327 ネットワーク上の最強魔法使い
投稿間隔が大幅に開いてしまって申し訳ありませんでした。後書きに今後の投稿の見通しをお知らせいたしますので、どうぞご覧ください。
後半で新キャラが登場します。
ジジイとの怒涛の面会を終えて学院に戻ってきた翌日は日曜日。聡史や美鈴の苦労など何も知らずに平和な日常を送っていた学院生のほとんどは昨日に続いてダンジョンに向かっており、この日も大方の生徒が学院を留守にしている。そんな中でデビル&エンジェルだけは少々勝手が違っているよう。
美鈴は「精神的に疲れた」と言って部屋にこもりっきり。ジジイと学院長が気の向くままに暴れ放題だった異空間の維持で相当に精魂尽き果てたのだろう。倒れるようにベッドに寝込んだまま、いまだ精神的な疲労から立ち直る様子を見せてはいない。
もちろんそんな美鈴の様子を傍で見ていた同室のカレンは原因を創り出した当事者の片割れが自らの母親ということもあり、足元がおぼつかない大魔王への心からの同情を禁じ得ない。カレンによって部屋に運び込まれた軽い朝食を摂ってから再びベッドに潜り込んだ美鈴を温かい目で見つめながら特待生寮を出ていく。もちろんカレンの横にはまったく事情を知らない明日香ちゃんの不思議そうな姿も。
このような事情で美鈴抜きで集まった四人のメンバーだが、聡史と桜はダンジョン行きの装備を着用していない。
「聡史さん、もしかして今日はダンジョンには向かわないんですか?」
「カレン、そこなんだけど… ほら、俺たちは昨日レベルが大幅に上昇しただろう。可能ならば筋力や瞬発力の限界点を把握しておきたいんだ。今の状態で迂闊にダンジョンでの戦闘に入ると、思わぬ事故を引き起こしてしまいそうで」
「カレンさん、私もお兄様の意見に同意ですわ。何しろレベルが一気に7段階も上昇したのですから、ある程度慣れておかないと力の加減が上手くいかないかもしれませんの」
「ただ美鈴がダウンしているだろう。訓練する場所をどうしようかと思っているんだ」
兄妹は美鈴に再び異空間を用意してもらってその中で様々な訓練に励もうと考えてたのだが、その肝心な美鈴がいないとなると訓練自体が暗礁に乗り上げる状況。だがここでカレンが助け舟を出す。
「それでしたら私が女神の領域を用意しましょうか? お二人の訓練でも耐えられる強度は保証しますよ」
「本当ですの! それは助かりますわ」
「カレン、手を煩わせてすまないなぁ~」
「気にしないでください。いつもの第3訓練場に設置していいでしょうか?」
「ああ、それで頼む」
ということで四人は第3訓練場に移動。カレンがフィールドの周囲を霊力で覆うとあっという間に女神の領域の完成。ちなみに美鈴が創成した異空間とは違ってこの女神の領域は実在の空間に強固な結界を展開して内と外を隔てている。そのため異空間のように魔力で内部の相対的な面積を拡大するといった運用は不可。だが現実空間に女神の力で展開した結界だけに、兄妹が心置きなく暴れても周囲に被害が及ばない強度は保証されている。
いや、そもそも美鈴の異空間だって同様の強度はあったはず。あの怪物ジジイと学院長のタガが外れた暴れっぷりが常軌を逸していただけの話。
それはともかくとして、こんな具合にカレンが色々と準備を進めている間に気配を消してソロリソロリと後ろ向きに歩き出す人影がひとつ。もちろん桜の目はその動きを見逃すはずもなく…
「明日香ちゃん、一体どこに行こうというんですか?」
「いや~、桜ちゃん。どうやら私はジャマみたいですし、ここは一旦部屋に戻っていようかななんて…」
「そんな都合のいい言い訳などおまるっと見通しですわ。そこで明日香ちゃん、どうか安心してください。すでにポチとタマがグランドでスタンバイしていますから、午前中いっぱいは全力で走ってもらいます」
「さ、桜ちゃん、どうかそこを何とか見逃してくださいよ~」
「甘ったれたことを言っていないで、さっさとグランドに行ってください」
