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ノスタルジアな微笑み
電車通りアーケードを出ればどしゃ降り
少し止むのを待つ
憧れていた君の涙
うつ向く後ろ姿に
思い出がつまった青い傘を開く
ノスタルジアな微笑み
心に差す雨傘
あれからこの傘を開く度に君が横に並んであるいた
雨のリズム
ひんやりとしてきた風
涙
空っぽの心に
しとしとと雨粒
心に差す雨傘
君とひとつの傘の下
どしゃ降りの雨が止むの待っていた
傘を回して雨を弾く青い傘が高く舞って
二人手を繋いだ先に虹が出ることを願った
電車道終点からさらに街の向こうの水平線へ
痛みが羽を持って風をはらんで羽ばたいてゆく
鳥たちが潮騒の方へ次々と飛び立っていった
君の手を引いて海岸線を歩いた
二人の髪が風になびいて
あの時の白い旗も木綿の道も風になびいて
ノスタルジアな微笑み
きっと いつまでもと虹を魅せてくれたのは君の方だった
うっすらと開けていく雨雲
見えてきた澄んだ半分の青
雨傘はそっと閉じて
黄昏を待つ
姿を変えてゆく高い空に
浮ぶのは何故か
虹架かる少し前
傘の下のノスタルジアな微笑み