ウラオモテ人間
「あと、一日なんだね…」
君は健気につぶやいた。
小さくパチパチと燃える暖炉の光が、
君の顔をぼんやりと照らした。
<二夜目>
退屈で退屈で死にたかった。
そんな時に教室の隅で笑ってる
君と目があった。
別段、親しいわけではなかった。
珍しく僕が、笑った日
珍しく泣いている君を見た。
何故だか、
懐かしい感じがしたんだ。
それからは、
君のことを意識していた。
まるで、
全てがウラオモテみたいな君のことを。
僕が笑えば、君が泣いた。
君が笑えば、僕が泣いた。
世界の中でただ一人、
自分と正反対の人に巡り合った。
君のことが好きだった。
でも君は、正反対だった。
どんなに泣いても、
君はずっと笑っていた。
一人、神様の悪戯を恨んだ。
好きだった君のために、
僕ができることは一つだけ。
君がずっと笑っててくれればいい。
僕はずっと一人で泣き続けた。
ある日、君は学校に来なかった。
先生は
彼女は病気になり、
余命がほとんどないことを告げた。
だったらさ、僕が死んだら
君はまた元気になるのかな?
僕は一人、病院の屋上に立っていた。
別段惜しい命でもない。
飛び降りようとしたその瞬間、
僕の耳元で何かを囁きながら
君が落ちていった。
なんで?なんでだよ!?
僕は一人泣いた。
彼女は笑いながら、
こう囁いたんだ。
「君が好きだよ。生きて。××××…」