第零話 スローライフの終わり
ステータスオープン。
【ステータスを召喚――本人にのみ可視化】
ステータス一覧。注*この世界換算の細評。
HP : 126450/148000 MP : 99825/99997
TP : 13/13
物理攻撃力 : 289475 魔法攻撃力 : 67390
総合攻撃力 : 347390
物理防御力 : 40538 魔法防御力 : 304275
総合防御力 : 350000
俊敏さ : 96 装備品+34 専用スキルの上乗せ
耐性 : 全耐性持ち 装備品+光×闇 + 固有能力
賢さ : 97 装備品+37 全製造者、国枝京介
運の良さ : 777 装備品+747 九割九分 遺品
特殊能力 : アサシン専用スキル 蜃気楼×虚空
【例として】
HP 15万超え 超越者 MP 10万超え勇者以上。
TP 装備品での+値は不可能。特殊能力専用スキルのポイントで、回復に数十日を要する。
攻撃力、防御力。は大まかな相性等の合算。
攻防の総合最大値は初代による計測不能。
俊敏さ
15 一般人 30 冒険者 50 超越者 75〜神速
運の良さ
魔導具装備での底上げで一攫千金も一応可能
耐性
長年の体外吸収での耐性付与もまま存在する
賢さ
最低、25以下。平均値、50。最大、120まで
特殊能力
異邦人にのみ与えられし不可思議な神力――
【他に何か表示したいものはありますか?
無ければどうぞステータスに記録された映像の一部始終及び、彼等の心情をご覧下さい】
「――ケ、国枝京介‼︎」
「っ、はい」
「紛い物の勇者が来よったぞ」
「えぇ、解っています」
「だったら返事をせんか、お前ももう18になったんだろ。少しは自覚を持って行動しろ」
「つい現を。アザミさんは直ぐに村の方たちと一緒に、安全な場所へ避難してください」
喉元にまで伝播する武者震いが狂わせる。淡々と忍び寄っていく漠然とした謎の影に。
「あまり心配させるなよ、マリの為にもな」
拳を爪に食い込ませるように握りしめ、「はい」そう燃ゆる魂側から息強く呟いた。
そして、「お前は、どうするつもりだ?」
その言葉を食い気味に返せず、俺は只管に。
泥濘に嵌ったかの如く身を立ち上がらせ、背を向けるように玄関先へ爪先を廻らせる。
【敵意を察知、特別武器一覧を召喚します】
武器一覧 表記状、限定で五種まで。
{一種}
▶︎アトランダム 九種の形状変化武器 其々、固有能力を保有 製作者 国枝京介 運の良さ+30が付与されています。貧者の真髄の加護。
{二種}
ゴーストナイフ アサシン専用武器 亡霊術
{三種}
サーペンティアナイフ 致死性が世界一の猛毒蛇の具現化魔術を常時発動中 取扱注意
{四種}
サミアナイフ 半径数kmを領域に範囲攻撃を得意とする空間瞬間魔術が可能な投擲武器
{五種}
シェイクスピア 全ての攻守共に優れており、自身をも穿つ投擲を可能とする最強の矛
この身体は呪われた運命にあるのか。
【アサシン専用武器 ゴーストナイフを召喚】
虚無から忽然と現れし淀みに輝く鼠色の刃に、赤みを帯びた錆の柄を緩慢に握りしめてゆき、割れた鏡さながら眼前に翳し、薄らと己の憮然とした面構えと蕩む瞳が映り込む。
【全ての武器の研磨及び手入れを開始します。修繕が完了しました。総MP : 25000を消費】
「全てにケリをつけます」
もう僅かな震えさえ跡形もなく消えていた。
その刃を僅かに地に傾げば、アザミさんが物憂げな表情を浮かべて、強張らせた頬の皺と白髪を際立たせる小さな火種に照らされ、パチパチと優しく弾けながら乾いた音を立てて天へと昇っていく焚き火に項垂れていた。
