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俺のうちにもダンジョンができました  作者: 森羅月光
第二章 新たなる出会い
21/24

21 6階層探索つづきと新たなる想い

俺はダンジョンの事を告白してすっきりした。

やはり、ダンジョンという秘密に後ろめたさと(こだわ)りがあったのだ。

そして、年寄りたちの順応性の高さには目を見張るものがあった。



以前、ワインの試飲会を開き最高級のワインのことをみんなが知ってしまった。

ワインを商品化して細々と販売はしていたが、量産のため普通の作り方もすることになった。

ダンジョン葡萄を使ったワインとダンジョン小麦を使ったビールのアルコール品を量産する計画がたてられた。

3軒先に住んでいる60代の安西のじいちゃんが、若い頃ワイナリーに勤めたことがあるらしいので担当することになった。

もちろんビール作りにも挑戦してもらう。



こそこそ俺が【スキル錬金】で少しずつ作っていたが、告白したのでみんなの目の前でワインやビールを作り飲んだ。

拍手をもらった?魔法を使ったはずなのに、驚き方が違うような気がする。



やはり、一度飲んだら忘れられない・やめられない。いつでも飲みたい。

だが、俺が作るワインは量が限られている。

だったら、材料はそろっているので普通に作ればよいのではないか!?

という事になった。



男衆がこぞって希望したので、経験者の安西のじいちゃんが担当(リーダー)に決まり、数人の女衆が手伝うことになった。

男衆の希望が殺到したが、男衆は霧中(のみたがり)になるので、仕事にならないため女衆になった。

余裕ができれば、米を使った日本酒や焼酎などにも挑んでもらうことになっている。皆、やる(のむ)気がある。



次は、大豆を使った加工品だ。やはり、年配者が多いので聞いたところ自家製品を作っていた。

まずは、味噌・豆腐・納豆・醤油を作る事にした。実際に作っているのでわりと、簡単にできそうだ。

これは、60歳代の岸田さんのばあちゃんが中心に進める。女性の岸田のばあちゃんには厳しいのではとの意見が出たが、岸田ばあちゃん若いころトラック運転手をしていたらしく、フォークリフトも扱えるパワフル女子だった。

