愛すべき人々 ~独身寮~サトチャン編
今回は~独身寮~で登場した、サトチャンのエピソードを書いてみました。
その日も風呂で頭を洗っていると、サトチャンが入ってきた。
(また、風呂ショ○、やりよるんやろなぁ…。)
サトチャンがシャワーを浴び始める。
私は素早くシャンプーを洗い流し、湯船へと避難した。
サトチャン: 「俺のぉぉ車はぁ~♪つぅしぃたぁ~♪クーラーききまくりぃ~♪」
…わけのわからん歌を歌っている…。
サトチャン: 「シートはぁ狭いがぁ~♪ 荷台はぁ広いぃ♪ 巻き込みぃ注意だぜぇ~♪」
…今日は風呂ショ○はしないようだ…。
私: 「サトチャン、風呂ショ○の癖、治ったんかいな?」
サトチャンは湯船へ入って来た。
サトチャン: 「いやぁ、ひ~にぃさん。聞いてくれまっか?」
私: 「どないしてん?」
サトチャン: 「この前、飲みに行ったら、かわいいねぇちゃんがおってねぇ。」
(風呂ショ○は治ったんかって聞いとんねん!)
私は気を取り直して話しに付き合った。
サトチャン: 「その子がわしの事えらい気に入って、朝まで付き合え言いよるんですわ。」
私: 「ホンマかいな?」
サトチャン: 「ホンマですて!わしも久しぶりやったから、朝まで『ひぃひぃ』言わしたりましたわ。」
私: 「えらいええ思いしてんなぁ。」
サトチャン: 「そしたら、今日、わしトラック押しましてん…。」
(………。)
あいかわらずサトチャンの話はむずかしい…。
しかも、何やら股ぐらをまさっぐっている…。
(頼むから湯船ではすんなや…。)
私: 「…トラック押したって、何でやねん?」
サトチャン: 「朝方、荷物積んで走っとたらショ○ベンがしとなって…。」
私: 「…ふん、ふん。」
サトチャン: 「トラックの影でしよったら、えらい激痛ですわ!」
私: 「にゃにぃぃぃ!?」
サトチャン: 「わし、思わず30cmほどトラック押しましてん!」
サトチャン: 「病院行ったらペニシリン打たれましたわ…。」
私:「………!!!」
サトチャン: 「ショ○ベンしたら痛いんですわ…。」
(淋病やがな!!!)
『ザバァァァ!!!』
私は慌てて湯船から上がった。
私: 「たのむでぇ!サトチャン!!!」
サトチャン: 「銭湯には行くな言われましてん。わし、『風呂は家に有ります。』言うといた。」
私: 「ここの風呂もあかんがな!」
サトチャン: 「ここ、銭湯とちゃいますやん。」
私: 「他の者に移るっちゅうねん!」
サトチャン: 「せやけど、こうやって風呂で揉んでたら、ちょっと楽になりますねん。」
(揉むな!揉むな!)
サトチャン: 「せやけど、ええ子やったなぁ。」
(あかん。こら、何言っても無駄や…。)
私: 「……はよ治しや…。」
サトチャン: 「…あかん、思い出した…。」
(何をごそごそしとんねん!)
(誰か助けてくれぇ!)
私はもう一度入念に体を洗い、逃げるように風呂を出た。
それ以来、寮の風呂には入らず銭湯へ通う事にした。
私は幸い移らなかったが、寮では3~4人の被害者が出てしまった。
パンチドランカーのサトチャンに理屈は通じない…。