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第一話 夢

この世界には、太古の昔から二つの大きな国があった。西のガントレイと東のシリム。ガント

レイでは機械の文明が、シリムでは魔法の文明がそれぞれ発達した、まったく違う二つの大国

が、争いあうのは自然の成り行きで昔から小さな争いが絶えなかった。そして、700年ほど

前ついに大きな戦争が起こった。形成は、序盤はガントレイのほうが有利に見えた。対魔法合

金で武装した機械兵団にシリムの魔法使いたちは、まったく歯がたたなかったのである。そう

して機械兵団は、シリムの内陸部にまで進行した。しかし、全ては罠であった・・・


 



魔法暦721年 初夏 南国の島国 トラント王国

暗闇の中にその少年はいた。少年の名前は、ラスティ・レオンハルドごく普通の14歳の少年

だ。

(んっここはどこだ?)

ラスティは立ち上がるとあたりを見渡してみた。

(何にも見えないな)その闇はどこまでも、それこそ世界の果てまで続いているようだった。

しかし、その闇の空間も終わりをつげた。一筋の光が差し込んできた。そして、その中から

人が現れた。しかし、その人はなんとも奇妙な格好をしていた。全身をどす黒い色のしたロ

ーブに身を包み、顔はそれと対照的な真っ白で何の模様もない仮面をつけていた。

「君がラスティ君か?」

おどろいているラスティに仮面の人はやさしく話しかけた。声から察するにわりと年老いた老

人のようだ。

「あっ・・・はい」

「あの・・あなたは?」

ラスティは恐る恐る聞いた。

「さあな、教えるわけにはいかんが君と遠いようで、実はとても近い存在・・とでも言ってお

こうか」

「あの、ここはど・・」

「ストップ」

「これ以上の質問はなしだ、お互いを滅ぼしかねないからな」

「いいかよく聞け俺を探そうとするな、お前は運命に従えばいい。道はいくらでもあるお前

は別の道をいけばいい」

「はい?」

ラスティは、その人の言葉が全くのみこめなかった。

「今は分からなくてもよい、もうすぐ始まる。何が始まるのかは言えないが、お前は逃げれ

ばいい」

「それから、今のことは誰にも言うな」

そう言うとさっきまであった光は消え仮面のひとはいなくなった。

   



「ラスティ、起きろ」

「んっー」

目の前には、いつもの教室が広がっていた。初夏なので暑いせいかほとんどの生徒がセーター

をぬぎポロシャツで授業を受けていた。このとき、やっとラスティは今までのことが夢だと気

づいた。社会科の先生がずっとこっちを見つめている。

「ラスティ、ここのところ多いぞ。期末テストも近いしもう少し気を引き締めろ」

「はい、すいません」

「さて、というわけでシリムの内陸部まで進行した機械兵団だが、このあと何が起こったわかる人」

「はい」数人の生徒が手を挙げたが、ラスティは社会があまり得意ではないのでわからなかっ

た。

「じゃあ、カレン」当てられた生徒が立ち上がった。

「はい、究極魔法事件ですね、ダークネスフィールドの原因になった」

「そのとおりシリム内陸部の機械兵団をシリムの魔法使いが取り囲んだ。そしてこの世界の暦

史でただ一回究極魔法『カタストロフィ(終焉)』を発動した。シリムが負けているように見

せかけていたのも、全ては機械兵団をおびき寄せるための罠だったんだな。これがきっかけで

戦争はシリム側勝利に終わった。だが、かわりにダークネスフィールドが残った。これが世に

いう究極魔法事件だな」

先生が淡々といった。

「じゃあ次に、ダークネスフィールドについてわかる人」

「はい」

これはほぼ常識問題なので、ラスティにもわかった。

「はい、カルキ」

今度は少年が呼ばれた。この少年はラスティと仲がいい。

「はい、えっ・・とダークネスフィールドは究極魔法を使った場所が何かこう変になって・・

その・・魔物とかが出るようになって・・そのせいで魔法使いとかが差別されるようになった

ことです」

「はははっよくわからないのに手を挙げるからだぞ。まぁだいたいそんなかんじだがな。ダー

クネスフィールドは今でも深い霧におおわれていて、なかは魔物の住む別の世界に通じてい

る。という説が有力だ。そして、その魔物による被害のせいで人々は魔法使いをうらむようになった。もっと別の方法があったのではないのか、とな」

「では次は、ダクトについて・・」

「キーンコーンカーンコーン」チャイムがなった。

「あっもう終わりか。ではつづきはまた今度。解散」

と先生がいうやいなやカルキがラスティの机の前に来た。

「ラスティ、一緒に帰ろう?」

「んっ、いいよ」カルキは、一番仲のいい友達だし家も近いのでいつも一緒に帰るようにして

いる。

「あっそうそう、ラスティも行くんでしょ一緒に行こうよ?」

「いくって何が?」

「いやだなぁ忘れたの?お祭りだよお祭り」

「あそうかお祭りか、いいよ一緒に行こう。俺ん家にむかえに来てよ」

トラントでは年に一回夏にだいだい的なお祭りがある。

「うん、いいよ」カルキは快く返事をした。




ラスティは、祖父と二人で町はずれの小高い丘の上にある小さな家に住んでいた。両親は、6

年前二人ともはやり病で亡くしてしまった。そのときは、時は悲しみにうちひしがれたが今は

もう平気だ。ラスティは、帰ってからずっとあの不思議な夢のことを考えてた。妙にリアル

で、今でも夢とは思えなかった。「もうすぐ始まる」その言葉が頭の中で繰り返された。一体

なにが始まるってゆうんだ、それに「俺を探そうとするな、お前は運命に従えばいい。道はい

くらでもあるお前は別の道をいけばいい」という言葉。どうやら忠告してくれようだが、何の

ことか全くわからない。

「おおい、ラスティや」

祖父の声がした。

「何?アルじいちゃん」

ラスティの祖父の本名はアルグ・レオンハルドだが、ラスティは親しみをこめてこう呼んでい

た。

「カルキ君が来てくれたぞ」

「わかった」




お祭りは、ノーレ川とゆう川の河川敷で行われていたが、すでにたくさんの人が来ていた。た

くさんの夜店が立ちならび、そこらじゅうに風船売りがいた。

「なぁ、カルキ」

「何?」

「ごめん、やっぱいいわ」

「何だよー気になるなぁ」

ラスティは、カルキに夢のことを相談しようとしたが、あの仮面の人にも止められていたので

やめておいた。このとき相談しておけば、あの惨劇の止められたかもしれなかったとも知らずに・・

「あっ金魚すくいやろうよぼく結構お金もってるんだ。それとも射的がいい?ぼくは苦手だけ

どラスティは上手いよね?」

このときカルキは、異変に気づいた。こんなことを言えば、いつもならラスティが「お前まだ

そんな子供みたいなこといってるのか」とか「さすがおこちゃまだなぁ」とか言うはずである

だが、今日は何も聞こえない。カルキは恐る恐る目線を横に向けた。そして、そこには誰もい

なかった。

「ラスティー」

カルキは、あらん限りの声の出した。しかし、返事はない。このとき、カルキの脳裏にあるこ

とが浮かんだ。口に出すのも恐ろしいあることが。


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