「まだ、まだお前が目的とは限らんだろう」
「多分、いえ九割九分の確率で僕でしょう」
揺らぐ炎の影が浮かぶ、いぶし銀の面差しの先には淡い花のように彩り鮮やかなピンクの漂う目の奥に仄かに燻りながらも、波の落ち着いた青紫色に染まりし瞳が映っていた。
「必ずしも上手くいくとは限らんが、儂に考えがある。どうかこの老耄に託しては、くれないか」それは、いつになく敬語口調で告ぐ。
「……」
「……」
重苦しき沈黙が、俺を望まぬ道へと誘う。それは限りなく黒く、影の落とした方へと。
「わかりました。でしたら、せめてお側に」
「いや、駄目だ。奴と儂、二人のみの謁見だ」
「っ! はい。わかりました」
「良し。早速、取り掛かろう。それとお前ともあろうものが有りえんとは思うが、念の為言っておく」それは、自然と息を呑ませて。
「決して侮るで無いぞ。相手は仮にも勇者を名乗る男。何が起こるかは最後までわからん」
「はい」声帯を振り絞るよう力強く囁いた。まだそんな馬鹿げた存在が居るのか。
「懐かしの来客か、お前を最後にあの場所はもう使わないとばかり思っていたが……」
「?」
「それにしても。とても見えんな。お前があの再興の神とまで呼ばれた先代の元勇――」
「ギギッ!」
言葉を遮って、響き渡る甲高い声。共に流麗に振り返った先に姿を見せたのは、小鼠の群れが一心不乱に走り去ってゆく姿であった。
【小鼠 稲科植物の植種や絶滅危惧種に指定される益獣などを食べる害獣。極小サイズ】
「感じるか?」
「えぇ、微かに。とても強い気を感じます」
それも隆起した大地に募り募った、今正に噴き上げんとするかのような怒りを孕んで。
「それで身体の具合はどうだ? 傷は治ったように見えるが、やはりあれから時も経ったのだ、大分痩せてしまったように見えるが」
「今の僕でも素手で白狼の群れ程度であれば、造作もなく倒せますので。然程、問題は無いかと。それに、それに此処のご飯ってどれも美味しくて、実はここ最近で結構、太ってしまいまして。ははは、そろそろ痩せないとなぁ〜。また皆んなに怒られちゃいます」
背中に手が回らないほどの筋骨隆々とまでは行かないが、膂力は十分にある。身長だって日本人にしてはかなりある方だと思うし。
「そうか……」
その一言にホッと胸を撫で下ろし、ほんの一瞬ばかり頬が綻んで虚な瞳に光が灯された。
だが、直ぐに厳かな面持ちに移り変わってしまい「そんな格好でいいのか?」そう古着屋の一角に在るような服に鋭く問い詰める。
「ご心配には及びません。この服は皆さんが作ってくれた、とても大切なものですから。だから、絶対に壊される訳にはいきません」
【自動的に過去に設定された装備に換装及び収納します。ステータス値が向上しました】
「必ず帰ってこい、まだスープが飲み終わってないからな」
「もうその頃には、冷めているでしょう」
「また温めれば良いだけ話だ」
「そう、ですね。では、僕は近くの物置にでも隠れていますので、もしアザミさんの身に危険が及ぶと判断したら真っ先に出てきますので」貴方を傷付けさせる訳にはいかない。
「己の身ぐらい己で守れるわ、舐めるなよ童」
「はは、それは頼もしいです。可能でしたら、今回の件も是非お願いしたいくらいですよ」
「お前はこの老骨に鞭を打たせるつもりか」
「いえ。じゃあ、弱虫な自分は予めお願いしておきますね……。僕に大事があったら、彼女には『すまなかった』と伝えてください」
「早う消えんか」
「検討を祈ります」
☆
「貴様が村長のアザミ・アイオライトだな」
「左様で御座います」