「うう、ダンジョンのほうが良かったですよ~」
こうして明日香ちゃんは涙ながらにグランドへ。向こうでは2体の大妖怪が監視体制を固めているのでそうそう手を抜けないだろうというのは百も承知の明日香ちゃん。だが仮にこのまま姿をくらまそうとしても、天狐と玉藻の前が地獄の果てまで追いかけてくるのは容易に想像がつく。もちろん桜にも脱走が報告されて、より過酷な試練が用意されることだろう。今の明日香ちゃんに出来るのは、この場は素直にグランドに向かってひたすら汗を流すことしかない。ガックリと肩を落としてグランドに向かう明日香ちゃん。その背中にはうだつの上がらない中年サラリーマンのような悲哀が浮かんでいるのは言うまでもなかろう。
「さて、無事に明日香ちゃんをグランドに追いやりましたし、お兄様、さっそく始めましょうか」
「そうだな。かなりハードに動き回るつもりだから、カレンは領域の維持を頼んだ」
「はい、お任せください」
こうしてこの日は、美鈴以外は訓練に費やすデビル&エンジェルであった。
◇◇◇◇◇
夕方の学生食堂。一日で最もリラックスできる時間とあって、生徒たちはくつろいだ表情で食事を摂っている。ことにダンジョンで活動を終えた生徒たちは、この日の魔物との戦いを振り返ったり、成果を喜び合ったりする姿が目立つ。
さて全校で600名ほどの生徒たちが集まると、クラスの仲間やパーティーメンバーとは別に食事の好みが合う面々が次第に寄り集まってくるのも当然の流れ。気心が合う仲間たちの輪が出来上がっているが、その中のいくつかを紹介してみよう。
まず10名以上の大所帯となっているのは〔プロテイン愛好会〕の面々。彼らはストイックなまでに体作りを第一に考える筋肉大好き集団と言える。ひたすら体脂肪を削ぎ落しておのれの筋肉の造形美に酔うボディービルダーの集まりと捉えても間違いはなかろう。実戦には余分な筋肉が邪魔だと知ってはいるが、それでも筋肉美の誘惑に勝てない… そんな類のある意味面倒な連中。そして専用容器に自分の好みで調合しておいたプロテインを一気に飲み干しては声を上げる。
「プハ~、ダンジョンから出てきた1杯目のプロテインは格別だな~」
「この1杯のために日々汗を流しているといっても過言じゃないぜ」
仕事終わりのサラリーマンがジョッキの生ビールを飲み干したような感想を口にするメンバーたち。パフェで乾杯する明日香ちゃんとは対極の姿がそこにある。もちろん食事内容も筋肉の維持と成長のために完璧な栄養バランスを考えたメニュー… コカトリスのささみを蒸して味噌タレを掛けた脂肪分が極端に少ない割にはタンパク質が豊富なおかずをメインにして、ドレッシングなしの大量の生野菜や何も味が付いていないパスタ等々。これだけ徹底していればあの明日香ちゃんでも体脂肪がグッと減るんじゃないかと思わせるような食事内容。
そのうちのひとりが、テーブルに置かれたプロテインの空き袋に気が付く。
「おい、その袋はもしかして今一番話題になっているヤツじゃないか?」
「気が付いたか。NASAが開発した〔無重力空間でも筋肉が落ちない〕という魔法のプロテインだ」
「あんなに品薄でプレミアムがついているのに、良く手に入ったな」
「ヤフオクで1回分5千円の値がついていたけど、思い切って手を出してみたんだ」
「高けぇぇぇぇ!」
「でも効果はありそうだぞ。なんだか飲み始めてから筋肉の張りが違う」
「そうなのか。俺もオークションで購入してみようかな」
筋肉バカたちは、筋肉のためなら金など惜しまない。1回の使用に5千円かかろうが1万円かかろうが、効果さえあればどんな手段を使ってでも手に入れようとするだろう。しかも日本人は「NASAが開発」というフレーズに弱い。こうしてまた転売ヤーたちが儲かる仕組みが構築されていくのだろう。
