承諾された地図
承諾された地図
「彼女は残した。痕跡を、地図を、そして—記憶を。」
私はチャン・ピルラの最後のIPログを繰り返し調べた。
城北区の閉鎖された研究棟は単なる出発点だった。
机の上に広げられた書類の山、最後までめくらなかった古いメモが目に入った。
「V-02を見つけること。キーは『旧型テープ』、進入コードは記憶。」
指先でメモをなぞった。
旧型テープ?今の時代では珍しいアナログビデオテープだ。
私はカバンを探ってスケッチブックを取り出した。
スケッチを始めようとした瞬間、城北洞研究棟の光景が頭に浮かんだ。
鍵がかかって開けられなかった小さな保管室、その中の埃をかぶった引き出し。
「そこにあったんだ。」
私はユリムに電話した。
「ユリム、今夜また城北洞に行かなきゃ。チャン・ピルラが残したものがあるの。」
ユリムの声が少し震えた。
「お姉ちゃん、本当に?またあの薄気味悪い場所に…?わかった、私も行く。でも…今回行く前にトッポッキ一皿食べてから行こう。私がおごる、オーケー?」
彼女の冗談に私は微笑んだ。
しかし、心は重かった。
チャン・ピルラ、彼女が残した地図は何を指し示しているのだろう?そしてその先にはどんな真実が待っているのだろう?
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城北洞の夜
その夜、私たちは再び城北洞へと向かった。
手には準備された照明、ドライバー、カッターナイフが握られていた。
昼よりも夜の方が安全な場所だった。
闇は秘密を隠すために作られたようだった。
錆びた鉄の扉を押し開けると、閉鎖された研究棟の冷気が私たちを包み込んだ。
懐中電灯の光が古びた廊下を照らした。私たちは慎重に保管室へ向かった。
「ここよ。」
鍵のかかった扉の前に立った。
ユリムがドライバーを取り出し、鍵を外し始めた。
ギシギシという音とともに扉が開いた。
中は埃とカビの匂いで満ちていた。
古い紙や被覆が剥がれた電線の中で、床に黒いビデオテープが落ちていた。
表面には白いラベルが貼られていた。チャン・ピルラの筆跡で書かれた文字。
「V-02 / 反応実験ログ / 転送専用」
「これだ。」
私はテープを拾い上げて言った。
「チャン・ピルラが残した実験記録。」
ユリムは慎重にテープを覗き込んだ。
「でも…これ、再生できるプレーヤーがないとダメじゃない?」
私は少し考えてから顔を上げた。
「昔、城北洞の近くに古い映像機材を扱うアーカイブセンターがあったの。美術学校の課題で行ったことがある。『アーカイブ・ラウム』って。」
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アーカイブ・ラウム
翌日、私たちは城北洞郊外の「アーカイブ・ラウム」を訪れた。
放置されたような建物の中、古い映像記録室の扉は錆びた蝶番でギシギシと音を立てた。
中では白髪の老人がVHSプレーヤーを修理していた。
私はテープを差し出して尋ねた。
「あの…これ、再生できますか?」
老人はテープを受け取って目を細めた。
彼は黙って私たちを録画室の中へ案内した。
古びたプレーヤーにテープを挿入すると、画面が滲むように点灯した。
ノイズの中で暗い実験室の場面が浮かび上がった。
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チャン・ピルラの記録
映像は静かに始まった。暗い実験室、照明の下に置かれたモニター。
そしてその前に座る女性。チャン・ピルラだった。
彼女の顔は疲れていたが、眼差しはしっかりしていた。
「この記録は…私のためでも、誰かのためでもない。だが、誰かはこれを見なければならない。」
彼女の声は低く、きっぱりとしていた。
「NP-PROJECT-Ⅲは感情治癒ではなかった。彼らは私たちの記憶を、私たちの感情をデジタルに閉じ込めようとした。
被験者たちの反応を操作し、彼らの認知を変換する実験だった。私は…それを止めようとしたが、失敗した。」
画面が変わった。若い女性がスケッチブックを開いていた。
彼女の顔はうっすらと見覚えがあった。私だった。
「被験者02番、チョン・ウンビ。彼女は特別だった。彼女の絵は単純な記憶ではなく、失われた感情を再生した。彼女はこの実験の核心だった。だが…彼らは彼女を完成させようとした。彼女の存在をキャンバスとデータの中に閉じ込めようとした。」
チャン・ピルラの声が震えた。
「ヒョン・ドユンは止まらないだろう。彼は完璧な媒介者を望んでいる。ウンビ、あなたがこれを見ているなら…逃げて。いや、戦って。あなたは彼らの絵じゃない。」
