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硝子の国のグレーテル  作者: りん
1/1

欠片1

陽太(ようた)、貴方はお兄ちゃんになるのよ。」


.



木漏れ日の優しい春の暦、僕には世界でたった一人の妹が出来た。






産まれたばかりの妹は顏を紅くして、生命の声をあげる。



小さな小さな手にそっと指先を近付けてみる。

反射的に妹は僕の指を小さな手で懸命に握った。




「この子の名前は月咲(つかさ)よ。」



月咲…。


月咲…。



「いい名前だね、お母さん。」



月咲と名ずけられた妹を、僕は抱き上げた。



まるで神の祝福を一身に受けたようなその日




僕は必ず月咲を護ろう。






そう固く誓った。







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