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1話 人助けと求婚

 この世界では神託によってスキルとジョブが決まる。

 一応ジョブに関しては選択の自由はあるが基本的に神託で下されたジョブというのは適性が最も高いものであり、それ以外のものを選ぶメリットはない。


 そしてそれらの中にも当然当たり外れというものがある。

 スキルで言うならば【剣の心得】、【弓の心得】、【槍の心得】などがある。


 ちなみに今挙げたのは当たりスキルと呼ばれるもの。

 基本的に〇〇の心得というスキルが出た場合ジョブもそれに対応したものを告げられるのだ。


 そしてスキルやジョブというものはその人のこれからの人生を左右するものと言っても過言ではない。

 故に神託の日はみんな緊張するものである。

 だからこそ俺も剣の心得とかのスキルが欲しかったんだが、やっぱり神様なんていなかったね。


 ちなみに剣の心得をスキルとして宿していた場合これは人生勝ち組コースだ。

 剣士、魔法剣士、剣士と名の付くジョブは現状Sランクと呼ばれる最高のジョブだからだ

 だからそれに適性のあるスキルを貰えればそりゃもう、ウハウハって感じ。


「きゃー!剣士だって!きゃー!!!」


 ちなみに剣士が確定した奴が現れた場合こんな風に歓声が上がることも珍しくない。

 と、まぁこんなこと解説してる場合でもないんだよな。


「アルス・コール」


 俺の番が回ってきたからだ。


「君のスキルは【鑑定】、適性ジョブは━━━━【ナイト】だ」


 笑い声が上がった。



 俺はマイナス10くらいのスキルとマイナス10くらいのジョブを引いたせいで身内から縁を切られた。

 だが俺は知っていたマイナス×マイナスがプラスになることを!


 つか計算したら100じゃねぇか!最強だろこれ!

 そして俺は古物商の先代に拾われたのもあってそこまで絶望していなかった。


「何とかなるっしょ。絶望なんて何度も乗り越えてきたしな。うん」


 そんな軽い精神で俺はひたすら俺に唯一あった鑑定スキルを成長させていた。

 そして


「うぉぉぉぉ!!!!!すげぇぇぇ!!!」


 俺はいつしか物にしか使えないと言われていた鑑定スキルを生物に使えるようになっていた。

 元の目がいいのもあったのかもしれないが、モンスターの次の一手が分かるようになっていた。

 そしてそんなある日だった。


「きゃぁぁぁ!!!!」


 荒野で悲鳴が聞こえたのだ。

 女の子の悲鳴だったので俺は全速力で向かった。

 まだ小さいころだったから正義のヒーローに憧れていた。


「化け物め!」


 俺が暫く走るとドラゴンが少女を襲っているのが目に入った。

 ドラゴンが口にエネルギーをチャージし始めた。

 首の角度、チャージ時間から素早くスキルが次の一手を教えてくれる。


「ここだ!」


 ブレスが飛んできたので盾で受ける。

 するとウィンドウが浮かび上がった。

 

【カウンターが発動しました。次の技に派生可能です】

 →クルエルソード

 ・ダークソード

 ・ファイアソード


 俺は適当な技を選んだ。すると

 ザン!

 ドラゴンをいつの間にか倒していた。


「わ、わぁぁぁ!!!!!!す、すごい!今のドラゴンですよね!そんなに小さいのにドラゴンを1秒くらいで倒しちゃうなんて!王子様さんですか?!」


 少女が驚いていた。

 それに久しぶりに褒められて照れ臭かった。


「何だ?何だ?うるさいぞ?」

「う、うるさい?!あ、とにかく助けてくれてありがとうございました」


 礼を言ってくる少女。


「いいっていいって、困った時はお互い様っしょ?」


 軽く返事をして去ろうとしたのだが


「あ、あの結婚してください!王子様!」

「け、結婚?」


 これが俺と奴隷だった少女ミラとの出会いだった。



 どうやら夢を見ていたようだな。


「夢………か」


 あの時のことは今でも思い出せる。

 俺がスキルジョブ共に最低評価のものを引いた瞬間の事だからだ。


 ちなみにこれ両方噛み合わない組み合わせだ。

 鑑定なんて何に使うんだよ全く。


 ナイト、剣を持つイメージがあるとは思うがそうだ、その通り剣を持つ。

 でも、どちらかと言うとメインは盾の方だ。


 なぜかと言うと戦い方が盾で防いでから攻撃を繰り出すカウンターと呼ばれる手法がメインだから。

 これだけ聞くと強そうだが現実はそうじゃない。


「俺、ナイトなんだぜ!」

「はぁ、うっぜお前誰だよ。壁にでも話してろよ」


 こんな返事を食らうくらい雑魚ジョブなのだ。

 これだけこのジョブが不遇なのには理由がある。


 モンスターが知的になっていることだ。

 カウンター主体の奴がいる場合何をするのが1番効果的か。


 決まっている、殴らない事だ。

 防がれてのけぞったり、隙を見せたところを殴る、これしか出来ない相手がいるならこちらから殴らなければいいだけの話。


 近年のモンスターはそれを徹底して俺達ナイトに嫌がらせをしに来ている。

 その影響もあってナイト=ゴミカスが成り立っている。


 ま、普通なら泣き叫ぶ状況でも俺の場合はいい方向に捉えていた。

 冒険者になれない?考え方を変えれば素晴らしい事だ。命をかけなくていいんだからな。


「と、脱線しちゃったが、考えても仕方ねぇな、とりあえず店開けるか」


 どうやら今日も労働がこの俺を迎えに来たようだ。

 さて、今日もパラメータのチェックでもしてから行くか。


━━━━━━━━

【名前】アルス・コール

【年齢】 18

【スキル】 鑑定

【職業】 古物商

【冒険者ランク】E(鑑定士としてのランクはS)

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