村長の粋な計らいと自殺行為そのものの招きによって、カチカチと点滅する灯りに埃の被った謁見の間に顔を合わせた二人は、焚き火を囲って殺伐とした言葉を交わしていた。
「失礼ですが、兜を外しにならないので?」
「愚問だな」
「……」
「敵地の中心で無防備になる必要が何処にある?」
「はぁ、そのようなお考えで此処へ」
「或いは、そう受け取って貰って構わない」
「何分、私はそういった戦闘経験がありませんもので、戦略などはからっきし。頭の片隅にも過ぎりませんで」
「だろうな。一目見て、直ぐに解った……」
間。
徐に視線を切っていくアザミさんとは対極に来客は決して瞼に瞬く事を許さなかった。
「それにしても随分と人口の少ない村だな」
「此処は辺境の地の一つの村。我々の資源は限られていますので、こんな夜更けに無意味に貴重な時間を割く必要もありませんから」
「真似事ギャリーは、後に墓穴を掘ったな」
「……」
「……」
アザミさんが息の詰まる静寂を切り裂く。
「――こんな辺鄙な所まで御足労を煩わせました。些か、以てなしに不満を持たれておるでしょうが、突然の来訪者に対する最大限の歓迎ですので、どうか勇者様のご寛容なお心に免じて、ごゆるりと御寛ぎ下さりますと、大変感謝に耐えない所存であります故……」
「堅苦しい御託はいい。俺が来た用件だが、此処らの干魃を禁忌とされる魔法を使用し、対処した青年についてだ。結果と理由はどうであれ、万が一、村の人間内一人でもこの件に関わり、秘匿及び虚偽を述べた場合――」
目の色が変わる。
この場の全ての者が。
「親、兄弟、子供も皆罪の重さで共犯者として扱い、然るべき処罰を下す事になる。それを理解した上で慎重に言葉を選べ、村長よ」
こ、こんな感情任せな奴が、俺以外にも。
「えぇ、重々承知しております。どうぞ、構わずに。ですが、何分彼は大変多忙なものでして、既に近称の村を発っているやも知れませんので、隣村との確認に少々、お時間を取らせて頂きますが、その間、どうかお気に召すまで、この場でお待ち頂きたく思います」
「では、待とう。この件が全て片付くまで」
……。
【血圧上昇中・ステルスを解除しますか?】
いいや、まだ様子を見よう。
ナイフを一挙動で振り下ろせてしまう程の距離に潜んでいても尚、俺の殺気にすら気付けないとは、所詮は名ばかりの偽物勇者か。
その一言が脳裏を駆け抜けていったとともに紛い物に違わぬ正義君は猛禽たる突き刺すような鋭い双眸で一刹那に背後を一瞥する。
然も【現在、TPを消費してステルスを起動中。あらゆる魔法が使えません】決して探知出来ない筈の俺を見透かしているかの如く。
生憎、ヒノース大陸の神獣が目当ての単なる密猟者では無いようだ。何か裏がありそうな、そんな一抹の不安が頻りに襲ってくる。
願わくば、このまま何事もなく去ってくれるとありがたいんだが――――。
文の一つも寄越さぬ野郎が天に繋がれた一縷の望みを聞き入れる訳もなく、緩慢に立ち上がって何処かへ歩みを進めていき、俺も村長の想いを踏み躙り、渋々その後に続いた。
そして。
草花の生い茂る野原に立ち止まり、仄暗い闇夜に皓々と輝く、満月に照らされた勇者。
閑散としていて生唾を呑む、淀み切った静寂を切り裂くかのように、握りしめた柄が鮮血に染まった大剣の刃を払い、踵を返した。
間。
先に沈黙を破ったのは、奴の方であった。
「我が名は先代勇者の意志を継ぐ、異邦人殲滅作戦の後任にして北大国輩出の10代目勇者、シオン・ノースドラゴン。大義名分の名の下に異邦人であるお前を駆除しに来た」
10代目……だと?
