24 温泉2と7階層ダンジョンボス登場
さすが、1級建築士の高田じいちゃん。完璧な設計図を作っていた。
温泉を貯めておくタンクやパイプ、汲み上げる装置や電力なども詳細に設計されている。
温泉施設の設計図もある。そうだよな、建物だけじゃなく配電・配管工事も水回りも浄化槽も必要だ。
設計図が何枚もある。
聞けば管工・電気・土木他管理技士の免許も持っているらしい。
初めて知ったが道路まですべて私道らしく大地主の所有地らしい。
だから、冬の除雪作業はどちらかというと後回しになっていたのだ。舗装工事もやっている。
コンビニができなかったり(過疎地には作んないよな)バス停までもが遠いはずだ。
電気やネット電線などの鉄柱も高田じいちゃんが関係して建てたとか。
おかげで個人の土地だし営利目的の建物ではないので申請もあっという間に通った。
じいちゃん何者なんだ。
俺のようにただ穴を掘ればよいというわけにはいかないよな。勉強になる。
必要な資材を手配してくれるが2週間くらいかかるらしい。
資材が揃うまで、まずは温泉施設と源泉までの道路作りだ。
風魔法を使い樹木を切り倒していく。地面を土魔法で整地していく。
アスファルト舗装をしていく。魔法を使うとあっという間に出来上がる。
源泉は高田じいちゃん家の北側にある山の中腹くらいにある。
また、風魔法を使い樹木を切り倒す。
土魔法である程度の広さを整地する。
次は温泉施設だ。
やはり、樹木を伐採し整地を作る。
じいちゃんが測量しそれに合わせて魔法を使い土台の基礎工事をしていく。
魔法を使えばコンクリを固める時間がかからないのでこれも2時間くらいで終わる。
資材が届き始めたので温泉を掘ろう。
ただ穴を掘るのではなく、パイプ管を通さなくてはいけない。なるほど、大型重機で何か月もかかるはずだ。
本来なら、1日1mも掘れないらしい。
でも、魔法を使えば3日でできた。初めてのことだし慣れないから慎重にゆっくりと掘っていったからだ。
次やったら1日くらいで掘れるだろう。
掘ってみてわかったことだが、この源泉の温水量は豊富なようだ。
温泉を汲み上げなくてもあふれ出てくる。
かけ流しができそうだ。
そして、温泉の間欠泉や補完する温泉タンクや電源のソーラーやガソリンの発電機などの施設を設置する。
細かな設置と配電は本職の電気屋に依頼してある。
そこから、温泉施設へと送るパイプ管を地中に埋め込んだ。
もちろん土魔法を使う。
温泉の建物は、本職の建設会社に任せることにした。といっても、町にある小さな工務店だが。
材木はすべて高田のじいちゃんの指導通り切って用意してある。
工務店には組み立てとサッシや内外装工事などを依頼している。
ある程度形ができてきた。
あとは高田のじいちゃんや他の建築関係の人たちにお任せだ。
だが、俺はあとひとつ大切な仕上げを隠している。
たまたまテレビを見て思いついた。
見てろよ、ムフフフフ
凄い、掘削から建築まで2ヶ月で終わってしまった。ほとんど、建築材料待ちに時間を費やした。
俺の魔法があれば、建築物を作るのに時間も建築費もろもろ節約できお得なのではないだろうか?
