怪異事変 ストーカー
短編小説です。数ある中の怪異を話数で書いてます。
この話には基本的に時系列は存在しませんが、内容的に続いている場合もございます。
暇なときに書く、不定期連載みたいな感覚で投稿するかもです(調子良い時は書き続けます)。
何かございましたら、ご連絡お待ちしております。
吉本沙織、東京都N高に通う女子高校生。
19時20分に家族と電話をしていこう帰宅せず、警察に連絡
後、河川敷にて発見。
身体は不自然に折れ曲がっており、交通事故による死亡が濃厚と判断したもの
の、監視カメラを始めとする調査によっては、この時間の車の通りは少なく一
車も通っていないと言う点。
東楓、同じくR高に通う女子高校生で下刻時、時間にして19時30に
て友人と電話後音信不通に、遺族に連絡をとり警察に捜索願を出して調査した
ところ、近くの雑木林にて東楓を発見。
木に吊るされた状態だが、吉本沙織同様に手足が不然に曲がった状態で発見、死亡を確認。
湯浅千尋、同じくS高に通う女子高校生、下刻時に友人と
電話をするも同じく時間帯にして19時40分後の電話終了から一向
に自宅に帰宅せず、警察に捜索願いを出し、山に捨てられ死亡している所を発見。
二人と違う点は外傷がとても酷く、恐らくクマのような狂
暴な獣による食い跡だとみられる。
同様に手足と腰の骨が折れ曲がっており、同一犯による犯行だと結論付け、現在も捜査を活動としてい
る。
なお、三名の被害者である友人や家族からはこのような言葉を何度も口にして聞かされていたと言う。
「誰かに後を付けられている……と」
煙草を吸いなが空を見る。
冬の空、寒空の下で待っているのは事件、いや警察と言う仕事に就いた以上、例えそれが冬じゃなくても何時も事件かっと思う。
草薙健吾、年齢は30、趣味は煙草とギャンブル(ゲームのスロットやパチンコとか)、仕事は警察官――ただしただの警官ではなく、草薙健吾は特例警察科と呼ばれる世間にも出ていない特殊な案件を担う科に所属している。
その科が行うのは、事件によって人為的な解決が見込めず、科学的な根拠もない事件、簡単に言えば怪談の様な案件を取り扱う場である。
「先輩、お待たせしました」
「おう、ちゃんとミルク入ってるの買ってきたんだよな?」
「はい!……あ」
「南……お前は、なんつうか~……犬の方が賢いぞ?俺は買ってくるまで三回も同じこと言ったじゃねーの」
「す、すみません!今すぐ買いなおして――」
「良いよ良いよ、お金持ったないだろ。今日は無理やりブラックな気分でいかせてもらうとするか」
暖められたブラック珈琲の缶を貰い、プルタブを開けて飲む。
「苦いな、30になっても珈琲だけは甘口じゃねーと飲めねーの、世界中探しても俺だけじゃないの?」
「んー、でも俺の友人も珈琲、ブラックダメで砂糖沢山居れる人いますよ!」
「南……お前の友人を悪く言うつもりはないが、俺はその友人知らないし、お前と同年代ならまだ可能性あるでしょ、諦めずブラック飲めるカッコイイ男になれるよう、お前からも応援してやれ」
「いや……その友人女性なんですけど」
「その女性が今回の雲雀棗って可能性は?」
「ある訳ないじゃないですか!そもそも被害に遭っているのは女子高校生で僕は既に成人しているんですからありえないです!」
「そんなあり得ない様な事件性をいつも抱えているのが特例科だろ……上もこの事件はもうお終いにしたいみたいだし、最後の砦として俺達を召喚した訳だが……以前手がかりもつかめず、調査で二週間。
雲雀宅には捜査一課がガードして、本人を俺達が陰ながら守ってるも、ストーカーのスの字も出やしねー」
「ですね、本当にストーカーなんてあるんでしょうか?本人たちの勘違いじゃ?」
「かもしれねーし、もしかしたら――人ならざる何かが付けてるのかもしれねー」
「……僕は見える方じゃないので、その感覚って分からないですが、本当に……そんなアニメや漫画みたいな世界ってあるんでしょうか?
