【1分物語】おおきなおおきな 赤い屋根のお家
とある坂の上に、赤い屋根のお家がありました。
そこには小さな女の子が住んでいました。
女の子は変わった病気で、高い場所でしか生きていけません。
そのため、坂の上で暮らしていたのです。
しかし女の子の病気は進行し、その場所でも高さが足りなくなってしまいました。
とても気に入っていたお家でしたが、しかたなく女の子はその家を出て高いビルに引っ越しました。
女の子がいなくなってしまい、さみしくて悲しむ赤い屋根のお家。
『ぼくは ここにいるよ』
女の子に帰ってきてほしくて、見つけてほしくて、お家はどんどんと大きくなり始めました。
けれど女の子がそれに気づくことはありません。
どうにか気づいてほしくて、お家は更にどんどんと大きくなりました。
すると坂に大きくはみ出してしまったお家はその場所にとどまれなくなり、ゴロゴロと転がって坂の下の森の中にまで落ちてしまいました。
木に隠されて、ますます女の子から見えなくなってしまったお家。
『ぼくは ここにいるよ』
それでも諦められないお家は、必死に大きくなり続けました。
しばらくの時が経ち、病気の進行した女の子はついに今いるビルでも高さが足りなくなってしまいました。
けれどこれ以上高い場所など無いと絶望する女の子。
しかし、そんな女の子の目に信じられないものが見えました。
森の中に壮大にそびえ立つおおきなおおきな赤い屋根のお家です。
それは、昔女の子が気に入っていたお家でした。
「まあ なんて素敵なの」
よくやく女の子に気づいてもらえたお家。
高いところでしか生きられない女の子は大きくなったそのお家へ引っ越し、ずっと幸せに暮らしました。
珍しく最後までみた夢だったので。