あらためて魔法の便利さを実感した。
温泉にかかりっきりだったのであまり7階層探索をしていないような気がする。
なのに、これも突然に現れた、7階層ボス部屋の金属扉だ。
最近ボス攻略をせかされている気がする。
俺は母ライオンのおかげで、すでにいろいろなスキルや魔法を手に入れている。
しかも、母ライオンの希少種といわれている所以のスキル、【スキル吸収】があるため、俺は魔物の持つスキルや魔法を吸収することができる。実際に勝手に吸収し、ますますチート化している。
だから、ボス攻略するとドロップするレアアイテムのスクロールも俺には必要ないので誰かにあげられるよう保管してある。
ただし、誰でもスキルがもらえるのかは疑問だ。スクロールを開いたときの頭痛は気を失いかけるほど半端なく痛い。
ボスを倒せるレベルがなければそれこそ命取りになるのではないだろうか。
レオやライヤに使えるかと思っていたが、魔物は自動的にスキル魔法を覚えるらしく必要ない。
レオとライヤも順調に成長している。
とにかく、ズルをしているせいか、もしくは俺のレベルが高いせいなのかはわからないがボスが出やすくなっている。
7階層ボス部屋の金属扉も一般的な玄関の大きさだった。
自動扉が開いて中に入る。
作りは6階層ボス部屋と同じだった。
草原スペースに青い空で雲ひとつない快晴だ。
レオとライヤが先行して歩き俺が後に続く。
しばらくすると、突然俺たちの耳に高音が鳴り響いた。三人とも耳がいいので、もの凄い衝撃音だった。
みると5km先に蜂の大群が飛んでいる。衝撃音は奴らの羽音から発せられた超音波攻撃のようだ。
また5kmも先なのに超音波が鳴り響く。防衛魔法は音までは防ぎきれないようだ。
俺は風魔法を応用してつむじ風を発生させ自分の周りを囲った。すると音がやわらいだので同様にレオとライヤの周りも風で囲った。
そのまま、レオとライヤは駆け出し蜂に向かって行く。
あれ、色の違う蜂がいる。レオとライヤが炎魔法で焼き払っていく。
油を大量に含んでいるせいか次々に蜂に引火して盛大に燃え広がっていく。俺たちは慌てて回避する。
蜂を倒した後進むと、やはり高速で走る超音波らしきものが聞こえる。すると燕がもの凄い速度で特攻してくる。
音は防げないが、燕の突撃は防衛魔法で弾き返せたが音がうるさい。
あれ、燕も色が違うのがいる。もしかして7階層はもっと探索すれば別の物が手に入るのかもしれないな。
俺は以前にドロップした杖を取り出し、バッターのように特攻してくる燕を手当たり次第に打ち返した。
確か100km/h以上のスピードがあるはずだが俺にはスローモーションのように見える。俺の動態視力半端ねえ。
オリンピック出場すれば間違いなく優勝できるな。
あれ、種族が違うからダメかな。
前に男女のDNAがどうこう言っていたが、ドーピング検査でばれるかな。
俺の打ち返した燕をレオとライヤがとどめを刺していく。
俺たち三人の目にも止まらぬ早業と連携で次々に燕もゲットしていく。
やはり一羽ずつ倒したので時間がかかった。
次はきっとお待ちかねのあれだろう。
牡丹じゃなくイノシシだ。
きたー!大きいイノシシが30匹くらい突撃してくる。
いかん、イノシシが牡丹鍋に見える。
俺は突撃してくるイノシシの上を渡り歩き、牙を斬りつけながらイノシシを倒していく。
周りには、イノシシ肉と毛皮や魔石が散乱している。
それをすべて収納し先に進む。
そろそろボスが登場するはずだ。6階層ボスは空に浮かぶ雲だったが、今日の空は雲ひとつない快晴だ。
おかしいなボスらしきものが見あたらない。
すると俺の頬に1本の切り傷ができたと思ったら血がしたたり落ちた。
攻撃された!!どこだ!!!
ボスらしきものが見あたらない。
【索敵】
対象:7階層ボス
0° 現在地 上空
【索敵】
対象:7階層ボス
10° 上空
【索敵】
対象:7階層ボス
5° 上空
・
・
・
上空には何も見えないが、【スキル索敵】には反応している。
しかも移動している。
レオとライヤが上空に向かってやみくもに炎を吐いた。
炎が上空に消えていく。
俺は何もない場所に揺らぎが生じたのを見逃さなかった。
【解析】
対象:7階層ボス ミニックモスキート
マイクロメートルサイズのモスキート。集団で行動する。魔核は3匹の色の違うモスキート。
なんと、今まで巨大ボスしか出てこなかったので油断していたが、今回のボスは1mmもない最小の蚊の大群だった。
おそらく擬態でもして透明に見えるようにしているのだろう。
動態視力がよくてよかった。
レオとライヤに風魔法でかく乱してもらう。はっきりとした姿は見えないが揺らめいている。
何度か繰り返す。
!!いた!!