テレビで呪われたシリーズとかは見た事ありますけど、アレだってもしかしたら――」
「南、お前がそう思ってるならその思いを大事にしとけ。こんな掃き溜めの科にきちまったのには正直同情するが、何も変わらない日々が案外幸せだって事もある」
「はぁ……分かりました。先輩、雲雀さん出てきますよ」
「ガキのお守りなんてな~んでやんなきゃいけねーのか……」
ため息を吐きつつ、一服吸いながら、受け取った珈琲を味わう。
「にげぇ……」
草薙健吾は見える側の人間だ。
見えるとは他人が見えない何かを見る事ができる者の事。
大抵見える側の人間の意見は一貫してこうだ。
『見えない方が幸せで、在り来たりで歯車のように回る日常が幸福だったと知る』
個人の言う発言はそれぞれが異なるが、大抵は一貫している。
草薙健吾は――幽霊の見える警官である
雲雀棗はB高に通う女子高校生。
家は裕福な家庭で、学校もお嬢様が通う金持ちの学校。
一般庶民と共にチェーン店などはいかず、夕食会など豪華な店などで食事を取り、暇な時間があれば稽
古の練習が学業に没頭する毎日。
そんな彼女がある日の帰り道、リムジンで迎えにくる車に乗車した際の出来事だった。
「……?」
視線を感じた、3時の方向、乗車側から右の横断報道。
「……なに?」
誰もそこには居ない、でも感じる視線のような感覚はずっと離れないのだ。
見られていると感じる事ができる。
そんな気持ち悪さを拭う為、すぐさま車に乗車し、運転手に早く車を出す様に頼み、その場をあとにする。
「……」
もし、後ろを振り返ったら?
そんな好奇心と恐怖心が相反して起こる中、彼女はゆっくりと後ろを振り返ると――それは杞憂に終わった。
そう――勘違い、疲れているのだ。
鞄から化粧ポーチを取りだし自分の顔が今変ではないかと思い鏡を見ると――
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
自分の声に驚く運転手は緊急停止し、声をかける。
「どうなさいましたか!お嬢様!?」
「い、いえ。なん、なん、なんでもありません。はや、早く……発進して」
「ですが――」
「良いから!早く出しなさい高木!!」
「か、畏まりました!!」
ポーチに映った顔は顔面が蒼白になった、若い女性の顔で、眼は充血しており、血の涙を流し、ニンマリとした気持ちの悪い笑みを浮かべていた。
すぐさま電話をかけようとするも、以前から噂になっていた話題を思い出す。
『とある道路の3人の女子高校生の変死事件、みな電話をかけた後に必ず決まった時刻で音信不通となり、亡くなっている』
携帯で時間を確認すると現在の時間帯は18時半、残念ながら雲雀棗はその道路を通る事はない……のだが、今日だけは違う。
その道路を経由すると近道となるので、本日の帰宅コースではその道を通らなければならない。
なぜならば午後の食事会があるから。
一瞬、運転手の高木と呼ぶ男に通路の変更を求めたが、電話をしなければ問題はないっと思い、棗はただその道が現れる瞬間を目で塞ぎ、その道が通りすぎるのをゆっくりと待った。
「お嬢様、少々問題が……」
「……どうしたのよ?」
「いえ、先ほどまでは順調に運行できていたはずなのに、ガソリンのメーターが下がっていきまして……少々車を見る為、外に出ても宜しいでしょうか?」
「だ、ダメよ!!何を考えてるの!?」
「しかし、このままでは夜の食事会に間に合わなくなる――」
「そんなものどうでも良いわ!パパに連絡とるから、アンタはレッカーでもなんでも手配すれば良いじゃない!!」
「いえ、ソレハできません」
「……え?」
今一瞬、声が一部だけ変に聞こえ――
「お嬢様、どうかされましたか?今レッカーの手配を済ませておりますので、少々お待ちください」
「え、ええ……」
「外の空気でも吸ってはいかがでしょうか?お疲れになっているようなので、少々気持ちが――」
「黙りなさい!これ以上余計な心配は不要よ!」
「ソウデスカ。」
「……何よ、さっきから。高木……アンタ、なんか変……よ?」
「私ですか?そう……なんでしょうかね?特に体調は悪くないのですが」
「良いこと?私が許可するまで外に出たり、窓を開けたり、勝手な事はしないで!」
