統合失調症にかかった、私(31)の私小説
この話は統合失調症にかかった私の実体験である
統合失調症とは、主に幻覚や妄想といった症状が現れる精神病のことである。
有病率は人口の1%、つまり約100人に1人がかかる決して珍しくない病気である
昔は「精神分裂病」とも呼ばれ、社会差別的用語と揶揄され、今では「統合失調症」に改名された
まず初めに、私の紹介をしたいと思う
現在31歳、就労支援移行に通う見た目ではごく普通の女だ
就労支援移行とは、簡単に言えば、精神疾患や知的障害、身体障害を持った人が就職するための訓練施設である。
パソコン訓練、グループディスカッション、軽作業訓練(折り紙などを糊で貼ったり、プラグを分解する作業などがある)
こんな風に文字に起こして文章を綴っている状態まで回復したのは、デイケアと就労支援移行のスタッフのお陰だと信じている。
ここであえて主治医を言わないのは、私が主治医を嫌っているからだ。
私の初診時の医師は、今でも同じだ。
初めは何度も病院を変えようと色んな精神科を巡ったが、結局デイケアと併設している今の開放病棟の病院に留まった。
私が統合失調症にかかったのは、職場のいじめが原因だった。
25歳の時、初めて発症した。
キチガイキチガイ、そう全員が囁く。
それが口裏合わせをしたように、出版社で働いていたオフィスは「キチガイ」のワードで溢れ返った。
この時からもしかしたら、病気を発症していたのかもしれない。
その当時私は付き合っていた彼が居た。初彼ということもあり、誕生日プレゼントは奮発したのを覚えている。
ゴディバのチョコクッキーにゴディバの粉末コーヒー
勝義さんに出会えてよかったと、メッセージカードを加えたのも。覚えている。
思えばその年の6月から付き合い始め、9月に出版社にアルバイトとして入社した。
「エクセルは使えますか?」
「はい」
嘘だった。
どうしてもその出版社に入りたかった訳ではない
今思えば、素直に使えないことを話していれば、病気を発症しないままでいられたのかもしれないと後悔するのだ。
ただ、正社員の事務の採用面接の時と同じように「入ったモン勝ち」そう最低な理由で、あっさりと当時の漫画編集部に配属になった。
仕事は、エクセルを使ったデータ入力、読者アンケートの集計、読者プレゼントの発送、電話応対、来客応対などなど…
初めのうちは楽しかった。天職だと彼氏にも言っていた。
しかし仕事を覚えるのが遅かった私は、ある一人の男性社員を怒らせてしまう
彼からは特に執拗に虐め抜かれたと思う。
仕事を辞める最後に聞いた声は、ある男性アルバイトと話していた時、小さな声で「何話してんだよ」だった。
苛めの主犯格だった男性社員は、何が気に食わなくて私を苛めの標的にしたかは今でも解らないままだ。
苛めなどもしかしたら、そういうものなのかもしれない
理由など「仕事が出来ないから」で片付いてしまうものだったんだろう