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#02 瞑想してみたらいいと思うよ

 僕がコンタクトをとっている宇宙存在のことを、あえて「彼」と呼んでいるものの、それを「彼女」に置き換えても間違いではない。


 彼には性別の概念がなく、いうなれば中性的な存在なのだ。ただ僕自身が、なんとなく異性よりも同性の話し相手を求めていたのかもしれない。


「君が望むのであれば、私は女の子にだってなれるのよ」

「いや、今は大丈夫です」


「まあ半分くらいは冗談だけどね」

「逆に半分、本気だったことが驚きです」


「ところで、私がどうして君にメッセージを送り続けているかわかる?」

「え、わかんないです。どうしてですか?」

「暇つぶしだよ」




 僕はそれでも全然かまわないと思った。


 この宇宙存在には、感情などがないように見える。そこは僕の読み取り能力が追いついていないだけかもしれない。


 彼は、ほんとうはすごく寂しかったのだという可能性もある。


「そりゃ君がずっと私を無視し続けるんだから、寂しくもなるよ」

「えっと、すみません」


「これも半分は冗談だけどね」

「また半分本気だったんですね」




 前にも話した通り、宇宙存在というのは仮の呼び名だ。


 一言で宇宙といっても、それは太陽系なのか、銀河系なのか。はたまた別の銀河系なのか、もしくは別の並行宇宙とかなのか。宇宙のことを考え出すとキリがない。


 彼にどこから来たのか聞いてみても、僕の今の翻訳能力では「宇宙から」以上のことがわからない。当分はもう少し、身の丈に合った質問をしたほうがいいのだと思う。




「あの、もっと上手にあなたと会話できるようになりたいんですが」

「以前に比べるとかなり上手になってきているけどね」


「そうかもしれませんが、まだあなたの言うことの一割も理解できていないような気がします」

「なら、瞑想するといいよ」


「瞑想、ですか。座って何も考えないようにするアレですか」

「何も考えない、ではなく、自分が何を考えているか観察するんだよ。ブッダもやってたやつね」


「ブッダを知り合いみたいに言うところをみると、あなたもやはり只者ではないんですね」




 彼の言う通り、僕はしばらく瞑想してみた。あぐらをかいて背筋を伸ばし、目をつむる。


 すると、自分の思考があっちこっちに飛び回っていることがわかった。その思考をしばらく観察していたら、5分くらいでかなり大人しくなった。


「…すごいです」

「効果あるでしょ? だから瞑想は何千年も続けられてきたんだ」


「瞑想したのは初めてではなくて、今回とは逆に頭がごちゃごちゃになることもあるんですけど」

「それは思考と一体化しちゃったんだろうね。自分の思考を客観的にみることができるかどうかだよ」




 つまり「自分自身」と「自分の思考」を切り離して考えること。これは彼が僕に教えてくれた、大切なことのひとつだと言える。


「私が教えたというよりも、君がもともと知っていたことを、私が思い出させる手助けをしただけだよ」

「そうだとしても、ありがとうございます」


「それにしても、君の頭のなかはゴ……宝物がたくさん埋もれているね」

「今、絶対ゴミって言おうとしましたよね?」


「玉石混交だということだよ」

「じゃあ頭のなかのゴミを洗いざらい出していけば、宝物が残ってくるわけですね」


「その通り。私もできるかぎりの協力をしよう」




 僕は、ふと気になったことを彼に聞いてみた。


「あなたには友達とか、仲間とかはいるんですか?」

「うん。というか、私自身のなかに友人や仲間が含まれている」


「あの、頭のよくない僕にもわかるように説明してもらえますでしょうか」

「私は想念が寄り集まってできている存在だ、とも言える。だから自分のことを『私たち』と呼ぶほうが適切なのかもしれない」


「あなたがたは、たくさんいるということですか……」

「でも実質的には、うまい具合に人格が統合されているから、たくさんいても一人みたいなものだよ。私は私だよ」


「では僕もこれ以上は踏み込まず、あなたはあなただと思うことにします」


「ところで、もう一回、同じ質問をしてくれない?」

「えーと僕、何の質問しましたっけ?」

「もう忘れたのかよ」


「あ、思い出した。あなたには友達とかいるんですか?」

「いるよ。君だよ」


「ほんとに? なんか、ありがとうございます」


【#03に続く】


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