15 相棒の成長がとまらない、5階層ダンジョンへ
ほとんど、レオとライヤの二人で4階層は攻略したと言ってよいだろう。
今日から5階層だ。
一人の時、新しい階層には不安と期待が入り混じっていたが、相棒がいるとこんなにも気持ちが変わるのを実感した。
どんな魔物がでてくるか楽しみだ。
【鑑定】
種族:神人類 神崎達也 27歳 男
レベル268
スキル 【鑑定・錬金・麻痺耐性・毒耐性・熱耐性・威圧・暗視・隠蔽・危険察知・気配遮断・追跡・地形把握・広範囲索敵・解析・認識阻害・吸収・分解・合体】
魔法 【水魔法、氷雪魔法、炎魔法、風魔法、土魔法・電撃魔法、光魔法・闇魔法・亜空間収納魔法、重力魔法・防御魔法・回復魔法・生活魔法・収納魔法】
【鑑定】
種族:ホワイトエンペラーライオン レオ 生後18日 オス
レベル16
契約者:神崎達也
ダンジョンネコ科系モンスターの最強種。
【鑑定】
種族:ホワイトエンペラーライオン ライヤ 生後18日 メス
レベル14
契約者:神崎達也
ダンジョンネコ科系モンスターの最強種。
順調にふたりもレベルアップもしている。
魔法陣を使い、5階層ダンジョン・デビューだ。
5階層ダンジョンも広い空間だった。
ん、あれは稲か。5Km先に黄色の稲穂の群生がみえる。
レベルのおかげで、俺の視力は5Km先も見える。
【スキル 索敵】を使うと、5Km先に、敵の表示が12か所でた。
どうやら、稲穂の中に潜んでいるようだ。
「レオ、ライヤ。稲穂の中に敵がいるぞ。気をつけろよ。行くぞ。」
『『はーい』』
俺たちは稲穂に近づいていく。
驚いた、見た目は普通の稲穂だが、穂のひとつひとつが俺の手くらいあり、高さも3mはあるだろう。
ん、あっちで稲穂がムチのようにしなっている。何かを打ちつけているようだ。
見ると、そこには、50cmはある、バッタ、いやイナゴがいた。イナゴに3把くらいの稲が攻撃していた。
稲穂も動くのか。
違う場所をみると、イナゴが、穂をかじって食べている。こちらは、イナゴが勝利したのか。
イナゴは穂を食べようと、稲は食べられまいと抵抗している戦闘箇所がいくつもある。
稲の群生もわずかだが動いている。さすが、ダンジョン稲。
あれ、米だよな。大きいけど、ダンジョン産だし、きっと旨いよな。
イナゴはイナゴの佃煮があるが、今回はやめておこう。
母さんは食べるな。いや、イナゴ、見なかったことにしよう。
今は米だけゲットしよう。
俺は稲をつかみ刈ろうとしたら、稲が攻撃してきた。俺は、防御魔法を展開しているのでびくともしない。
ナイフで稲を刈り、収納する。家に帰ったら食べてみよう。ちょっと多めに刈った。
レオとライヤは、稲やイナゴに興味なさそうだ。
俺たち三人は先に進んだ。
次に出会ったのは、小麦畑だった。
これも大きい、3mはあるだろう、
小麦もイナゴと戦っていた。
小麦の穂も大きく、1本で相当な粉量になりそうだ。多めにゲットしていこう。
小麦粉、母さん喜ぶな。
レオとライヤは、興味なさそうだな。
しばらく歩くと、桑畑があった。
こちらも1枚1枚の葉が大きい。座布団くらいの大きさがある。
うわっ、桑の葉には、やはり50cmの大きな芋虫が葉を食べている。葉も大きければ芋虫も大きい。
おっ、あっちでは葉と葉が合わさり、芋虫をつぶしている。ここは、桑の葉vs芋虫か。
まてよ、桑の葉と芋虫?の組み合わせはもしかして。
芋虫を鑑定した。
【鑑定】
種族:テンサンカイコ
レベル7
ゴカイゴカの幼虫。桑の葉が好物。
芋虫、いや蚕の腹部にあるひし形の魔核らしきものを、ナイフで一撃で倒す。
蚕は一瞬にして光の粒子になり、糸巻になった。
【鑑定】
絹糸 1Kg
別名シルクともいわれ、糸の最高級品。なめらかな肌さわりの布の材料。
すごい。蚕が糸になった。とりあえず収納しておこう。
レオとライヤは、じゃれて遊んでいる。やはり興味ないみたいだ。