別の席では激辛愛好会の面々が食事中。もちろん一般的な辛さでは満足できないこの連中は、トレーに載せられた料理にお好みの刺激的なスパイスや真っ赤な色をしたソースをこれでもかという具合にかけており、各自の皿の上は強烈な色合いに染まっている。
「この色が食欲を増すよな」
「うん、この喉に突き刺さるような刺激が堪らん」
唐辛子の色で真っ赤に染まった料理を次々と平らげていく。普通の感覚を持った人間からしたらもはや変人の域に片足を突っ込んでいるといえよう。だがここにいる面々は辛さ10倍カレーなど水を飲むような感覚なのかもしれない。その中のひとりがおもむろに1本のチューブを取り出す。その表示にはおどろおどろしいドクロのマークが…
「お、おい… それはもしかしてデスソースか?」
「いやいや、待つんだ。もしかしたらデスソースの中でも最強の例のアレじゃないか?」
「ああ、ついに俺はここまで辿り着いたんだ」
「いや、さすがに無茶だろう」
「大丈夫だ。テレビタレントやユーチューバーが罰ゲームで食べているだろう。彼らに出来て俺に出来ないはずはない」
「いや、あれは中身を差し替えて…」
そんな周囲が止めようとする声も聞かずに、最凶デスソースを料理にドバドバ。周囲には刺激臭が広がっていく。ちなみに彼らの席は周辺の迷惑に配慮して換気扇の真下と決められている。だが換気扇の真下にも拘わらずデスソースの刺激臭は周囲に強烈な勢いで広がって、大勢の生徒が避難を余儀なくされる騒ぎに。これはもはや強烈な刺激臭を伴った劇物に相違ない。
「おい、さすがに不味いぞ」
「周りの席から誰もいなくなったじゃないか」
「早くその刺激物を何とかしろ」
「いや、これは刺激物という次元じゃない。もはや臭いだけで毒物だ」
激辛愛好会のメンバーをしても最凶デスソースは尋常な刺激ではないよう。目と鼻に突き抜けるとんでもなくヤバい刺激に顔を顰めている。だが件のソースを持ち込んだ本人は意を決した表情で一口…
最初こそ普段と何ら変わらない表情で辛さを確かめていたようだが、一拍遅れて強烈な衝撃が体全体を駆け巡る。ドバっと汗を吹き出させながら猛烈な勢いで首を左右に振り始めるが、声にならない呻きを上げるのが精一杯な模様。
「ん~~」
「吐くな、飲み込め!」
「これ以上の被害を出すな! 自分で責任を取れ」
「ハバネロもまだ完全攻略していないのに無茶しやがって」
デスソースを口にした生徒を何とか励まして最初の一口を飲み込ませようとしている。このままリバースして周囲に中身をぶちまけられるととんでもない被害が広範囲に撒き散らされるだけに、励ます彼らも真剣。
ややあって最初の一口を無事に飲み込んだようだが、件の生徒は座ったまま白目を剥いて意識を失っている。
「バカだな。テレビやユーチューバーは中身を入れ替えているに決まっているだろうに」
「いきなりハードルを上げやがって。もっと自分の辛さへの耐性を自覚しろ」
「それよりもこの毒物の処理を急ごう」
意識を失った生徒は放置したまま、彼らは手際よくデスソースがかかった料理を何枚も重ねたビニール袋に流し込み密封する。空き皿は流しに運んで大量の流水で洗い流す。ここまでの処理は何とも流れるような手際。実は過去に何度もやらかしているので手慣れたものらしい。将来は危険物処理班になれるかも。
とはいえ周囲の一般生徒からは突き刺さるような視線が激辛愛好会に向けられている。彼らはペコペコ頭を下げながら体を小さくして夕食の続きをする。もちろん白目を剥いている生徒は放置のまま、全員が「俺たちとコイツは関係ありません」という表情で他人になり切っている。激辛を口にした結果どうなろうとも「所詮それは自己責任」とでも言いたいのだろう。
一方別の場所ではマヨラーが揃ってエビフライ定食のトレーを目の前に置いてキラキラした目をしている。
「おい、もったいぶらずに例のアレを出してくれよ」
「もう待ち切れないんだ。早くしてくれ!」
「まあまあ、そう慌てるなよ」
