第四十九話 勇者レグルスVS団長ウォリア
数分前。
厳かな面持ちのオノルドフが俺の行手を遮った。
【アトランダムを召喚し――】
だが、刃を払いもせずに何も告げる事なく、ただ悠然と互いの肩が触れる程の傍を横切っていった。
そして……その先には待ち侘びたと言わんばかりのウォリアが緩慢に振り返って、静かに凝視する。
「此処はお前の……」
そんな無粋な言葉を遮るようにウォリアは固く口を閉ざしたまま、身に纏いしローブを颯と払って呪印を露わにして、昔ながらの稽古ように身構えた。
【標的――ウォリア・サーペンティンの装備一式、元リア・イーストの所持品。全て、破損寸前です】
そんなガラクタなんかを、ずっと大切に残していたんだな。
【一部ステータスを表示します】
Lv : 65 一般兵団員 得意技 紫電一閃 消費MP : 250000 雨天のみ使用可能
Lv : 70 副団長 オノルドフ・ナナカマド 得意技 幻影 消費MP : 一分毎に200
Lv : 75 当代勇者 シオン・ノースドラゴン 得意技 分身 消費MP : 60000
Lv : 85 団長 ウォリア・サーペンティン 得意技 焔乃化猫+白狼之霜晶 消費MP : 25000+25000
【神獣による呪いで出血、治癒魔法が効きません】
昔からこれが大嫌いだった。
人の半生の片鱗を垣間見た程度で今まで歩んできた道のりを踏み躙るような、この身勝手な表記に。
けれど、これだけはよく分かったよ。
本当に何処まで行っても、お前は変わらないな。
Lv : 1 レグルス・アイオライト 得意技 ブースト 消費MP : 5
この場所でお前の鎖を解き放った時から、俺自身がお前の枷として縛り付けてていたのかもしれないな。
それが本当にお前の願いだと云うのなら――――望み通り! 今此処でっ、全てを終わらせてやる。
全力で来い。