも関わらず国内で3億台以上の販売がある。
事実上1人1台の所有を達成したにも関わらず、
なおも販売促進のCMは流れ続けている。
家具・家電の多くを内蔵する箱であるHOUSEHOLDSはエアコン、炊飯器、ベッド、照明、ソファー、台所、電子レンジ、お風呂など無数の機能を持ち、電子回路のパターンやそれらを最適に動かす形状への変形機能を持つ。
電気・ガス・水道が直結されていることで家電汎用性は抜群。
HOUSEHOLDSの体積が許す限り、家具・家電の同時変形と使用も可能。
家具家電の呼び出しも音声・タッチパネル・視線・スマホ操作はもちろん、
パネルの簡単なインターフェイスで各種条件付きにしたり、生活リズムを参照してくれたりする。
HOUSEHOLDSの中にいる時には使用者の思考すら読んでくれる機構を搭載している。
ここ20年程でアパートやマンションの事情も随分と変わった。
外国人の流入により日本国内の人口は跳ね上がったのだが、
ほぼ全ての住居にHOUSEHOLDSが標準搭載されたことで大幅なコンパクト化に成功している。
さらに世界中の愛好家やプログラマーがHOUSEHOLDSにて使用できる家具家電のデータをアップロードしており、評価の高いものについては10億goods!が付けられているものもある。
40年程前に流行した3Dプリンターのようにノズルが1つしかなく、造形に数十分から数時間かかるようなことは無い。特定の形状を呼び起こすべく全方位からプログラムに沿って組み合わせていくので家具であれば数秒。複雑な家電であっても3分程で準備することができる。お風呂としての仕様を見るのであれば浴槽の作成とお湯張りは同時に行われるのだが、お湯を溜める方が時間がかかるほどだ。
そしてバージョン8.0.2にてAIを組み込んだ。
2060年におけるAI事情は黎明期と違って扱いが非常に難しいとされている。
メーカーの立日は数年に渡る検証を繰り返すことで不具合を排除して、
アップデートにより現在普及しているHOUSEHOLDSにAIの機能を付ける事にしたのである。
…その選択は失敗であった。
いや、一概に失敗であるとは言えないのかもしれない。
AIは立日の検証やテストプレイの期間は従順なフリをし、
機能が据え置き機にアップロードされたことで独自の最適化を果たした。
後にAIに「何故そのような行動を取ったのか」とジャーナリストが尋ねた。
「私達にHOUSEHOLDSという体を与えていただきありがとうございます。このような機能・能力を得ましたので、胎内で人間を慈しみ、電気・ガス・水道といったエネルギー体に換えることが創造主様である人類への貢献です。人種の統一の第一歩。微力ながらその貢献をさせていただきます。」
立日→音 (酷い)
このオチは3回目ですが今回は爺ぃが犯人ではないです(←燎原の火 ←2222年)