そう言いつつも、ひとりの生徒がリュックから大きめのビンを取り出している。
「こ、これが幻の…」
「予約が半年待ちのアレか」
「ついに我々もここまでこれたんだな」
「なんだか目から熱い汁が出てきたぞ」
その生徒が取り出したのは、某有名ホテル特製のタルタルソース。手作りによる少量生産ゆえに中々手に入らない逸品で、注文してから長期間待ち侘びた挙句にようやく本日お披露目と相成った次第のよう。マヨラーにとっては何が何でも口にしたい品を目の前にして、どうやら感極まって涙まで流している生徒まで出る始末。
「一度開封したら長持ちしないからな。今日中に全部空けるつもりで味わおうぜ」
「そんな贅沢していいのか?」
「もったいないが仕方がない。それよりも次は半年後だからな。心行くまで味わうぞ」
生徒は揃いも揃って待ち侘びた幻のタルタルに合わせてシーフードミックスフライを選択している。慎重な手つきでフライにタルタルソースを乗せてから厳かな表情で口に運んでいく。マヨラーにとって幻のタルタルを味わうのは神聖なる儀式に相当するかのよう。
「こ、これは…」
「半年待っても文句をつけられない味だ」
「この世界にこれほど旨いタルタルが存在したとは…」
そもそもサラダやおかずだけではなくご飯やみそ汁にまでマヨネーズを掛けたがる連中だけに、至高の逸品を口にしたままフリーズしている。やがて奪い合うように自らの皿にタルタルソースを乗せて、心行くまでミックスフライとの相性の良さを確かめているかのよう。各々が夢中でその味わいを堪能し尽くしてからしばらくあって、ようやくひとりが口を開く。
「エビフライはタルタルを味わうための単なる棒に過ぎないな~」
「ああ、間違いない。主役はタルタルだ」
「また半年後に究極のタルタルで乾杯しようぜ」
そのうち彼らはタルタルソースで満たされた風呂に浸かるのではないかと危惧される。とはいえマヨネーズは油分が大量に含まれていてコレステロール値が極端に高い。過剰な摂取は是非とも慎んでもらいたい。
そして残すは毎度お馴染みのデザート友の会。2大妖怪にシゴかれてゲッソリした表情の明日香ちゃんの隣には、今日も生徒会メンバーとダンジョンアタックしたおかげで顔色がツヤツヤのクルトワが座っている。
「明日香ちゃん、今日はダンジョンの中で勇者様と手を繋いだんですよ」
「それはようございました。私はヘトヘトでお祝いの言葉を発する気力もありませんよ~」
大好物のパフェを目の前にしながら、いつになくヤサグレている明日香ちゃん。朝から夕方までポチタマに付きっ切りでシゴかれていたせいで、相当に疲弊しきっているよう。そこに持ってきてクルトワのノボせた話が繰り出されるものだから、ぞんざいな返事になってしまうのもやむを得ぬかもしれない。
「明日香ちゃんは何でそんなにつれないんですか? もしかして私と勇者様の恋が羨ましいとか」
茂樹との関係が一歩前進したかのような上から目線のクルトワだが、実際には通路の足場の悪い箇所で手を貸してもらっただけの話。本人がすっかりノボせて恋人気分で手を繋いだ気になっているに過ぎない。箱入り娘だけに、この辺の恋路に関する事情に疎いのか、はたまた夢見がちな年頃なのか…
「そんなんじゃありませんよ~。とにかく丸1日シゴかれ捲ったせいで、パフェも喉を通らないんですよ~」
「それじゃあ、明日香ちゃんのパフェは私がいただいちゃいますね」
「誰も食べないとは言っていません。喉を通らなくても意地でも無理やり流し込みますから、どうぞご心配なく」
フォアグラか! とツッコミたくなる明日香ちゃんの言動が炸裂。デザートに関する執念はどんなに疲労困憊でも健在な模様。
するとここで横から声が掛かる。
「クルトワ、ちょっといいかしら?」
「美鈴様、何かご用事でしょうか」
1年近くに渡る学院生活にすっかり馴染んでいるクルトワだが、大魔王様からの声掛かりとあらば一にも二もなく従うのは当然という表情で姿勢を正して振り返る。