「おーい、行くぞー。」
俺は歩き始める。ふたりはじゃれながらついてくる。
今度は、枝豆、いや大豆畑と出会った。
ここも1枝が大きいし、房が巨大だ。
たぶん、豆ひとつで卓球の玉くらいはあるだろう。
ここの天敵は、いたいた。あれは、足の長さもいれると1mはある蜘蛛か。あれだけ大きいと、不気味だし怖いな。
おおー、豆が飛びだして蜘蛛を粉砕した。
強いな大豆。あっちでは、蜘蛛が糸をはりめぐらせ、豆を受け止めている。
蜘蛛vs大豆の戦いはほっといて、大豆をゲットした。
神崎牧場は年寄り多いから、たぶん味噌や醤油の作り方、いや作っているだろう。
帰ったら聞いてみよう。
そういえば、蜘蛛は何になるんだろう。
蜘蛛を倒そうとしたら、先を越された。
蜘蛛を長い舌が伸びてきて、からめ取っていった。
舌の先には、蛙?がいた。緑と黒のまだら柄のウシ蛙に似た姿だが、体長1mはある。
レオが、いつのまにか蛙のところにいた。大きな蛙を一撃で仕留めた。
蛙は、光の粒子にはならずそのままの状態で絶命していた。
『蛙、食べる。』
まてまて、俺はあわてて止める。
「血ぬきしたほうが、うまいんだぞ。」 (多分)
『血ぬき?てなあに』
俺は1回だけ卵を産まない鶏を捌いたことがあったので、実際に血をぬく作業をレオに見せることにした。
蛙を逆さに持ち、首の頸動脈を切り、血をぬく。
血を抜き終わると、レオが聞いてきた。
『食べていい』
「まだだ。」
次は解体だ。魔石もそのまま残っていたので切り離す。
俺が食べられるんだから、レオも食べれるだろう。魔法で浄化し、レオに与える。
腹を裂き内臓を取り出す。戦闘用ナイフの切れ味が良すぎて、皮というか肉をかなり削り取ってしまった。
10等分くらいに切り分け、水魔法で洗い流し、浄化魔法をかけ、炎魔法で焼く。
こんなもんか。
ビニール袋にのせ、レオに与える。
「いいぞ、食べて。」
レオは嬉しそうに尻尾をぴんと張り、肉に齧りついた。
「ライヤも食べるか?」
『いらない。』
レオが肉を咀嚼しながら言った。
『肉を食べないと力がつかないよ。魔物の肉を食べればレベルが上がるって、消えたママが言ってたよ。』
なに、そうなのか?
確かにスライム水や野菜たちは体に良い。
もしかして、蛙も旨いのかな。確か、どこかの地域では食用蛙食べてるな。
『それじゃ、食べるわ。』
「ライヤにはもっと、細かく切ってやろう。」
レオに与えた肉より細かく切って、ライヤに与える。
ふたりはまだ、小さな乳歯が生えたばかりで食べずらそうだが、何度も齧りながら飲み込むように食べた。
うーん、ふたりの成長は早い。
しかし、5階層ダンジョンはなんといえばよいのだろう。
米と小麦にイナゴ、桑に蚕、大豆に蜘蛛と蛙。粒子になって消えたのは、米と小麦と大豆に蚕か。
蛙はそのままなんだな。今までの階層とは少し違うなあ。
とにかく、蛙の肉が気になるので狩ろう。
俺は二人が食べている間に、大豆や蜘蛛と蛙を倒し、ゲットしていくことにした。
もちろん、反撃されるが、俺にはかすり傷ひとつ負わすことができない。
蜘蛛ドロップはレース(布)だった。
蛙がいた。俺が蛙のお腹にある魔核を攻撃すると、蛙は光の粒子となり消え、あとに肉の塊が落ちていた。
あれ、ドロップした。
【鑑定】
ベルツノカエルの肉
10Kg
良質のたんぱく質で瞬発力をあげる効果がある。
ドロップすると血ぬきや解体しなくてすむから、楽でいいな。
うーん、でも、なぜアイテムドロップしたのか。
そういえば、母ライオンも粒子となり消えたよな。
そうか、魔核だ。レオは蛙の頭を一撃だったが、俺は魔核を攻撃した。
魔核を攻撃すると、ドロップアイテムになって、魔核以外の攻撃で倒すとそのままの状態なのか。
新たな発見だった。
とりあえず、蛙の肉の塊をビニールの袋に入れ、収納する。
二人も食べ終わったので、探索続行だ。