「畏まりました……やはり遠回りして普段の道を活用すべきでしたね」
「仕方ないわ、パパが今日の食事会には絶対に参加しろって煩いんだもの、元々遠回りしてるのだってなるべく――」
「お父様とオアイニなりたくナイカラデショ?」
「……」
棗は鳥肌が立つ、今目の前に居るこの高木と言う運転手はどこか変だ。
いつもは気遣いが過ぎる部分は確かにあるが、今ので3回目となる声の異変。
もし噂が……もう1つの噂が本当ならば、電話をしていなくても雲雀棗にとって危険な状況と言える。
クラスメートが話していた事だ、もう1つの噂はこうだ――
『電話に出なくてもね、波長が合う人間は何処か普段とおかしい感じになるんだって』
『おかしいってどんな?』
『なんか、声が時々女性っぽくなるんだよね』
『女性なら女性の声出しあんまり意味ないじゃん、ソレ!』
『違うんだって!声がね、そこで亡くなった――』
「ワタシノ声、聞コエテル?」
「ッ!!」
背筋が凍り、心臓を鷲掴みにされた様な感覚、目の前の男から発せられる女性の声と先ほど回想していた噂話。
ストーカーの噂、死んだ3人も、もしかしてコレが原因で――。
ゆっくりと振り向く高木と呼ばれる運転手の顔を見ない様にとそっぽを向こうとするも、まるで金縛りに遭った様に硬直してしまう。
「ワタシ、声……聞コエテルノ――」
ドンドン!っと強い衝撃が車を揺さぶり金縛りの様な硬直が解ける。
息をするのも忘れていたため、過呼吸状態で状況を確認すると、1人の男が立っていた。
男は拳をゆっくり上げると、窓ガラスを無遠慮に殴りつけ、ガラスを砕いて雲雀を車から降ろした。
「いったー……」
太ももから血が滴るが、それよりもこの野蛮な男だ。
一体何者なのか問い詰める前に男は既に拳銃を取りだしており、その矛先を運転手の高木に向けていた。
「降りてこい、それかこう言えばわかりやすいか?」
一呼吸置いて男は言う。
「聞こえてるぜ——お前の声」
瞬間耳障りな悲鳴と共に、高木の身体から何か得体のしれない、気持ちの悪い何かが身体から出てきたのを見た。
「おい嬢ちゃん。あまり見るな、彼岸の向こう側へ連れ込まれるぞ」
「……」
何を言ってるのか意味が分からないまま、ただ茫然と座りつくして成り行きを見守る事しかできなかった。
「見てるな」
「何がです?」
「いや……」
時間は1時間前に遡る。
雲雀棗を迎える送迎の車が曲がるあたりから異変に直面しいた。
女子学生の制服、蒼顔に血で塗りつぶされたような真っ赤な目、だがしっかりとその目は何かを探るようにして1台の車に目を付けた。
凝視した後、しばらくするとターゲットの雲雀棗を見て、彼女はニンマリと不気味な笑顔を浮かべていた。
「リムジンかー……なんか、住む世界が違う人って本当に居るんだな~」
「面白い事言うな、目の前にもいるのに」
「え?いやいや、草薙さんは自分と同じ側でしょ!え?実は金持ち?」
「どれだけ金があっても解決できない問題や悩みも山海の様にあるけどな~」
「とりあえずは、行動開始……ですね?」
「ああ、リムジンが行ったら車を付けてくれ、完全に見えなくなってからで良い」
「え?でもそんなことしたら見失ってしまいますよ?」
「安心しろ、見えるんだよ、俺には」
「……なんか、漫画の影響とか受けてます?ジャ〇プ系でしょ、絶対」
「ほら言ったぞ、1分経ったらGOだ」
「わかりました」
「親が心配性で良かったな、あのガキ」
「何か言いました?」
「ほら出発」
「りょ、了解です!」
草薙健吾は見える側の人間、間違いなくあの幽霊はあのリムジンに憑りついたのもしっかりとこの目で確認した。
あとは幽霊が出してる霊力を霊視して付ければ間違いなく、今日で解決できる。
約1時間程走ると、やはり例の現場に出くわした。
少女が3人犠牲になった道路、トンネルもあり、山と崖。
止まってるリムジンは何かしらのアクシデントが発生したと思った方が良いだろう。
事態が悪くなる前に引きずり出す。
「南、お前は此処で待機。ほら」
「え?あ、っとと。お守り?」
「ソイツは肌身離さず抱締める様に持っておけ、俺だと思ってな」
「……」
「嘘だ。行ってくる」
「き、気をつけて!」
やっぱり……目に見える淡い蒸気の様なモノ、オーラとでも呼んでおけばいいのだろうか?
