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二章 7.報酬が貰えない……

 俺がガントツと話しているところを割って入ってきた、謎の銀髪女子生徒。彼女は一体何なのか。


「おい、誰だか知らねーが今俺が話してるだろ。順番は守れよ」

「……あなた誰?」

「いやそれはこっちのセリフだ!まぁいいか、俺は五組のアカリ・リーシャンだ」

「アカリ、ね……ふん、補欠組如きが私に意見しないで」


 銀髪女子生徒は、何故か俺の名前を聞いた途端機嫌が悪くなった。アカリという名前に何か恨みでもあるのだろうか。

 というか五組を補欠組って言うな!


「そう言うお前は何組なんだよ?」

「……私は推薦組よ。分かったならどっか行って」

「ほー、なるほど推薦組ね。それなら大層な自身も納得だ。でもそれは順番を抜かしていい理由にはならないがな」

「……何?喧嘩売ってるの?」


 俺の一歩も譲らない態度に銀髪女子生徒は更に怒りを増していく。

 このまま喧嘩でもして、どちらが上かはっきり分からせるのも悪くないかもな。この生意気な女に礼儀というものを教えてやろう。


「クアッ!(アカリやっちゃえ!)」

「焦んなって、こんな奴すぐに畳んでやるから」


 クウもこの生意気な銀髪女子生徒に腹がったているのか、今にも噛み付きそうな程睨みつけている。


「……子守り用のマジカロイドなんか連れて恥ずかしい奴ね。興が冷めた」


 だが、何故かその銀髪女子生徒はクウを見た途端俺達を見下す様な目線に変わり、小馬鹿にしながら去ろうとしだす。


「えっ、お、おい名前ぐらい名乗ってけよ!」

「……」


 結局そのまま、銀髪女子生徒は名前も名乗らず俺達の前から歩き去っていってしまった。結局あいつは一体何が目的だったのか。

 ただ、クウをバカにされてこのままで済ます訳にはいかない。あの女にはいずれ必ず今日の報いを受けてもらう。


「はっはっは!中々いい迫力だったな!このままここでやり合うのかと思っちまったよ」

「俺としてはそれでも良かったんだけどな。今回のところはお預けみたいだ」


 一部始終を見ていたガントツは、楽しそうに大口で笑っている。

 見た目通り豪快な性格の男だ。


「くははっ!やっぱり若い奴はそうでなくっちゃな。ただここで喧嘩するんなら、店が危険だから俺が黙ってなかったが」

「それは恐ろしい」

「まぁ今後学園生活を送っていけば、いずれ推薦組とやり合う機会にも巡り会えるだろうし、その日を楽しみにしてるこったな」

「へぇー、そういうイベントもあるのか。それは楽しみだな……」


 ガントツ曰く、いずれは推薦組と競い合えるイベントが来るらしい。

 あの銀髪女子生徒もそうだが、推薦組自体もどれだけ強いのか興味はあったので、今からその日が楽しみだ。


「さて、それじゃ話を戻すが、その専用魔道兵器の代金はいつ頃払えるんだ?」

「あー、そういや俺まだこの前の任務の報酬受け取ってないんだよ。シーラ先生に確認してくるからもう少し待ってて貰ってもいいか?」

「おう、そういうことならいつでも持ってこい。ただ、あんまり遅過ぎると利子付けちまうから気をつけろよ〜」


 魔道兵器の代金はいつ持ってきてもいいらしいが、あのガントツの悪どい笑みを見るに、本当に利子を付けられそうなので早めに持って来るようにしよう。


「おっかないな〜。了解だ、それじゃあまた近いうちに代金は持って来るよ。魔道兵器造ってくれてありがとうなー!」

「おう!」


 近いうちに払いに戻ることを約束し、俺はガントツの元を後にした。

 それから、今日はセロルとの訓練は休みにしているので、そのままの足でシーラの元へと向かうことにする。









 ――









 職員室に到着した俺は、扉をノックし目的の人物が居ないか中を探る。

 すると何故か、我がクラスの担任であるセリーダ先生に捕まってしまった。


「アカリ、こんな所で何をしている?」

「えーと、シーラ先生に用がありまして……」

「シーラ先生にか?む、そう言えば以前にもアカリは呼び出されていたことがあったな。他学年の教員だと言うのに一体何の用だ?」


 俺がシーラを探していることを告げると、セリーダ先生は何か怪しむように眉をひそめだした。

 俺とシーラが旧友だということは知られる訳にはいかない。ここはどうにかして誤魔化さなければ。


「先日先輩方に連れられて任務に参加させて頂きまして、その時の話を少し……」

「任務だと?ああ、確かマリナとセルシーがうちのクラスの生徒と一緒にいることで少し噂になっていたな。アカリだったのか」

「えぇ、まぁそうなんです」

