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第二話 襲来

「おいおきろ」

「んっ・・ここは」

ラスティにだんだんお記憶が戻ってきた。カルキと一緒にお祭りに行ったこと、カルキに夢の

ことを話そうとしたこと、そして、後頭部を殴られここにつれてこられたこと。ここも河川敷

なので祭り会場からはそんなに離れていないようだ。だが、そんなことラスティにはどうでも

よかった。というより目の前にある光景に比べたら、そんなこと無視できることだった。

「機械・・」

おもわずラスティは、そうつぶやいてしまった。いつか歴史の教科書で見たことのある古代の

人型機械兵器。それが五体も目も前にいた。

「お前がラスティ・レオンハルドか?」

その中に一人だけ人間の男がいてそいつが質問してきた。おそらく、こいつがつれさったんだ

な、祭り会場にいて怪しまれないのはこいつくらいなもんだ。ラスティはそう思った

「お前らなにものだ・・俺になんのようだ・・」

「質問にこたえろ、お前はラスティか?」

男は、突然大声でどなった。

「・・うん・・そうだ」

ラスティは、おびえながらいった。

「よし、ターゲット捕獲完了。おい、連れて行け」

男がそういうと、二体の機械がラスティを両側からかかえた。

「おい、何すんだ、はなせよ」

「早くしろ、そうしないと我々も巻き込まれかねないからな」

「パナズーマ(灼熱の炎)」

ラスティの後ろから聞き覚えがある声がしたと思うと、ラスティの周りに炎が立ち、機械兵を

振り払った。ラスティがおどろいて振り返るとそこにはカルキが立っていた。この光景を見て

ラスティは死ぬほど驚いた。機械にもおどろいたが、それよりカルキにこんなことが出来たこ

ことが、信じられなかった。

「うっ、ダクトか」

男がそうつぶやいた。

「あっラスティ、無事だったんだね。ダクト探査機を持ってきてよかったよ」

「カルキ、お前まさか魔法使いか?」

「違うよ、ダクトだよ。君と同じ。詳しい話は後、ぼくの来たところを逆に進んで、女の子がいるはずだから早く逃げて」

「でも・・」

「いいから早く、ぼくだってこいつらを止められるかわからないんだ」

「待て逃がさ・・」

「パナズーマ」

再び炎が男たちの足の止めた。

「早く」

カルキがすごいけんまくでいった、今までこんな表情で、カルキに何かをいわれたことはない。小柄で、スポーツも苦手なカルキは喧嘩も弱くいつも泣かされてはラスティに助けを求めていた。そんなやつが、今いつもよりもはるかに強大で強い敵にむかっている。ラスティもやっとその重要性に気づき走り出した。全速力で。後ろを見るのが怖かったのだ、どんどんどんどん地の果てまで行くつもりで走った。そして、誰かにぶつかった。

「ドン」

「きゃーっちょっと何よ、いきなり走ってきて」

ぶつかったのは女の子だった、それも(ラス

ティの好みではないが)かなりの美少女のようだ。年は14〜15といったところだろうかラ

スティのような少し立たせただけの黒い髪とは似ても似つかないブロンドがかった長い髪に、

白い肌、そして高い鼻。さらによく見ると目の色が左右で違う、右目が緑で左目がオレンジだ

明らかにトラント人ではない。

「あっごめん、でも早く助けなくちゃ、友達を、カルキを」

「えっ今カルキっていった?じゃああなたがラスティ?」

このときやっとこの少女が、カルキのいっていた少女だと気づいた。

「えっうん」

今日は名前を聞かれることが多いなぁとラスティは思った。

「じゃあ早く乗りなさい」

「またか・・」

思わずラスティはつぶやいた。彼女が指差した先には、また機械があった。これは知らないが、教科書に載ってた1000年以上前の機械の「バイク」とかいうものによく似ていた。

「こんなものに乗ってどうするんだよ、早く助けないとカルキは死んじゃうんだぞ。」

「じゃあ後ろを見てみなさいよ」

ラスティは、振り返るとはっとした。なんで今まで気づかな

かっかんだろう。ラスティはがっくりと気を落とした。ついさっきまでカルキ達がいた場所

は、今や火の海になっていた。

「さぁ早く、時間がないのよ」

ラスティは、気力を失っていたが、少女にせかされしかたなく乗った。

「あなたの家、町外れの丘の上にあるのよね?」

「・・うん・・」

なぜこの少女が名前を知っているのかは、この際どうでもよかった。ラスティの心は、カルキ

が死んでしまったという悲しみに支配されていた。




機械の乗り物で行ってもラスティの家までは、結構な時間がかかった。その間少女は、ラスティに多少はラスティを元気づけようとしてくれたが、ラスティは魂の抜け殻のように聞いてい

なかった。唯一聞きとれたのは、この少女の名前がアリス・マリオネットで、この乗り物がプラナスということだけだった。

「さぁ、ついたわよ」

ラスティはプラナスから降りようとしなかった。

「ラスティ、いい加減にして。あれを見なさい。」

ラスティは、無理やりアリスに顔を空の方へむけられた。すっかり夜になってになってしまっ

た空に、あまたの星々が輝いている。別にいつもとかわらないトラントの空だ。

「別に何もないよ」

「よく見なさいよ」

ラスティは、目を凝らした。そして、見つけた。星々の中に明らかにそれと違う赤い光。しか

も何十、何百といる。

「あれが見える?機械よ。あの赤い光全部。しかも、一体一体が今日あなたを襲った機械より

はるかに大きいわ」

その言葉に、今までの悲しみが吹き飛んでしまった。

「えっまさか・・」

「そうよ、もう10分もすればここに来るわ。このトラントは、消滅する」

「なんだって、すぐ脱出しよう。この島国には、一つだけ橋があるんだ。そこから・・」

「しってるわよ。でも、プラナスで行っても10分じゃとても着けないわ。もう全てが遅いの

よ。この国は、シリムが再三にわたり忠告したのに何の対策もとらなかった」

「でも・・」

「お願いだから私の話の聞いて」

「・・うん」あまりのアリスの勢いに、ラスティはそう言ってしまった。本当は話など聞いて

いる場合ではないのはわかっていたが、もう遅いといわれて半分諦めていたのかもしれない。

「じゃあ話すわね、全部、そうねまずはカルキや私達について話そうかしら」



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