草薙はこれを霊力と呼んでている。
これは間違いなく、悪霊が発している霊的な力の源であり、異常な程に爆発している。
「(電話と時間に関連性を持った霊、何かしらの条件でスイッチが入って覚醒って所か?
車が止まった事で何かしらのトラブルが発生したからレッカーを手配する為、電話した。そして現在時刻は19時10分、犯行の19時の合間にしっかりと入ってやがる)」
つまり条件を達せしたからあれほどの霊力を立ち昇らせているのだろう。
これは傍から見たらただ奇行に走ったドライバーと雇い主のもめ事による殺害になって捜査一課にいって終わりそうだなっと草薙は思う。
車に近づくにつれて相手の力量が分かる、問答無用でドアを強引に叩き意識を逸らした隙に、渾身の強打を窓ガラス目がけて放つ。
少女を強引に車から降ろすと、素早く拳銃を構えて相手に分かるように伝える。
「降りてこい、それかこう言えばわかりやすいか?」
一呼吸置いて乗車している男に乗り移っているモノに言い放つ。
「聞こえてるぜ——お前の声」
遠吠えの様な大きな悲鳴を放ちつつ、爆発したオーラを放ちながら、ドアをあり得ない程の怪力で蹴っ飛ばし出てくる運転手の目は、血であふれかえっていた。
「おい嬢ちゃん。あまり見るな、彼岸の向こう側へ連れ込まれるぞ」
「……」
硬直状態、金縛りの影響で上手く言葉が話せないのだろう、アレコレ聞かれるより丁度いい。
「お前がストーカーの根源か、生前も陰湿な女だったんだろうな?」
「オマエニ……ワタシのナニ…が、分カル」
「生きてたなら、いくらでも聞いてやれたがお前――死んでるんだもんな」
「ワタシハ……ワタシヲ追イ詰メタ連中ヲ地獄ニーー」
「死んでなきゃ、ちゃんと聞けてやれただろうに」
その言葉が引き金となり、遠慮なしに運転手に撃つも、人間離れした動きで躱されてしまう。
動きが獣とそれと同じレベル、に加えてこの暗闇では上手く相手に当てる事は難しいだろう。
「ねぇ!アンタ何なのか知らないけど、アレは私の使用人よ!怪我させた――」
だが少女が言葉を発した瞬間、動きが一瞬で変化する。
強引に少女を抱き寄せ、回避する。
「(野郎、あくまで嬢ちゃん狙いかい。喉笛を抉ろうとしたな?)」
「……ウソでしょ?」
「……狼男みたく、良い爪生やしてんじゃねーの」
男の爪は凡そ人間が生やす爪の長さと太さを維持しておらず、当然指からは出血が激しく出ており、最早人からナニカに変貌しようと姿形を変えていっている。
事件性の照らし合わせ、折れた骨や獣に引き裂かれた後の答えはアレか。
「そんなに俺の銃弾に当たるのは怖いか?俺みたいな雑魚にビビり散らかしてるなんて、お前も大した悪霊じゃないな」
「黙レ!!」
腕を振るうと風の刃、かまいたちが襲う。
少女を庇い攻撃を防ぐも、その凄まじい怪力によって発生させたかまいたちは容易に防弾チョッキを貫通するほどの威力となり、肌を切り裂いていた。
「ッ…静かにできんのかね、これならまだ老後の爺や婆の面倒の方が楽だ!」
銃弾を撃つも、先ほどの様に避ける素振りはなく、生身で受け止める。
「嘘でしょ……銃弾を身体で受けて無傷なんて!?」
「鋼みたく強度を増したのか、弱い霊撃じゃ通用しないって訳だ」
素早く銃弾を撃ち込むも、突進してきた際に爪を槍の様に突く攻撃によって阻害されてしまう。
その結果、守りに徹したおかげで拳銃はオシャカになってしまい、草薙が持つ武器は何もなくなってしまった。