「お前はいつも問題事の渦中にいるな。まぁいい、今呼んでくるからここで待っていろ」


 俺の説明を受けて、セリーダ先生は少し呆れたような目線を向けつつも納得はしてくれた。

 誤魔化せたのはいいが、何か問題児扱いされてるのは納得いかないな。俺は実力で言えば優等生の筈なんだが。


「アカリくん、お待たせ致しましたわ。先日の任務のことでお話があるそうですわね」

「はい、今ちょっといいですか?」

「えぇ、では会議室を一室借りましょうか」

「了解っす」


 セリーダ先生が既に訪問理由も話してくれていたみたいで、トントン拍子で俺達は会議室へと移動する。またシーラと密会だ。


「クウー(シーラ久しぶり〜)」

「クウも元気そうで何よりですわ」


 会議室に入ると、何故かシーラとクウが挨拶を交わしだした。シーラはクウの言葉が分からない筈なんだが。


「シーラはクウの言葉が分かるのか?」

「ふふっ、これでもクウとの付き合いは貴方様よりもずっと長いですからね。言葉は分からずとも何を思っているかくらいは分かりますのよ」

「ふーん、そういうものなのか」


 シーラは俺が封印されてからも数百年、クウと一緒に居た。それだけの時間があれば意思疎通もそつなくこなせるか。

 でもちょっと嫉妬するな。


「ふふっ、では早速本題に移りましょうか。先日の任務のことでしたっけ?」

「そうそう、この前特注の魔道兵器造っていいって言ってたろ?だから早速注文してて、それをついさっき受け取って来たんだよ」


 シーラに本題を切り出されたので、俺は腰のホルスターから先程受け取った魔道兵器を取り出しつつ説明する。

 それを聞いていたシーラの目はみるみるうちに丸くなり、非常に驚いている様子だった。どうやら俺がこんなに早く行動するとは思っていなかったようだ。


「貴方様、確かに私は魔道兵器も造れるように手配すると言いましたが、早すぎますわ……」

「はっはっは!俺の行動力を甘く見たな!まぁそんな訳で制作費が必要になったからこの前の報酬を受け取りに来たんだ」

「いえ、それは出来ません」

「……え?」


 ガンテツからも請求を急かされている為、早く纏まった金が欲しいとシーラに頼みに来た。

 なのにそれは出来ないと言う。一体何故なんだ。


「あの事件は犯人が複数人居まして、未だ捜査の最中なんですわ。ですから、まだ貴方様に渡す報酬は無いのですわよ」

「報酬が、無い……?」

「はい、残念ですがその魔道兵器の代金は、貴方様自身で用意する他無いですわね」

「そんな、馬鹿な……」


 俺は大量の報酬が出るからと聞いて、特注の魔道兵器を注文したんだぞ。だと言うのに、肝心の報酬がまだこないだと?そんな馬鹿な話があるか!

 いや、確かにシーラやマリナ達に確認もせずに勝手に魔道兵器を造った俺も悪いのだろうが、でもそれならそうと先に言っておいて欲しかった。


「仕方ないですわね。本当はこの話は生徒にしてはいけないのですが、特別に良い狩場を教えてあげますわ」

「ほんとか!?」

「えぇ、こうなってしまったのは、説明不足だったわたくしにも原因がありますからね」


 シーラは厄介な問題を抱えてしまったという感じの表情をしつつ、俺にその狩場とやらを教えてくれた。

 どうやらこのガーデニア学園の近くには、強力な魔物が多く生息している区域があるらしい。生徒は当然侵入を禁止されており、周囲は柵で覆われ警備兵もいるそうだ。


「警備が居るなら入るのは不可能じゃないか?」

「いえ、そうでも無いですわ。その狩場を東に行った所に小さな洞窟がありまして、その中を進むと簡単に区域に侵入出来るのですよ」

「へぇー、そんな抜け道もあるんだな」

「はい、中は一本道ですから迷うこと無く狩場へ行けますわよ」


 そんな便利な道があるならすぐ封鎖されそうな気もするが、危険な区域故にあまり調査も進んでいないのかもしれない。


「なるほどね、助かったよシーラ。でも話を聞く限り、そこを狩場って言ってるのはお前だけな気がするんだけど……」

「ふふっ、わたくし達にとっては宝の山ですわ。他の方々は厳しいでしょうけど」


 時折吐かれる毒っけのある発言は今日も健在だ。おっとりした顔をしながら、突然こういうことを吐くからギャップにいつも驚かされる。


「まぁ何でもいいか。とりあえず今日は暇だし早速行ってくるよ!」

「えぇ、集めた魔石はわたくしの所へ持ってくるのですわよ。貴方様では換金出来ませんから」

「了解だ!」


 そうして、シーラに狩場を教えて貰った俺は早速魔石狩りに出掛けるのだった。

 にしてもこの定期的に資金を稼がなければいけないこのイベントは、一体何なのだろうか。


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