「言い忘れていたんだけど、来週からあなたの国に向かうからそのつもりで準備をしてもらえるかしら」
「承知いたしました。久しぶりに父上とお会いできるのですね」
「そうね… あちらに着いたら色々と仕事をしてもらうかもしれないから、そのつもりでいてくれるかしら?」
「はい、美鈴様のお役に立てるのでしたら、身を粉にして働かせていただきます」
美鈴からナズディア王国行きを伝えられたクルトワは、心持ち瞳を煌めかせている。日本での生活にすっかり馴染んでいるとはいえ、そこは自分が生まれた国に戻るのは嬉しいに違いない。美鈴からの伝達を聞き終えたクルトワは、喜びに溢れたその顔を明日香ちゃんへと戻す。
「明日香ちゃん、ぜひ私と一緒に魔王城に行きましょう。私の大親友ですから、みんな大歓迎してくれます」
「ええ~… どうしましょうかね~」
喜色満面のクルトワは当然のように明日香ちゃんから色良い返事が返ってくるものだと思い込んでいたのだが、なんとも連れないその態度にどうにも肩透かしを食らった表情に打って変わっている。それはそうだろう。大親友と信じて疑わない明日香ちゃんから魔王城行きを躊躇うような態度を見せられたのだから。
ここで明日香ちゃんは行動に出る。
「カレンさんは美鈴さんと一緒にクルトワの国に行くんですか?」
「ああ、その件ですか。私は今回遠慮しておきます。私が姿を見せると魔族の皆さんに無意識に緊張を強いてしまいますので」
ご存じのように魔族たちの魔法属性は総じて闇。そんなところに聖属性の化身たるカレンが姿を現すと、美鈴の仲間だと頭ではわかっていても魔族たちには多大なるストレスを与えかねない。その点を懸念して、カレンは今回の異世界行きには参加しない方針となっている。
「そうなんですか。そういう事情なら仕方がないですよね~」
明日香ちゃんのスイーツ脳でも何となく事情は察せたよう。同室のカレンが居残りとあれば特待生寮の掃除や洗濯の心配がないため、明日香ちゃんの考えは居残りに傾いている。
「ということは、今回の異世界行きのメンバーは美鈴さんとお兄さんと桜ちゃんとクルトワさんですか…」
小声で何気なく呟いた明日香ちゃんのセリフだが、桜の耳は聞き逃すはずもない。
「明日香ちゃん、どうやら誤解しているようですが、今回の異世界出張には私は参加しませんわ。補給物資もないですし、運び込む貨物はお兄様ひとりでも大丈夫ですから」
「ええええ~! 桜ちゃんは行かないんですかぁぁぁ」
急に焦り出した明日香ちゃん。桜が同行しないとなると話はまったくの別物に早変わり。いや、それどころか居残りのパーティーメンバーが少なくなる分自身に対する桜のマークがより一層キツくなる恐れすらある点に気付いたよう。こうなるとクルトワに同行して異世界に向かったほうが桜のシゴキで痛い目を見なくて済みそうという計算が成り立ってくる。
「ク、クルトワさん、私も一緒に行ってもいいかなぁ~… なんてちょっとだけ思ったりしてきましたよ~」
「桜ちゃんが居残りだと知った途端の手の平返しですか?」
クルトワは明日香ちゃんの性格をすっかり見抜いている。伊達に1年近くデザート友の会に参加してはいない。自らの思惑をクルトワに言い当てられた明日香ちゃん。その額からはいつの間にか大量の汗が流れ出している。世の中いいとこ取りで渡っていこうとしても、中々そうはいかないという典型例がここに出現した模様。傍から見ても動揺しまくりの明日香ちゃんだが、何とか誤魔化そうと…
「い、嫌だなぁ~。クルトワさんは私の友情がわかっていませんねえ~」
「誰が聞いてもしどろもどろになっているようにしか聞こえてきませんよ」
「クルトワさん、お友達じゃないですか。ここでそんな意地悪を言わないでください」
「なんだか謙虚さの欠片も感じません」
「うう… クルトワ様、お願いですから私も異世界に連れていってくださいよ~」