「おいおい……ピンチじゃねーの」
「終ワリ、フフフフ――アナタモ彼岸ノ向コウニ案内シテアゲル」
万事休す、っといた瞬間に後方から声がかかる。
「草薙さん!コレ!!」
「ッ!?」
「何ダ、ソレハ?」
危機感を感じた悪霊は男の身体を借りたまま、猛スピードで突っ込んでくるも、受け取った棒状の物、布で包まれたそれが悪霊の攻撃をガードした。
「コレハ……コノ力ハ?」
「俺は不器用だからな、霊力のコントロールがお粗末もお粗末。神社の宮司にお願いして何とか貸してもらった借り物に1日1回、霊力を込めて作り出した
霊刀――読んで字の如く、霊力を帯びた対悪霊退散用の武器だ」
布は敵の攻撃でスルスルと落ちて行き、剥き出しなった鞘に収まっている刀、それを抜くと莫大な霊力が放出される。
例え、霊を見えなくとも、感じなくても、この圧力により発生した風域は霊能力者でない普通の人間にも感じるほどに。
「馬鹿ナ、ソンナ力ガ!?」
「悪いな――アンタを傷つける事になる――」
「ヒィッ!!」
「ああ、ちなみに謝ったのはお前じゃなくて、運転手の方だ。刀身事態は本物の刃物と変わらないからな」
霊力を足に集中させて、一気に間合いを取り一閃。
そのひと振りは右方から左の腹部まで到達しており、そこから血と禍々しい霊力があふれ出していく。
「ギャァァァァァァァァ!!!???」
「悪霊退散……なんて、警察が使う言葉じゃねーだろうに、迷惑かけやがってクソ幽霊が」
こうして無事に連続変死殺人事件は草薙健吾のおかげで幕を閉じるのであった。
エピローグ
この世界には3つの住人が存在する。
1つは何も見えない、感じないただの普通の人間。
2つはその力を感じ取り、見える事ができ、干渉できる人間。
3つはそれら全てに該当しないこの世の者ではないナニカ
こうした世にも奇妙な話は現実の何処かで起きている問題だ。
草薙健吾は警察官であり、もう1つの肩書を持つ男。その肩書を霊能力者と呼ぶ。
彼等霊能力者は霊を供養する為、今回の事件の様に対話が不可能に近いレベルや、生者に乗り移り、悪事を働く者を霊力と呼ばれる力で払う事を生業としている。
無論、対話が可能で善良な霊であればお坊さんの様にお経を唱えた供養も可能だが、今回の場合は物理的に解決しなければどうにもならないと言うレベルまできていた為、こうした手段を用いる事も多々ある。
そして、警察もコレに関しては認知しているものの、普通は信じられない光景として映る為、特例科と言う科学的な証明などをできない組織を立ち上げ、他の科で解決できない問題の尻拭いとして立ち回ることになっている。
「ふぅ~。書類整理お終い!今回僕の出番全くなかったです~、草薙さん」
「んな事ねーよ。あの場面で霊刀渡してくれなきゃ俺もあの嬢ちゃんもお陀仏だったかもしれねー」
「あ!そう言えばあのこ、雲雀棗さん!っと高木さん、良くなったみたいですよ」
「そうかい」
短く返し、夜間の事を思い出す。
運転手に憑いていた霊は完全に消滅したのを確認し、仕事が終わった事に一段落する。
「南、救急車の手配を、俺が場を調整して上手く伝える、それから――」
「アナタ!なんてことするんですか!!」
いきなり怒鳴りつけてきたのは先ほど悪霊に狙われていた少女だ。
「えーと……雲雀さんですよね、調査及び事件の解決への尽力感謝致します。少々署でお尋ねしたい事がございますので、お時間を――」
