表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/38

1-16 超・越

ビジットは、逃げているがいかんせん、ココの広場は狭い。

逃げる広さはなかったので、すぐに追いつかれてしまう。


「ハァハァ・・・」


壁を背に、ビジットが立ち止まった。

ワニはすぐに、前方に迫っている。


が、たどり着かせない! 僕も近くまで、ダッシュで走りこんでいた。


「やああああああ!」


槍を再びワニの背後から奇襲をかける!

だが、ワニは、分かっていたかのように、槍を横に避けると、再び僕の腹を殴った。


「げほ!」


しかし、殴られながら僕は槍を離さない! そのまま、鎧で覆っていない、腕に槍を突き刺してやる!!


「でやああ!」

「ぐがああああああああああ!」


槍を刺した僕を突き放そうと、ワニは、空いた手で何度も何度も殴ってくる! しかし、僕は離さなかった。刺さった槍に体重をかけて、少しでもダメージを蓄積させていく!


「ぐがああああああ!」


ワニは、体制を変えると、真剣を僕に向けた。! 剣はやばい! さけないと! 致命傷は避ける!


ガキン!


僕は、槍を抜くと、剣を槍の柄で受け止めて踏みとどまった。危ない。

力は、凄まじいが、おかげでスピードが鈍い。こんな僕でも、相手の動きが予測できる範疇で収まってくれるので、何とか対応できそうだ。


体が痛む。けど、このダメージなら、まだ、動ける。


そして、痛いはずだが、僕は何か、自分の中で変化していくのに気がついた。痛いし、苦しいはずなのに、僕の中に芽生えつつある何かを感じ取っている。


ワニは、腕のけがに触れ、怒りを携えた眼光を僕に向けると、いよいよ僕に進行方向を変えた。


こういった意味では、知能がないのではないか、と思うが。今は、助かる。


「ぐおう! ぐおお!! ぐおおおおお!」

「っく! しつこい!」


ガン! ガン! ガンッ!

ワニは、執拗に、何度も剣で切りかかってくる。受け止め切れているが、やはり、力が強い。僕の体力は、徐々に削られていく。再び手が痺れてきた。いや、関係ない。耐えろ!


「勇者! 逃げて!」

「逃げるわけには・・・いかない!」


叫んだ瞬間、ワニが尻尾で、僕の背中を薙ぎ払った! 爬虫類! 尻尾は、考えていなかった!

かなり、やばい感触がして、僕は再び、吹っ飛んだ。


っく! 背中が、痛い・・・! 出血しているか・・・。

だが、そんなことにかまっている暇はない。

僕は傷口を見ずに、すぐに立ち上がろうとした。が、体中に激痛に思わず槍にもたれかかった。


「っく!」


「なんで! あなた、記憶がないんでしょ! 戦い方も忘れちゃったから、戦えないんでしょ。なら、無理しないでー」


ビジットの叫びに僕は答える。


「僕は、僕は、やれないからって、諦めてた。必要とされないからって、諦めてた。でも、それは、今ならそれが間違っていったってわかる。僕は、戦いを上手じゃないし、こんなにボロボロだし、だけど、だけど、前に進んでいる、ほんの少しでも。挑戦すれば、良かったんだ。諦めなければ、僕は、」


僕は、よろよろと再び立ちあがると槍を右手に持って、空いた左手をワニに向かって構えた。


「前に進めたんだ。何もしないのが、いけなかったんだ。戦えないなら、戦いを求めればよかった。勝てないなら、勝ちを求めれば良かった。必要とされないなら、必要とすれば良かったんだ!」


ワニは、叫び剣を振り上げ僕に襲い掛かってくる。

衝撃波が起きるぐらいの咆哮をあげながら!


「何を言っているの! 逃げないと! 死んじゃうよ!」


「そうだ! 死んでから気づいた、僕は! 今更!! なんて情けない、でも、僕はまだ、間に合うなら、諦めない!!」


僕は魔法を唱えた。僕が1つしか使えない、魔法を。今度は、僕の意思を持って!


「『エレメント、シルフ! マナ流動! ウィンドウズ・ソサエティ!!!』」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