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変態おじさんと不良銃騎士と白い少年  作者: 鈴田在可
転章

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26/52

25 忘れ物

なぜ南国に来ているのかは、同シリーズ「その結婚お断り…」の「恋の危機編」を読むとわかります。

 二晩の寝台列車の旅を終え、終着駅から馬車に乗り、一番隊南西支隊へ派遣される一行は支隊本部がある島へ向かうための港に到着した。


「わあ…… 綺麗だな」


 青すぎる海を眺めて、ゼウスが感嘆の声を上げている。


「本当に綺麗だね……」


 馬車から降りたハロルドもゼウスに並んで微笑みながら感嘆の声を漏らしているが、ゼウスが海に釘付けなのに対して、ハロルドは海とゼウスを両方見て、その上でゼウスを見ながら発言をしていた。


(海も綺麗だけど、ゼウスの方がもっと綺麗で素敵……)


 二重の意味で言っていることは気付かれたくない。自分がそんな思いを抱えているだなんて知られたら気持ち悪がられて友達ですらいられなくなってしまう。


 そうだね、と相槌を打ってこちらを向いたゼウスに、ハロルドはにこにこと穏やかな笑みを浮かべているのみだ。


 元より付き合えるとは思っていない。一時期はゼウスがあまりにも女性嫌いを悪化させていたので、もしかしたらゼウスもそっちの気があるのではないかと期待したこともあったが、今は女性の恋人を得て幸せそうなので、自分も友人としてゼウスのそばにいられればそれで幸せだった。


「ふあー、やっと着いたか」


 後方からあくび混じりのアランの声がする。振り返れば三人が荷物と共に乗っていた馬車の窓からアランが顔を出していた。


「うわー、海すごい綺麗じゃん! こっちは首都よりあったかいし泳ぎたくなるな! 海辺で新しい出会いが俺を待っている!」


 アランは寝起きからすぐさま覚醒した様子で、海を眺めて目を輝かせていた。


「シトロン、遊びに来たんじゃないんだからな。迎えの船はもう来てるし近くで飯食ったらもう行くぞ。とりあえず馬車から荷物を降ろして船に移しとけ」


 近くにいた先輩にそう声をかけられたアランは、えー、と不満そうな声を出しつつも、最終的にはわかりましたと答えていた。


 周囲を見れば他の隊員たちも馬車から荷物を降ろし始めていて、船着き場に停船している客船に運ぼうとしている。


 ハロルドとゼウスも荷降ろしのために馬車に戻った。中では広めの座席に置かれていた荷物をアランが抱えて持ち上げていた。


「何回か往復しないといけないな、これ」


「あ、アラン先輩、それ俺の荷物なので自分で持っていきますよ」


 アランが抱えていた荷物の一つはハロルドのものだった。


「どうせ船の中でも俺たち三人一緒の部屋だろ。どれが誰のとか区別しなくていいからとりあえず持ってこうぜ」


 ここまでの道中、ハロルドたち三人は同行する先輩たちから「年下三人組」という呼称でひとまとめにされていた。


「でも俺の荷物はたぶんすごく重いので自分で持ちます――」


「じゃよろしく」


 瓶とか入っているので、と続けようとしたが、皆まで言わせずにアランがハロルドの荷物を放物線を描くようにこちらに放り投げてきたので、驚いた。


「ちょっ、雑に扱わないでくださいよ!」


(瓶とか入っているのに!)


 投げられたずしりと重みのある荷持を受け取りながら叫ぶと、声と同時にゴトリとそばの床に何かが落ちる音がした。


「ん? これは……」


 ハロルドのそばにいたゼウスが荷物から落ちてしまったそれを拾い上げたのを見て、ハロルドはぎょっとしてしまった。


「獣人用の手枷か。でも支隊で支給されるから別に自分では用意しなくて良かったんじゃなかったっけ?」


 ゼウスが手にしているそれは、エリックと最後に会った日に、彼が落としていったものだ……


「あーと、ええと……」


 首を軽く傾げながら手枷をしげしげと眺めているゼウスを見て、ハロルドは動悸がしてきてしまった。


「はっはっはー、実はえっちい目的で持ち込んでいた私物です、なーんてね」


 お前は黙れ! とハロルドは心の中だけでアランを罵った。


「こ、これは…… と、父さんが現役時代に使っていたもので、お守り代わりみたいな感じで持ってきたんだ」


 ハロルドは何とか理屈をひねり出す。


「へぇ…… でもこれ年代物じゃなくて結構新しいやつじゃない?」


 ゼウスは何がそんなに気になるのか、鑑定士のように目を眇めながら細かい部分を注視している。


(ううっ、あんまり見ないでほしい……)


 七年前の初対面の時にエリックがハロルドを拘束したものとは違うと思うが、エリックがそれ目的で購入したのは明らかなので、ゼウスにじっくりと検分されたくはなかった……

 

「じゃあ俺の勘違いかな。父さんに持たされたんだけど、父さんが昔使ってたやつじゃなくて、俺のために父さんがどこかから買ってきたやつなのかも………… はは…………」


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《転章直前と転章以降の時間軸の、本作品以外のシリーズ別作品に書いたハロルド周辺の話のまとめ》
※【 】の中はその時のフランツの状態やフランツとの関係性など

・シリーズにハロルド初登場とハロルド家族(父、四姉、五姉、六姉)が出てくる話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「遠距離 2」から「同期と上官 3」あたりまでの約6話

・ハロルドたちが南西列島へ出立する直前の話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「ハロルドの秘密」と次話「「彼女」との別れ」の2話

・南西列島に着いて以降、ハロルドが戦闘能力高めと仲間にバレていた話【フランツとは単に上司と部下】
「その結婚…」の恋の危機編の「友の実力」と次話「届かない便り」の2話

・南西列島が獣人に襲われたらしいと首都に伝わってる話【フランツにとってこの時にハロルドが特別な存在になる】
「その結婚…」の首都からの撤退前編の「アンバー兄妹 2」の後半部と、次話「銃騎士隊の魔王」の後半部の2話

・ハロルドとフランツの微ラブラブ話【フランツのハロルドへの思いは友情以上恋愛未満】
「その結婚…」の悲恋編の「慣れない距離感」

「その結婚…」の悲恋編の「告白」と、
次々話「ヒーロー(仮)は遅れてやって来る」にもハロルド視点の話あり

・【フランツ、ハロルドの服を乱す→胸を見る→殴られて恋と気付く】
「その結婚…」の悲恋編の「三角関係?」
と、
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の中頃 に脱がされシュチエーションになるまでの経緯等の説明あり

・フランツ、夜な夜なハロルドの寝袋に侵入する(セクハラ止まり)【フランツ、アタック中】
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の前半部

・ハロルドがゼウスを守ろうとして危機が去った後に、(以降は本編持ち越し)フランツたぶん襲いながら告白する予定【フランツぶち切れ】
「その結婚…」の悲恋編の「襲来」 と、次話「命を張らせないでよ」の2話


※※※


今作品はシリーズ別作品

完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです


ハロルドの思い人であるゼウスの恋模様がわかる別作品

完結済「その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~」(注:異性恋愛もの)

こちらもよろしくお願いします
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