「ふざけないで!アンタたちの悪だ組なんでしょ!?こんな大きな芝居までして私、いいえ、雲雀家をコケにする様な真似、断じて許せません!」
「はぁ~……」
「ため息?どこまでも人を馬鹿にして!大体――」
草薙は毎度この対応に追われることが大半だ。
人は目に見えて居ない、存在しない者を信じない、例えそれが見えようとも、信じようとしない。
だからこそ、今しがた行われた一連の行動も理解できず、又、理解したくないのだ。
例え見えてしまったとしてもそれを否定したがる気持ちはわかるが……
「嬢ちゃんは今起きた全てが芝居だって思ってるならそれで良い、いや、そっちの方が良いのかもしれない」
「はぁ?」
「だが嬢ちゃんに付き従った使用人は俺に斬られて出血してる、まさにこのまま血を流し続ければ俺は当然殺人罪の罪で牢獄行だ」
「ですから!それだって冗談じゃないんですこと!?この血だって、ドラマで使ってるあれに――」
「血糊の事か?あれなら金臭い臭いはしてこないだろ?流血してる部分をしっかり見れば本当に斬った跡が残ってるぜ」
「……ッ!?」
腰を抜かす雲雀にため息を吐く草薙。
「そりゃそうなるよな、マジで斬ってるし。だから医療班を呼んで治療を――」
「人殺し!!」
「まだ殺してねーよ、生きてる。あくまで運転手に憑いてた悪霊をだな――」
「そんなもの存在しません!!」
「……だな、俺の奇行だ。好きに証言しな、俺はそれを聞く権利しか持ってない」
「草薙先輩!あと10分ほどで到着するそうです!」
「わかった。南、簡単な処置で良い、彼の止血を頼めるか?」
「了解しました!」
そう言われると、南は手際良く予め用意された救急箱の中身から包帯を取りだして、消毒と固定を済ませ、応急処置だけをスムーズに行う。
「大体……なんで私の事を――」
「嬢ちゃんのご両親に頼まれた。捜査一課の案件だったが、3人の死者を出してるところ俺達に声がかかった、これ内緒な」
「パパとママが?」
「相当大切に思われてるんだろうよ。良かったじゃないの、今回の一件で死なずに済んで」
「死ななかったからと言って、高木を傷つけた件に付きましては別ですわ!」
「あ~、そりゃちゃんと受けるさ、だから好きに喋って良いが――」
雲雀に近づき聞こえるギリギリのトーンで話す。
「アンタが今回の件、特に悪霊について話さない事が条件だ。そして無理難題押し付けるようだが、それに関しては忘れろ、じゃないと彼岸の向こう側に行くことになる」
「さっきからなんですの?彼岸の…向こう側って」
「簡単に言えば生者でも死者でもない狭間の存在……この世の者じゃないナニカになる」
「この世の者じゃ……ない」
「俺はそっち側、でもまだアンタは生者側でいられる。知りすぎる事は身を滅ぼすし、知らなかったとは言え彼岸に渡る行為を行えば嫌でもこちら側になっちまう」
草薙はそれだけ言うと雲雀から距離を取り、吹き飛んだ布切れをかき集める。
「銃刀法違反で反省文だな、こりゃ……宮司にもブチ切れられるわ」
「アナタは……一体、何者ですの?」
「……警官だよ。ちょっと頭のネジが飛んだ…な」
Episode First monster
Story Stalker
楽しみながら書けたかなーと思ってます。
ストーリーは短編なのでもっと凝った設定なら長編作品の方が良いかもって思いましたが…。
どちらかと言えばホラー寄りの幽霊退治系の内容です、このストーリーは