映像が揺れ動き、変わった。イ・スヨン、チョン・ソア、そして名前のない女性たちの顔が画面に浮かび上がった。
彼女たちの目は虚ろだったが、手はスケッチブックを握っていた。
「彼女たちは消された。だがあなたはまだ生きている。」
チャン・ピルラの最後の言葉が終わると、画面が消えた。
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老人の証言
映像が終わったとき、部屋の中は沈黙に包まれた。老人は重い表情で口を開いた。
「あの女を見たことがある。数年前、ここに来て自分の痕跡を消してほしいと言ったんだ。だが…一つ奇妙な点があった。」
「何ですか?」
私は息を呑んで尋ねた。
「彼女は戻ってくると言った。『私が去ったら、誰かがこの記憶を見なければならないから、と。』そしてこの住所を残していった。」
老人はポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出した。そこには見慣れない住所が書かれていた。
江原道原州 – G-系列保管所 / プロジェクト-03専用セキュリティ倉庫
私は紙を受け取って静かに言った。
「チャン・ピルラは生きている可能性がある。そして…私をそのすべての実験の『結果物』ではなく、『記憶の証人』にしようとしたんだ。」
ユリムは小さく息を呑んだ。
「お姉ちゃん、私たち…どんどん深みにはまってる。でも私、行くよ。最後まで。」
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新たな決意
その夜、
家に戻った私はスケッチブックを開いた。
チャン・ピルラの映像、彼女の断固とした声が頭の中を駆け巡った。
私は鉛筆を取り、彼女の顔を描いた。
疲れているがしっかりした眼差し、手に持ったテープ。
しかし手が自然に動いた。
新しい場面が浮かび上がった。
江原道の山の中、コンクリートに囲まれた倉庫。G-系列保管所。その中には数十台のモニターが置かれていた。
画面にはイ・スヨン、チョン・ソア、そして私の顔が浮かんでいた。
そしてその中心に、見知らぬ男が立っていた。彼の眼差しは赤く染まっていた。彼は私を見つめて囁いた。
「もう一度描け。そうすればお前は思い出すだろうから。」
彼の声は冷たく、鋭かった。
ヒョン・ドユンではなかった。
だが彼の存在はすべてを見通しているようだった。
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迫り来る真実
目を開けると、私は机に突っ伏していた。
スケッチブックには先ほど見た幻影が描かれていた。
G-系列保管所、赤い眼差しの男、そして私を見つめる画面たち。
私は席を立ち、リビングを歩き回った。
チャン・ピルラが残した地図、V-02テープ、そして原州のセキュリティ倉庫。すべてがパズルだった。
だがそのパズルの最後のピースは何なのだろう?
私はノートパソコンを開いてチャン・ピルラの映像を再び再生した。
彼女の声が部屋を満たした。
「ウンビ、あなたがこれを見ているなら…戦って。」
彼女の言葉が私の心臓を叩いた。
私はスケッチブックを再び開いた。
今度は私の手で意思を込めて描いた。
イ・スヨン、チョン・ソア、チャン・ピルラ。そして私。私たちは皆、この実験の犠牲者だった。
だがチャン・ピルラは違った。彼女は戦った。そして私にその戦いを続けるように言った。
私はユリムに電話した。
「ユリム、原州に行かなきゃ。G-系列保管所。そこに答えがある。」
ユリムはため息をついて笑った。
「わかった、チョン・ウンビ探偵、今度はその腕前で私のロト番号でも当ててくれない?トッポッキの代わりにロト1等をおごるってことで、どう?」
彼女の冗談に私は微笑んだ。しかし決意は固かった。
チャン・ピルラが残した真実を見つけなければならない。
イ・スヨンとチョン・ソアのために、そして私自身のために。
私は机の上の紙を見下ろした。原州の住所、そしてチャン・ピルラのメモ。
「進入コードは記憶。」
彼女は何を記憶するように言ったのだろう?
私はスケッチブックを握りしめ、息を整えて考えた。
私の超能力、絵を通して記憶を見る能力。それは単なる能力ではなかった。
それはこの実験の鍵だった。
その瞬間、アパートの外から微かな音が聞こえた。足音だった。
私は慎重にドアの方へ近づいた。ドアの隙間から漏れる光の下、影が通り過ぎた。
私はドアを開けなかった。
代わりにスケッチブックを開き、その影を描いた。
ぼやけた形、赤い眼差し。彼は私を見ていた。
だが私はもう逃げない。
私はチャン・ピルラの地図に従うだろう。G-系列保管所へ、そしてその先へ。