揺らぎを見つけ大群の中に色が違う最小サイズの蚊が3匹いるのを見つけた。
俺は二人の風魔法で渦巻いている敵の中に飛び込み回転しながら、魔核の3匹の蚊を両手ではさみつぶした。
やはりシンプルが一番だ。
すると、煙がどこからか出てきて大きく膨らんでいった。
慌てて回避する。
煙が消えるとそこには、巨大な蚊が出現していた。うわ、蚊って巨大化すると怖えー。
蚊も変化できるのか。
マイクロサイズの時はそれこそ小さな集団だが大きくなると大群になった。
だが狙いやすい。俺たちは炎魔法で焼き払っていく。
色違いの魔核モスキートが見あたらない。
【索敵】
対象:7階層ボス魔核ミニックモスキート
15°上空
25°上空
45°上空
どうやら、大きくならず小さいまま大型化したモスキートに隠れていた。
俺たちはそれぞれに向けて特大炎を放った。
蚊の大群が光の粒子になって消えていく。魔石に似た丸い球状の色違いの石玉が落ちてきた、
蚊のドロップアイテムのようだ。
全部拾う。おっ、スクロールも3つ落ちていた。拾って収納する。後で調べてみよう。
魔法陣が出てきた。
今日はこれで帰還しよう。
とうとう温泉が完成した。
まさか2ヶ月で完成するとは驚きだ。
今日は会社をお休みにして全員で温泉を楽しむことになった。
ビールの試飲も兼ねている。ワインは熟成に時間がかかるので今日は俺のワイン(スキル)だ。
日本酒も何度か失敗を繰り返して【スキル錬金】で高級日本酒を作る事が出来た。
温泉と酒は最高の組み合わせだろう。
ただし年寄りが多いので要注意だ。
それに工務店や電気屋の建築関係の一般の人たちも多数招待している。
まずは温泉施設の案内だ。高田のじいちゃんが挨拶兼案内を始める。
風呂は男女に分かれている。
そして、俺の希望通り家族風呂用の小さな風呂といっても自宅の3倍は大きい風呂だが3つある。
それぞれ露天風呂つきだ。
檜の風呂に、ジェットバス風呂、露天風呂、サウナもある。
お休み所の座敷も用意した。寝泊まりできる小部屋も5室用意してある。
キッチンもついているので湯治場として使える本格温泉施設になっている。
もちろん電気もソーラーを設置しているので停電になってもこの施設は問題ない。
ガソリン発電機も設置した。
冬は太陽光が減るのでガソリンに頼るしかないが、ガソリンもダンジョンにあるので問題なく供給できる。
しかも、地熱発電なるものがあるらしいのでゆくゆくは導入してみたいと思っている。
道路に積もる大雪を解かせれば楽になる。
俺一人では考えられない仕組みが多々組み込まれている、最新温泉施設が完成した。
儲かってるし、少しでもみんなの保養になればいいだろう。
みんなして男風呂にいくと、檜の香りがする大風呂がまず目に入る。
その右横には、3畳ほどのジェットバス風呂がある。
そして左横は布で覆っておいた。みんなの前で俺は目隠ししていた布をはずした。
俺は昨日のうちにこっそりと準備用意しておいた。さあ、お披露目だ。
そこには、畳3畳分の純金風呂があった。
まさしくダンジョン産金を豊富に使った、純金風呂だ。
おおーと歓声が上がった。
小さな声で「新しいマジックだ。」「美女はでてこんのか。」とかが耳がいいので聞こえるが無視する。
「さっそく入ろう。」
「そだね。」
女たちは女風呂に行ってしまった。
男たちは脱衣所にいってしまった。
えっそれだけ!反応、薄!!
あまりにもあっけなかったので思わずうなだれてしまった。
俺ががっくりしていると、横には俺の肩に手を置き親指を立てている電気屋の親父がいた。
昨日夜中、電気屋の親父とは一緒に内緒で設置した、同士だ。
がっつりと握手した。
電気屋の親父、あんた、いい人だな。
あっこら、酒持って風呂に入るな。
誰だ、あんた?ああ、工務店の親父か。いつもはメガネかけていて裸だからわからなかった。
すでに酔っぱらっているな。そうだろう、家の酒は最高だろう。
まて、そのまま温泉に入ろうとするな、溺れるぞ。
てか、あんたんとこの従業員酔っぱらって倒れてるぞ。遠慮ねえな。
そこのじじい、女湯覗こうとするな。なにが、温泉ルールだ。
そこも、ボケたふりして女湯に入ろうとするな。ばあさんでも女だ、殺られるぞ。
男湯は阿鼻叫喚だった。
1週間ごとに宴会している気がする。
現実とファンタジーの折り合いに悩むところです。
一言「ご都合主義」万歳。
読者様の理解力と寛大さに期待しています。
応援ありがとうございます。m(_ _)m