【ステルスを解除 全ての魔法が使えます】
俺は延々と凝視していた虚無から姿を現し、緩慢に煩わしい無造作な前髪を掻き上げる。
「それを、何処で知った?」
【ステルス解除によって、運の良さが30低下しました】ほんの誤差だと思っていても案外、気になるもんだな。全く、ステータスってのは、どうしてこうも肌に合わないのか。
とは言え、せめて早朝あたりに来て欲しかったものだ。こんな静かな場ではこの能力もあまり、本領を発揮出来そうにない。曇り空だし、雨でも降ってくれると助かるんだが。
【全補助機能 一時的にON】
【236年 3月31日、日曜日 現在時刻 22 : 48。天気、曇り。気温、14° 現在地 アスター村】
【現在の仲間の数と状態を表示、――無し】
淡く蒼く透き通った、とても煩わしく懐かしの前面に押し出された文字表記。それは、視界の下半分をも平然と埋め尽くしていた。
口に出さずとも自己判断で教えてくれるのは大変有り難いが、はっきり言って邪魔だ。
【ステータス表記を消去します】
「黒色に散らばった白の無造作な短髪に大人しげな面差し。一見、中肉中背の体躯だが、全身に傷口が刻まれた筋骨隆々な長躯に、左耳にのみ特製の三日月の耳飾りをした出自不明の青年と云うのはお前だな? レグルス・アイオライト。いや、異邦人――国枝京介」
「ご丁寧にどうも」
「その左目、噂通りの義眼のようだな……」
【義眼。ステータス関連は、わわ#(*(4☆開示不可】
バグってんじゃねぇ。
チッ。
此れの奪取が目的か。でも、何の為に……。
「見つからないとでも思ったか」
「何とかなるさの精神でね」
「其の口癖を辞めろ」
カチャカチャと金属音が絶えず擦れ合う真新しく皓皓とした全身鎧に、大盾にも等しき白き鞘に収められし大剣を携えて、生暖かなそよ風で不相応な真っ白の外套を靡かせる。
おまけに異様な二本の片手剣を腰に、か。
参ったな、完全にやる気だ。
【全身鎧を適当に選択し、自動装備します】
立ち所に黒煙が内側から舞い上がり、巻く。
黒雲を帯びた鋼鉄を雑に砕いたが如く鎧。【無音且つ自動再生付与+能力を大幅強化】
身勝手に身に纏わされ、歓迎してしまった。
彼の意志に。
【謎の来訪者のステータスを検知――魔力によって、ステータスの開示を拒まれました】
だから、余計なお世話だと言っている。
「貴様は無神論者か?」
「昔は一切、信じていなかった。と、だけ」
「だろうな」
食い気味に「魔王は死んだ。もういない」不躾な前置きに乗じてそう言い放っていた。
「あぁ。故に、己が身は此処に」
「魔王の存在しない統制されたこの世界では、勇士でも、英雄でも、ましてや主役でもないお前の存在は、ただの脅威に過ぎない」
「無論、貴様もそれに含まれているだろう」
「もうこれ以上、殺しをするつもりはない。残念ながら、俺はただの忘れられた遺物だ」
「貴様は大罪に塗れた過去を贖いもせずに、ただ命惜しさに全てを葬るつもりなのか?」
「俺たちの本当の過去を知る者は、者たちはもういない。誰一人としてな……」
「詭弁甚だしい! 自らを正当化する為に並べた戯言など言語道断ッ、万死に値するッ!今此処で貴様の全ての過ちを償わせてやる‼︎」
「物騒な勇者様だな。それを何処で知ったんだ?」
……。
「あまつさえ無知なる民の棲む集落を脅かす、魔力の篭った雨を降らせているそうだなッ‼︎」
何かを咄嗟に包み隠すような慌て様で唐突に且つ脈絡もなく話をすり替えてしまった。
「王都で何か問題でもあったのか」
「知っているだろうが、龍を除いたあらゆる生命の魔力には多分の毒素が含まれている。一度、振り撒けば、忽ち動植物も当然、毒を蓄え、周囲に害を齎す。この意味が解るか?」
「その一点に付いては、全く問題無い話だ。此方も細心の注意を払っての事。特殊な技法で生み出した雨雲で十分に毒素が抜け切る時間を置いてから育てている。要らぬ心配だ」
「ほう、随分と博識だな。さぞ大変だったろう。他国の言語を習得し、非国民から知恵を蓄えるのは」
「残念ながら、俺の知識じゃない」
「……?」
「此処の先人達が数多の研究を重ねて培ってきた、努力の結晶。俺はただそれにあやかっているだけの恵まれた有象無象に過ぎない」
