08 一難去らずにまた一難、て嬉しくない
むっちゃんに相談するしかない、
みどろちゃんに食われないようにするには、平和的共存を目指すにはどうしたらいいのか。
でも、ラインも既読がつかない、電話もつながらない。
むっちゃんのお父さんが使ってる顔面本の個人ページも確認したけど、出かけた日にアップされたらしい「島が、み、みえてきた~~♪」という船からの写真と投稿から先、何も書き込みがない。
ハクイ島の観光案内所に電話したら、呼び出し音が延々と鳴っている。あまりにも心配になったので町役場(ハクイ村出張所)と駐在所にも電話しちゃった。
無人島なのにこの充実行政と司法は何?
ついでに自衛隊の出張所にも電話してみた。つうかなぜ自衛隊も?
でも、どこにかけてもおなじだった。誰も電話に出ない。
観光シーズンなのに、いくら日本唯一政府公認の呪われた島だからって、昼ひなかから誰も電話に出ない、なんてことあるの?
むっちゃんたち、果たして無事なのかしら?
何だか……全然関係もない方向にトラブルが拡がっていきそうな予感が。
まあ、しかたない、むっちゃんたちはおいといて。
みどろちゃんは、自力で何とか手なずけてみよう……
小賢しそうな少年なんちゃらがあらいぐま○ス○ルとお友だちになったように
グレートティーチャーオニヅカがモトヨンの生徒たちを更生させていったように
アタシ、がんばる!!
ぐっとこぶしを握り締めたとたん、
がだんっ
階下の、ちょうどアタシの部屋の下で何かが倒れる音。
アタシは思わずみどろちゃんをぎゅむと胸に抱きかかえ、硬直した。
みどろちゃんを抱きかかえたまま、足音立てぬようにおそるおそる階段を降りていく。
と、台所に黒い影。冷蔵庫を開けて中を引っ張り出しては手近なところに投げ棄てている。
影が、ゆらりとこちらを向いた。
「あ……」アタシは悲鳴を呑み込んだ。