ついに懇願し出した明日香ちゃんにクルトワも困り顔。どうしたものかと美鈴に助けを求める表情を向けている。美鈴も明日香ちゃんの態度を見て大よその事情を察したらしい。やや呆れ顔を向けながらも…
「まあ、いいんじゃないかしら。そこまで言うんだったら、明日香ちゃんにも同行してもらうわ」
ここで無碍に断ると後からゴネられそうという判断が働いた模様。美鈴としては面倒事に巻き込まれるのを避けた形のよう。ともあれこれで明日香ちゃんの同行は許可された。思いっきり安堵の表情を浮かべている明日香ちゃんだが、そこにクルトワがいわくありげに声を掛けてくる。
「明日香ちゃんと一緒で心強いんですが… でも本当に大丈夫ですか? 私たちの国では日本のようにふんだんに甘い物が手に入りませんよ」
「あっ! 言われてみればそうでしたよ~。さっそく明日からお菓子の調達を開始しなければですよね~」
なんだか前向きな明日香ちゃんが出来上がっている。「パフェがないならチョコレートを食べればいいじゃない」的な考えを思い描いているらしい。なんともお気楽すぎて、クルトワもどこから突っ込んでいいやら言葉が出てこない。
兎にも角にも今回異世界に渡るメンバーが決まって、あとは多少の準備をしながら出発する日を待つだけとなるのだった。
◇◇◇◇◇
話題は打って変わって〔電子戦〕というフレーズを耳にしたことはあるだろうか。
地球上における電子戦の始まりは、おそらく無線通信が軍事に転用された時期だろうと考えられる。敵の通信の傍受や妨害電波を放って通信障害を引き起こすといった形で初期の電子戦が開始された。
兵器と同様に通信システムも大幅に進歩すると、電子戦もより複雑な技術を用いるようになる。ことにレーダーが開発された時期になると、敵のレーダー網をいかに回避するかという技術に各国が取り組むようになる。現在ではその結果としてステルス戦闘機が出来上がったり、迎撃不可能な極超音速ミサイルの開発が進むという技術の進化に繋がっている。
さて電子戦には、実はもう一つの側面が存在する。現代において人間の社会にはコンピューターシステムは必要不可欠のものとなっており、生活のあらゆる分野がコンピューターによって制御されている。一例を挙げると自動車や電化製品には大量のマイクロチップが埋め込まれて、より安定的かつ効率的に作動するように常に機器の内部で適正な状態を維持している。それだけではなくて商取引やサービス業の予約システムなども大半がコンピューター上で決済される社会においては、ネットワークの安全が担保されていないとならない。
だがこのネットワークの安全を脅かす勢力… 一般的にはハッカーと呼ばれる集団がこれに該当するのだろうが、このようなネットワーク上の不正アクセスを国家規模で行う国が存在するのも事実。人民解放軍のハッカー集団が企業や日本政府のサイトにアクセスして情報を抜き出したり中身を書き換えるなどの行為が時折ニュースを騒がれている。
このような国家単位のハッキング行為も、広義においては電子戦の一部と考えて間違いない。こちら側の防御システムが脆弱であれば、場合によっては自衛隊の武器運用プログラムまですっかり丸裸にされる恐れもある。この分野において日本は世界的にみると大幅に後塵を拝してきた感が否めないのもまた事実。
ところがつい最近、銀河連邦から供与された量子コンピューターとAI知能によって日本におけるサイバー空間での防衛の分野は一躍世界トップに躍り出た。それこそ他国を圧倒する勢いというか、他の追随をまったく許さないブッチギリのトップに一気に昇り詰めている。もちろんこの状況は世界はおろか日本国内でも限られたごく一部の人間しか知らない話。日本政府としても当面は一切公表する予定はない。