凍てつく風花の欠片が不穏な影を落とし、希望の光が鏤められた最果てを見上げる中、合間の聖なる森林から不浄な光が差し込み、俺にはまだ遠く、神秘な自然が輝いていた。
「そんな魔法、聞いたこともないが?」
「どうやら、辺境の地に住んだことが一度も無いんだろうな。田舎にはな、雨が数日から数週間降らないことなんてザラにある。山々には化けた狐狸に危険な猛獣、銀等級以上の魔物だって生息している上、疫病に流行病、私生活に欠かせない水質の問題だってある」
「自ら苦労を望んでいるようにしか思えんな」
「そうかもしれないな。だが、必ずしも皆が皆、物騒な都会に身を置くとは限らない。だから、あんまり先人達の築き上げてきた知恵を愚弄するような真似は、辞めて欲しいんだ。特に、勇者である誉高い存在には……」
「先人? まるで関係者のような言い方だな」
「まぁ一応、少しは暮らしているからな。多少の程度の愛着くらいはあるさ、たった数日だが」
「ほう、話と違うな」
ようやっと鼠が出てきたな。
「へぇ、どんな風に乖離しているって言うんだ?」
「貴様は此処に数年も、滞在している上に、現地の、それも尊重の娘と恋仲にあり――」
……あいつか。
「本来ならば、存在するだけでも大罪である異邦人を有う事か、村全体総出で匿っている、とな」
「ただの金欲しさの嘘かもしれないんだぞ」
「あぁ」
「それでも俺を、この村の住民を全員殺すのか?」
「勿論」
「まともじゃない」
「いつまでも、ごっこ遊びに興じている貴様にだけは、言われたくなかったんだがな」
「ぁ?」
「稚児の駄々が集落にまで累が及ぶとは」
「お前……後悔するなら今の内だぞ?」
【多重魔術に肉体超強化、筋肉増強、神速、重力遮断、第六感進化、両目に付与された神眼の全能を強制発動。アサシン専用スキル、ステルスの起動、総MP : 60000。TPを五分毎に1消費。約二時間維持可能。運の良さが30向上します。体内の魔力が臓器から多量に露出、魔素が猛毒と化して暴走しています。黒いオーラとなって、周囲の生命を全て腐らせます】
「はぁ、ハァァァ……ァァッッ」
次第に荒々しく呼吸とともに心が乱れていく。
「聞こえなかったのか? では、もう一度言おう。貴様のような低俗な異邦人風情の遊戯に付き合っている暇は無いと、言ったんだ」
【強制発動】
「前言撤回だ。今、此処で死ね……ッッ‼︎」
【現在、貴方の星が未完成ですが、優しさで満たしますか? そして、皆様方の協力による影響で景色が一部、変化します。実際の別世界への反映には約一日ほどの時間を要します。これに関してですが、こちら側と皆様方の世界との繋がりが――】
……。
【MPが枯渇しました――現在は九段階目です】
一段階
微かな肌寒さが突き抜けていく大空には、決して届きそうにない黄金色の光を帯びた、儚くとも強かな息吹きの星が浮かんでいた。
二段階
凛とした暴風が渦巻いていく天を仰げば、消え入りそうな一面を含んだ煌々たる無数の星が芽吹く草花のように産声を上げていた。
三段階
凛としたそよ風が息吹かせる天を仰げば、決して届きそうにない黄金色の光を帯びて、儚くとも強かに煌めく星々が浮かんでいた。
四段階
霜吹雪くが如く肌を突き刺す天を仰げば、未熟な者にはとても届かぬ、儚さと強かを併せ持ち、産声を上げる星々が広がっていた。
五段階
霜吹雪くが如く乾いた輝きを振り撒く、遍く星々から妙に嫌な肌寒さが降り注ぎ、不意に見上げていく中で謎の光が映り込んでいた。
六段階
凍てつく星の欠片が肌を突き刺すが如く、静けさを含んだ寒さの先へ仰ぐ中で、茂みから妙な光が浮かび上がり、空には今尚色褪せぬ輝きを放つ黄金色の運河が広がっていた。
七段階
睡魔を含んだ初春の遅咲きが残雪を運び、ただならぬ空気の張り詰めを身に吹かす先、ふと仰ぎゆく狭間に茂みから妙な光が挟み、まだ混じれぬ美しき天の川が広がっていた。
八段階
朧げな冬将軍が意識をも時折に霞ませて、並外れた細胞の躍動を後押しする寒波の先へ、つと首に無理を強いる中で茂みから幻怪な灯火が視界に差し込み、空には同じ星としての定めを孕んだ光の粒が散らばっていた。
九段階
凍てつく風花の欠片が不穏な影を落とし、希望の光が鏤められた最果てを見上げる中、合間の聖なる森林から不浄な光が差し込み、俺にはまだ遠く、神秘な自然が輝いていた。