もちろん、補佐する人は数人いる。豆腐からは“おから”や“豆乳”もとれるので、ゆくゆくは人手を増やすつもりだ。

大豆は万能食材だ。



ここにきて、ようやく俺の研究中だった道具も使用可能になった。

実は、俺の未完の道具を元大工の高田のじいちゃんが大幅に改造したおかげで完成し、小麦粉を大量に作れるようになった。

ダンジョン産・米も小麦も普通の10倍は大きいので、まさに大がかりの、大型脱穀機・製粉機・精米機になった。

パン、うどん、お好み焼き、小麦も万能食材だ。

小麦が順調にいけば、米粉もひけるので転用できる。

粉物は、ファームKANDAN製品の主力食材になりそうだ。



もちろん、今まで通り、野菜・果物・きのこや乳製品の販売もかかせない。



俺んちだけの秘密だったものが、みんなの秘密になったので、大々的(おおっぴら)に動けるようになった。

工場の施設も増強した。

これで、たとえ外部(税務署・保健所・役所など)からの検査監査があっても、堂々としていられる。

大きな米や小麦・大型機械さえ見せなければ。




あと心配しすぎかもしれないが、警察や自衛隊、情報屋(スパイ)かな。

俺たちの住んでいる地区は、町の主要地区より離れている。バスが通る大きな道路もない。

コンビニもなければ郵便局、派出所もない。隔離された地区だ。

今となってはかえって都合がよい。



ここは、小さな村だから見知らぬ人がいたら目立つし、過疎地だから見たことのない車が通るだけでも話題になる。

それらしいことがあれば、じじばば(じいさんばあさん)情報(ネット)に引っかかるはずだ。




それと、用意した現金30億円もあるし、せっかくなので活用しようという事になった。

佐々木のばあちゃんの甥っ子の弁護士さんに依頼して、両隣5軒の土地を俺が買い所有者になることになった。

先の話だが、みな高齢者なので相続などの問題が起きるとやれ親戚とか身内ともめるのを避けるためだ。

なんせ、ダンジョンのことはここにいる者だけの秘密なので、外部の者を入れたくはない。

もちろん、生活は今までの通りだ。田舎なので土地代はたかがしれている。

俺んちは、母さんが所有者だから、相続するのは俺だ。俺より長生きしそうだが。

いつのまにか、俺は大地主となった。



というか、じいさんばあさんの過去がいろいろと浮上してくる。

そういえば絹糸もあるから機織り機があれば布とか作れてさらに仕事の幅が広がる。

ひとりくらい、経験者がいそうだ。歳とった織姫が。



あれよあれよというまに、すべて年寄りたちが意見行動した結果だった。

着々と『ファームKANDAN』、拡張計画が進んでいった。




俺は、万が一のためダンジョンを囲む事も考えたが、レベルの高い強い魔物が出た場合役に立たないだろう。

逆に住んでいる家に、地下室などの避難場所を設けるというのもある。

かえって、避難場所を別の場所に設けたらと思ったが、年寄りたちはここを離れたがらない。

防御に関しては悩むところだ。万が一がない事を祈ろう。





6階層ダンジョン探索した。



まずは、サトウキビだ。母さんが言うには、“蟻蜜”はもちろんのこと、白い砂糖も大量に必要らしい。

“蟻蜜”は黒いので、白い砂糖も必要らしい。

“サトウキビ”と“シオビキ”の2種類がある。蟻が(たか)っているのがサトウだと思うが、鑑定しながら手に入れる。

“サトウキビ“を刈り取ると蟻が落ちてくるのですかさず倒す。

レオとライヤもやる気があるので手伝ってくれる。



すると、蟻なのだが、色が白色の蟻が数匹いた。


【鑑定】

種族:シロシオオオアリ

レベル8

色が白く、しょっぱいものが好物。集団行動する。



なんと、蟻も白黒いた。黒は甘い蜜で、白はしょっぱい塩だった。わかりやすい。

サトウキビとシオキビvs黒白蟻か。まぎらわしい。



俺たちは、社長(母さん)命令なので大量に倒していく。




先に進むと、あれはなんの菜っ葉だろう。緑色で1枚の葉がクッションくらい大きい葉が群生している。


【鑑定】

種族:アブナラワサビナ

レベル8

独特の刺激がある。食する時は注意が必要。




おっと、レオとライヤがめずらしくやる気を出している。

名前からして、鼻にツーンとくる香辛料ぽいが。

離れているところで爆発がおきている。

ふたりはそこへ向かって行ったので俺も慌てて追いかける。



そこでは、“ワサビ”が薄緑色の見た目はウサギと戦っていた。

このウサギ、頭に1本角が生えている。目つきも悪く、可愛くない。

なにより、50cmはあり大きい。どうやら、ふたりはこのウサギが狙いらしい。


【鑑定】

種族:ヒトツノワサビラビット

レベル8

刺激のあるアブナラワサビナが好物のラビット。甘いものは苦手。




“ワサビ”は“ウサギ”に向かって何か発射しているな。

あれは、すりおろして使う本わさびという根っこの部分か?

さすが、ダンジョン産ワサビ、根わさびを飛ばし爆発させ、食べられまいと抵抗しているのか。

対する、“ウサギ”の角が光っている。飛んでくる根わさびが魔法で爆発しないようにしているのか?

飛んでくる根わさびを受け止め、カリカリ食べている。

しぐさは可愛いが、やはり“ワサビ”も“ウサギ”も普通の3倍は大きい。



レオが“ワサビ”と“ウサギ”の対決に割ってはいり、あっさりと“ウサギ”を倒した。


『『パパ、ラビット食べたい。』』


しかたがない、解体ナイフで“ウサギ”を肉にする。

ちいさく切り分け、【ファイヤー】で炙る。

レオとライヤに与える。




すると、食べた瞬間!

ふたりが俺に向かって口から炎を吐いた。

よかった、防衛魔法を展開していて、黒焦げになるとこだった。



『『!!!()()()()!!!』』



ふたりは、地面で叫びながらのたうちまわっている。

俺は【ウォーター】で水を出すと、二人は我先にと飲み始めた。

二人が落ち着いたので、俺も“ウサギ肉”を食べてみる。

おおー、肉をわさび付けにした大人の味がする。前もってわさび付けとわかっていれば、これはこれで美味しい。

だが二人には、まだこの大人の味は早いようだ。

とりあえず、残っている肉を収納する。




お、“ウサギ”があっちにもいるな。

そうだ、魔核を攻撃してドロップアイテムにしたら味はどうなのだろう。

気配を消して、“ウサギ”に近づき【解析】するとどうやら魔核はあの角のようだ。

すばやく、角をナイフで斬りつけ攻撃すると“ウサギ”は光の粒子となり肉の塊になった。



俺は肉を切り取り【ファイヤー】で炙り、食べてみる。

すると、辛くなく極上の肉の味だった。

レオとライヤに与える。

さっきひどい目にあったせいか臭いを嗅いでいる。すぐには食べなかった。



「辛くないから食べてみろ。」



俺が言うと、二人は肉を食べ始めた。

すると、満足そうに咀嚼し始める。

よかった、これなら二人も、“ウサギ”を食べられる。




レオとライヤに“ウサギ”を狩るときは角を狙うように言った。

そして俺たちは、“ウサギ”を20頭くらい狩り、家に帰ることにした。



家に戻ると、レオとライヤがさっそく母さんに、“からいウサギ肉”の話をしている。

それを聞いた母さんが食べたいと言ったので、ちょうど工場にいた年寄り数人も一緒に食べることになった。



さすがに、前もってわさび付けと言ってあるので、年寄りにはさっぱりしているとなかなかの好評だった。

何気なく見ていてふと気づくと、80代いや70代後半の佐々木ばあちゃんも食べている。

あれ、肉食()ってるけど歯が丈夫なんだな。佐々木ばあちゃんを鑑定してみる。



驚いた。個人情報なので結果(とし)は言えないが、レベル2になっている。

そういえばレオが魔物の肉を食べるとレベルが上がると言っていた。

もしかして、近所にはスライム水や野菜に始まり、“もぐねず”や“蛙”の肉を配っているので、魔物を倒さなくても食したからレベルが上がったのかもしれない。

ダンジョン魔物肉の効果を知ってしまった。





ちなみに、恐くて母さんは鑑定できない。

だって、ずっと俺とダンジョン品、飲んで食べているから。





お読みいただきありがとうございます。

あいもかわらずマイペースで話は進みます。よろしくお願いします。


最近、感想が気になっています。感想お待ちしております。


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