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神に愛されし魔闘術師  作者: アラシ
第一章
8/14

7話

 俺の朝は早い。日課の訓練をこなしてから、お弁当を作る。昨日家事担当になったしまったので、俺とシャルの二人分だ。起きてきたシャルに朝ご飯を用意して、掃除を始める。家事は旅をしていた頃から俺の担当だったから慣れたものだ。

 その後シャルを待って一緒に学園へと向かう。教室に入るとマルシアとリーリスが昨日の席に着いて授業の準備をしていた。俺も昨日の一番端の席へシャルを連れて向かう。俺に気づいたマルシアが挨拶をしてくれる。


「おはようございます、ユウトさん」

「おはよう。マルシア、リーリス」

「ん。おはよう」

「ユウトさん、そちらの女性は?」

「ああ、俺と同じ寮に住む事になったシャルロットだ」

「シャルロット・サターナよ。これからよろしくね」

「私はリーリス・ブラッド。よろしく」

「へぇ、ユウトさんと同じ寮に住んでるんですか。私はマルシア・カーダです。これからよろしくお願いします−−って! ユウトさん女性と同じ寮なんですか!?」

「ああそうだが、なにか問題があるか?」

「も、問題って…それは、あの、と、年頃の男女が一つ屋根の下で一緒に暮らしてるなんて……、あの、その、良くないじゃないですか!!」

「というか男女の寮は別。なんで一緒に?」

「それが昨日先生にここで住んでくれって言われたからな。理由なら先生に聞いてくれ」

「も、もしかして、ふ、二人はそういう間柄なんじゃ?」

「ち、違うわよ。な、なんで私がこんな変態なんかと−−」

「みんなー座ってなのです〜。これから授業を始めるのです」


 たわいもない話をしている内に授業が始まる時間になったようだ。みんな自分の席に着席していく。


「今日はまず自己紹介からはじめたいのです〜。では一番前の子からお願いするのです」


 生徒が一人一人自己紹介を始めていく。敵が紛れていないか警戒したが特に怪しいヤツも見当たらなかった。

 生徒全員の自己紹介が終わり授業が始まる。今日は前半が座学で後半が実技だった。マナの座学の授業がはじまる。


「基本事項の確認からしたいのです。まずは魔法と武闘についてなのです。魔法とは自分の魔力を用いて神の力を再現する技法なのです。魔法には様々な種類がありますがオーソドックなものとしては、火・水・土・風が一般的なのですね。また魔法を使う人たちのことを魔法師ウィザードといいます。逆に武闘は魔力を用いることで人間としての力を強化する技法なのです。パワーやスピードなどが強化されるのです。また武闘を使う人たちのことを武闘師ファイターといいますね。そしてこの二つを使える者のことを魔闘術師ヴァルキリーというのです」


「次に、魔物についてなのです。いにしえの時代、この世界には魔神がいました。魔神はこの世界を滅ぼそうと多くの魔物を作り出したのです。それに対抗したのが英雄アルカディア。彼は仲間を集め、魔物を倒していきました。アルカディアは魔物は次元の彼方へ封印していったのです。そして最後に英雄アルカディアは魔神を討ち滅ぼし世界を救ったのです。これは皆さんが知っている物語だと思います。幼い頃、絵本で読みませんでしたか?」


 マナの質問に誰もがうなずいている。誰もが英雄アルカディアに憧れている。違う、とこの場で叫びたくなるのを我慢する。アルカディアは決してそんな男でない事を俺だけが知っている。

 力強く握られた拳にシャルロットだけが気づいていた。


「魔物は封印を抜け出してこの世界へやってきます。魔物を倒すことが出来るのは魔力を持つ者だけなのです。魔物を討伐する者達をアルカスといって、この学園の卒業者の多くはアルカスになるのです。」


「今日の座学はこれで終わりにするのです。次は実技ですので皆さん訓練場に集合なのです!」



 全員が訓練着に着替えて訓練場へと集合する。


「皆さん集まったのですね。それでは実技を始めるのです。まず皆さんには自分が魔法師か武闘師かわかりますか?」


 彼女の質問に誰もがうなずく。まあ今までの生活に自分の力を使ってきたはずだから当然だろう。


「それではこの中に魔闘術師はいますか?」


 彼女の質問に3人が挙手をする。その中にはリーリスも含まれていた。俺はもちろん手を挙げなかった。俺は魔法も武闘も使えるが、それを学園で見せびらかす気はない。このクラスには3人もいるが本来魔闘術師などめったにいない。なぜなら魔法と武闘では全然魔力の使い方が違うからだ。魔法は自分の外へ、武闘は自分の内へ魔力を操作するのだ。魔法の場合は世界へ魔力を広げることで、世界とつながってその力を発動する。逆に武闘は自分の内へ魔力を潜らせることで、魂に干渉することでその力を発動する。この二つを同時に発動することは思いの他難しい。右手と左手で全く別のことをするようなものだ。