その後も、稲・小麦・大豆畑の集団と出会い、イナゴや蚕、蜘蛛の魔物もみかけた。
しばらくすると、見たことのない植物の畑の集団にであった。よく見ると穂先に白いものがついてる。
これは、綿の畑か。でも目の前の綿は、やはり長さが2mはある。あっ、初めて見たから、これが普通だと思えば納得できるかも。綿畑も現実は小さいんだろうな。
おっ、蜘蛛と蛙がいる。
蛙は蜘蛛を捕食しようとして、蜘蛛の近くにいた。だが、その蛙を捕食しようとしていた魔物をみつけた。
ねずみのような?もぐらのような?魔物だった。でかい、1mはあるだろう。
見た目はねずみだが、土の中から突出して、蛙に襲いかかっているのだ。
仕留めた蛙を土中に引きずり込んでいる。あっ、ライヤが爪をつきさして、蛙と『ねずもぐ』仕留めた。
【鑑定】
種族:アースモールマウス
レベル9
土の中で生活しており、土の中から獲物を狙う。長いかぎ爪が武器。
魔核攻撃ではないので、蛙も『もぐねず』もそのままの姿か。
そういえば、4階層で変わった短剣もらったな。
その名も解体ナイフ。
魔物を解体し、ドロップアイテムにする魔導剣らしい。
俺は短剣を収納からとりだし、蛙につきさしてみた。
すると、光の粒子となり消えた後には、蛙の肉の塊がドロップしていた。
続けて、『ねずもぐ』をさす。
光の粒子の後には、肉と毛皮とかぎ爪がドロップしていた。
おお、便利だ。
しかし、ダンジョン産すべて大きいから、肉がとんどんたまっていく。
5階層ダンジョンの探索を続けた。
家に戻り、気になっていた蛙と『ねずもぐ』の肉を調理することにした。さすがに焼いただけでは抵抗がある。
まずは食べやすい大きさに蛙の肉を切ろうとしたが、普通の包丁では切れなかった。刃が欠けた。
【スキル錬金】でアダマンタイト製包丁を作った。お、普通に切れる。まな板まで切れた。アダマンタイト製のまな板を作った。
これを、甘醤油につけておく。から揚げ粉をつけて、あとで油であげよう。
『ねずもぐ』はシチューにするか。
レオもライヤも肉を食べていたから、シチューも食べられるだろう。
大鍋を用意した。
もちろん、野菜はダンジョン産のじゃがいも、玉ねぎ、にんじん等などを使う。
途中、母さんがきて手伝ってくれる。相変わらず、高性能食い物レーダーを持っている。
大量に作ってしまった。
まあ、いいか。台所に旨そうな匂いが充満する。
俺と母さんはお互いにつまみ食いしないよう見張りながら、食卓にから揚げとシチューの大皿を並べた。
もちろん、レオとライヤ用にも大皿に盛りつけた。
巨大な米を、母さんに見せたら驚いていた。さすがに炊飯ジャーでは炊けないだろうという事になり、大鍋にいれ、しかも藁で炊き上げると美味しいとのことなので、屋外で炊いた。
「「『『いただきます。』』」」
無言で四人は食べ続けた。
旨すぎる。なんだ、こんな美味しいから揚げ食べたことがない。
一口齧ると肉汁か油かわからないが、しみわたり、たまらない。
ご飯は一粒が大きいので少しずつ食べていたが、しまいにはかぶりついた。
つやといい、藁のかすかな芳ばしさといい、ホクホク感といい、とにかく美味しい。
シチューは啜りまくった。
いちいち、台所によそいに行くのが面倒になり、テーブルに大鍋をのせた。
母さんが、黙々とよそう。俺はレオとライヤと自分の分を、せっせとよそう。
あっという間に大量に作って用意した料理が消えた。
5階層ダンジョンすばらしい。
5階層ダンジョン探索が始まりました。新キャラが続々出てきます。
5階層ですでに設定にいろいろと無理やり感がありますが、ご都合主義、万歳!ネームセンスのなさに、黙認!(要作者願望)
誤字報告ありがとうございます。続々届いています。訂正おいつけません。未熟な文作でごめんなさい。
感想ありがとうございます。返信おいつけません。すべて読ませていただいています。
ますますのご声援ではなく、文字援(応援)よろしくお願いします。