表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/38

2-10 銭湯のせんとう

銭湯の前につくと、ライカが


「あ、私部屋に忘れ物しちゃった! 先行ってて!」


と言って、いなくなってしまった。


「私も行きます。先に行っていてください」


まあ、一緒に入るわけではないのでいいか。


「おっと、僕も忘れ物が、先に入っていてください、勇者様」


ビッケまで行ってしまった。

まさか、僕のバースディどっきりが仕掛けられているのではあるまいな。


「しょうがない、1人で入ろう」


僕は、銭湯の扉を開けて入った。着替え室には誰もいない。一番乗りか!

確かに時間的にまだ、早いだろう。


棚の前で服を脱いで服を脱いで全裸になる。

片手にはタオル1つ。


生まれたままの姿になった。

装備もないので、軽い。


こ、これは、楽しい!

そう、本来はやっちゃだめなところで、やっちゃだめなことをやるという背徳感てやつだった。


僕は、本能を開放して、全裸で変身ポーズをとった!


「へん! ちん! なんちゃって!」


だが、誰も見ていない! 平気だった。


「カーモンベイベー、バルダイム!」


ギャグで滑っても、踊ってもおとがめはない。

そう、異世界に来て、初めて開放されたのだ、僕は!


「うきききき!」


中央に設置された棚を中心に走り回り、叫ぶ!

おおおおお!


しかし、その時、


「…だよね~。本当さ、お姫さまってさ~」

「なにぃ!」


聞えるべきはずのない異性の声が複数聞えてくる。

確実にこっちに向かってきていた。


馬鹿な!? 僕は、男湯と女湯を間違うという典型的なやりたいミスの1つを無意識に行っていたというのか!?

やばい!


僕は一番大きい側面に配備されたロッカーに身を隠した。

間一髪、女性らしき声が、部屋に入ってきたところだった。


「そうそう、指示が大まかなのよね~。あれじゃ、分からないのよ」

「そうよね。も少し、相手の立場にもなってほしいわ」


そういえば、この銭湯は、このお城で働く人に無料開放されているものと言っていた。


するすると、絹を擦るような音が聞こえる。ま、まずいぞ。

服を脱いでいるようだった。


ここで、見つかってしまうのは勇者の名に傷をつけてしまう!

断じて、見つかるわけにはいかない。


「ん? あら~これは…。前よりも、大きくなっていない?」

「そうなのよ。最近、いい感じに育ってきて」


っく! 女子トークまで盗み聞きする羽目になるとは! 心を落ち着かせるんだ。僕は、聞こえない様にふーッと息を吐いた。


「ん?」

「どうしたの?」

「え、いや、今人の気配がしたような…」

「え? 誰もいないよ」


危ない! なんて、気配察知能力なんだ。このお城で働いている女性兵士かもしれない。ここは、動かざるごと山の如しだ。なんもせんぞ。


「ええ? 絶対何かいるよ~」

「そんなわけないじゃん」


なにぃ! 怪しんだ女性Aの足音がこちらに向かってくる。なんて優秀な兵士なんだ。だからバルダイムの国の治安が守られているのだろう。って、プライベートまでがんばらなくても良い。


次の瞬間、バタン、と音がした。ま、まさか。


「誰もいない…」

「ほら、勘違いだって」

「う~ん」


棚を開けたのか!? なんて、正しい行動なんだ! そして、僕にとっては一番やってほしくない行動ベスト1だ! やめろ!


しかし、バタン、次の棚が開かれた。


「やっぱり、違うか~」

「もう、早くお風呂入ろう」

「私、一度気になると追及しないと気になるタイプなのよね」


と、いいながらバタン、か、かなり近い、やばいぞ。ハァハァハァ。天国から地獄に叩き落された気分だ。


バタン! っく!

たぶん、今のは僕の横の棚が開かれた音だ! まずい! ラスト1賞はこの僕自身が商品となる。1個しかないぜ!


「ここで、最後っと…」


お、終わりかー!

と思った瞬間、


ガラガラ―っと、音がした。


「あら? おばあちゃん!?」

「あ、なんだ、先に入ってたんだ。なんだ、人の気配って、おばあちゃんだったのね」

「なんかね?」

「いいえ、何もないです、すみません」


なにぃ! おばあちゃんが先にお風呂に入っていたのか!? 気づかなかったが、おかげで助かった。ふぅ。


僕は、汗だらだらになっていた。そう、サウナ付き風呂だったのだ。ここは!


「よし! 入ろう!」

「うん!」


といって、女性兵士?と思われる2人は入っていった。

おばあちゃんもすぐに、服を着て出ていったようである。

僕は、棚から出た。


「がはー! くそー! あ、危なかったぜ! と、とりあえず服を着て男湯に行こう」


長居は無用だ。いそいそと服を着て出口に向かう。

そして、扉に手をかけた瞬間。


「もう、あいつ、変なこと言いすぎ!」

「そうですね、記憶喪失もなんですが、人格も変わってますよね」


ラ、ライカとシールディの声がした!

こっちもまずい! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