 だから魔闘術師は人数が少ないし、だから周りの注目を集めてしまう。それは俺に取って好ましくない。俺の任務上目立つことは良いことではないし、俺の秘密に気づくヤツがでるかもしれない。普段は左腕にある腕輪で抑さえているが、何があるかわからないしな。それに俺は静かに過ごしたいのだ。

 

「それじゃあ5人の中で見本をやってくれるひとはいますか?」


 マナがそういうとすぐに声をあげた者がいた。名前は確か…デミグラス?


「なら先生、俺がやってやんよ。この貴族、ダミゴーラス様がな!」


 ダミゴーラスだったわ…、というかこいつ今貴族って言ったか?このハールファイト王国は王族こそいるが貴族はいないはずだったんだが。

 隣のシャルに聞いてみると、


「あんたそんなことも知らないの? 貴族っていうのは特別な魔法の適正遺伝を持つ一族のことよ。昔はほんとに貴族だったけど、100年くらい前に貴族制度は廃止になったから権力とかはないわね。だから今では特殊な適正遺伝をもつ一族はまとめて貴族って呼ばれているの。あいつは多分本物の貴族だったんでしょうね。そうでもないと自分に様付けなんてしないわ。」


 とのことだった。きっと下手に周りより強かったからあんな偉そうな感じになっちゃったんだろう。自分の血は周りとは違うとか思ってそうだし。


「俺様の家は昔本物の貴族だったんだぜ! まあ、周りの平民どもとは流れる血が違うってことだぜ、はっはっは!」


 うわ、ホントに言っちゃったよ。あいつとは関わりたくないな。まあ関わる機会もないと思うけど。


「それで先生、俺様は何をすればいいんだ? 俺様なら魔法でこの訓練場に大穴開けたり、武闘ででかい岩を持ち上げたりできるぜ」

「いや、ダミゴーラス君には魔法と武闘の発動の仕方を見せてもらいたいのです」

「その程度のことかよ。分かったからちょっと待っとけよ。まずは魔法からだ」


 魔法の発動には手順がある。まず魔力を世界へ向けて広げて、世界とつながる。世界から伝わる感覚を元に自分の魔力を練り上げて形を変化させる。それを標的へ向けて放つ。

 この手順をダミゴーラスは10秒ぐらいかけて魔法を放った。


炎の弾丸フレイム・ボール


  ボールぐらいの大きさの炎の弾丸が放たれ訓練場に置いてあった直径1mくらいの岩を爆発させる。

 えっ? あんだけ時間かけてこの程度なのか? 小さいし威力も低いし、きっとこれじゃクラスメイトも落胆してるんだろうな。

 そう思っていたが、彼の魔法にクラスメイト達が歓声を上げる。


「すげ、あれがダミゴーラス君の魔法か」

「炎だって! すげぇな〜」

「あの魔法をあんなに速く撃つのか、さすがに貴族なだけある」

 

クラスメイト達がさあざまな感想を口にしている。ダミゴーラスはクラスメイト達の歓声にご満悦みたいだった。


「次は武闘だ!」


  武闘の手順は、魔力を自分の内側へと深く潜らせていく。そして自分の内側の深いところに存在する魂に魔力を流していく。その変化が肉体に現れる。

 ダミゴーラスはこの手順を30秒かけて終わらせた。そして岩を持ち上げてぶん投げていく。

 やはり遅い上にたいしたことない。それでもクラスメイト達わ歓声を上げている。

 隣のシャルも「すごいわね」と言ってくるのできっと彼は標準的な視線で見ればすごいのだろう。きっとアルフレッドやマナ達レベルの魔法や武闘を見て育ったから俺の基準がおかしいのだろう。


 その後それぞれ魔法や武闘の練習をし、今日の実技は終了となった


説明が分かりづらかったらすいません。


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