表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/38

2-18 長女ユイ

お城に戻ると、すでに兵士が待っていた。

どうやら、時間に遅れてしまったらしい。


「す、すみません」

「いいえ、大丈夫です。ささ、こちらです」


お城の中を案内される。


「まずは、長女のユイ様から面談となりますのでお願いします」

「OK!」


と、言ったものの何を話せばよいのやら。

シールディに聞いてみよう。


「とりあえず、困ったことはないかヒアリングしてみてはいかがですか?」

「ヒアリングかー。ユイは確か、土地や家に関しての担当か」

「実績は上げられているので、このままの調子で頑張ってもらえばいいのではないでしょうか?」

「う~ん、そこがなあ」


僕は腕組をした。

実は、気になることがあるが、シールディに言う必要はないか。


「ライカ達はまだ帰ってきていないようです」

「忙しいのかな」

「そのようですね」


通路を何回か曲がり、階段を上がると、どうやら目的地に着いたらしい。

これは、案内役がいないと、絶対に迷子になる。

パンでも道しるべに落として来ればよかったか。城を汚したら怒られるだろうけど。

目の前には大きな扉が構えている。赤と黄色で装飾されていて派手だった。

ここがユイの部屋というわけだ。


「勇者様、身体検査と武器の類をお預かりしても良いですか?」

「え? この前は検査もなかったし、武器も預かられなかったよ」

「あの時は大勢の前で、しかも皆様と座る位置も距離がだいぶ離れておりました。兵士もたくさん控えていました。しかし、今回は、勇者さまと姫様の2人だけの面談なのです。疑っているわけではないですが、防犯には協力してもらいたい」

「全然構わないよ。隙にして」


僕はズボンに手をかけ脱ごうとすると、


「ゆ、勇者様、ズボンは脱がなくてもいいです。服は着たままチェックしますので」

「そうなの? 分かった」


しまった、最近は裸に関わる事件が多かったので、抵抗がなくなっていた。

変態紳士の道を歩まないように気をつけなくては。


僕は、両手を上げて身体検査を受けた。


「大丈夫です。ご協力感謝致します」

「あとは、武器か」


僕は、鞘を握りしめていた伝説の剣とアイアンソードを用意されているカゴにポイっと投げ入れた。


ガン!


「ちょ、勇者様、物を粗末に扱い過ぎではないですか?」

「な!? ナイルみたいなこと言うな―」


確かに、僕にとっては伝説の剣はただの重い飾りと化しているので、全然大事にする気持ちはない。


「駄目ですよ。物には命が宿っているんです。大切にしていないと、罰が当たりますよ」

「まあ、確かに、命が宿るかもしれない。物を大事にとは、シールディが僧侶らしいこと言った」

「そ、僧侶ですから当たり前ですぅ!」


ぷっーと、シールディがフグのように頬を膨らませた。

ファンタジーだからとスルーしていたが、ナイルの持っている喋る妖刀重丸の存在は、相当異様なものだ。違う世界の人間の僕が自然と受け入れてしまったのも、ファンタジーのなせる業か!? ファンタジーってすごい。


「勇者様、エレメント召喚の指輪も回収します。あと、マジックアイテムと思われるものもお願いします」

「わ、分かったよ。ええと…」


僕は、指輪とアミュレットを、静かにカゴに入れた。

そういえば、風呂場で指輪を一個投げたことを思い出した。さすがに回収していないとまずいかな。


「これでいいですか?」

「大丈夫です。それでは、面談をお願いします」

「私も入れませんので、勇者様頑張ってください」

「は~い」


僕は、やる気がない返事をすると扉に入った。

部屋を進むと、


「む! 来たか、勇者エックス…」


声のする方へ振り返る。

真っ赤な椅子に足を組んで座っているユイがいた。

今度は鎧ではなく、白銀のドレスを着ている。


一応、お姫様相手なので、それらしいことを言おう。


「今宵は、お姫様に謁見を許可して頂きましてーあー、えー? なんだっけ?」

「黙っておれ。しばしま待たれよ」


ユイは、窓にむかうとサーッとカーテンを閉めた。


え?


さらに、扉のカギを閉める。


ん?


「こほん、これで、誰にも見られない」

「へ?」


次の瞬間、ユイは僕に向かってダイビングジャンプをしてきた!!


「エックス~~~! 待ってたんだよ~~~! もう、来るの遅いんだ・か・ら~~!!」


げげっ―!! この展開は!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