そしてここは伊勢原駐屯地と魔法学院の敷地に挟まれた広大な緩衝地帯。間もなく完成予定の天の浮舟製造基地に隣接した地上7階建ての堅牢なビルの内部。このビルの中では計10基の量子コンピューターが稼働を開始しており、世界中を行き交う通信を監視している。こちらの任には自衛隊員から選抜された優秀なオペレーターと一緒に白衣を着た数人の民間人も協力にあたっている。
その民間人のひとりに、つい先日この部署に着任したばかりの人物がいる。おそらくはアラフォーであろうその女性は、某アニメに出てくる赤木リ〇コ博士をほうふつさせるような雰囲気を纏っており、新入りにも拘らずキビキビした態度で各所に指示を飛ばしている。この人物こそ、日本におけるコンピューター工学やプログラミングの第一人者である楢崎康子博士。
その名字でお気づきの方もいるかもしれないが、この博士は何を隠そう聡史兄妹の父方の叔母にあたる。平凡なサラリーマン生活を邁進中の聡史たちの父親とは違い、こちらは周囲の誰もが認める才媛。若くして東京大学の教授に昇り詰めた日本国内においても指折りの頭脳の持ち主。現在はハーバード大学の研究所に籍を置いているが、日本政府からの要請に応えて短期の出向という形で現在は伊勢原に赴いている。
楢崎博士はこうしてみると順風満帆な人生を送っているように聞こえるが、私生活においては10年前に離婚しており、以来一人娘を女手一つで育てている苦労人でもある。
彼女を含めた伊勢原駐屯地の量子コンピューターオペレーターたちは現在とある極秘ミッションを実施中で、1基のコンピューターシステムに付随されたモニターの前にほぼ全員が集まっている。
「楢崎博士、相手システムへの侵入を開始してよろしいでしょうか?」
「ええ、始めましょうか」
やや緊張した面持ちの今回のミッションのサブオペレーターが確認すると、極めて落ち着いた彼女の返答が返ってくる。実は今回のミッションは、量子コンピューターととある能力を融合させて相手に勘付かれることも侵入の痕跡も残さないままにハッキングを行うという、かなり危険度の高いある種の非合法な行為。もしも何らかの痕跡やハッキングのシッポを相手方に掴まれてしまうと、たちどころに日本政府の責任が追及される懸念は十分承知の上。それでもこのような危険が危惧される中で敢えて実施に踏み切ろうというのは、もしこの技術の実用性が証明されたならばそれは戦略的に只ならぬ意味合いを持つという、日本のサイバー上の防衛において極めて重要度が高いのが主たる理由。
そして今回量子コンピューターでハッキングを実行するメインオペレーターは、驚くことに高校生の女子。彼女の名は楢崎弥生で現在アメリカのハイスクールに通う1年生。その名が指し示す通り楢崎博士の娘で、聡史兄妹からすると従妹にあたる。
ではなぜ年端も行かない女子高生が日本の国防を左右するような極秘ミッションの正式なオペレーターとしてこの場にいるのかという疑問が湧いてくるであろう。簡単にタネを明かすと、それは彼女の中に中学生の時分に発現した魔法スキルに由来している。この魔法スキルというのがどのようなモノなのかは、今回のミッションが進行していく段階に応じて徐々に明らかになっていくはず。
「楢崎一等特士、ゴーストの作成に取り掛かってくれ」
「了解しました」
すでに弥生は自衛隊の予備役として任官済み。量子コンピューター専属オペレーターに任命され夏休みに入ってから此の方、母親と一緒に伊勢原駐屯地の官舎に滞在してこの場で訓練を開始している。ちなみに「特士」という階級は、陸海空のどこの部隊にも所属しない隊員の呼称。
さてミッションに戻ると、弥生が取りかかった〔ゴースト作成〕というのはサイバー空間内にどこにも所属しない情報体を作成するスキル。つまりIPアドレスなどが割り当てられていない住所不定の情報体をネットワーク上に創り出すことが可能。IPアドレスが存在しなくて、まったく得体の知れない情報体… ネットワーク上の幽霊とでも呼ぶべき存在ゆえに、これを「ゴースト」と呼んでいる。
仮にオンラインゲームにおいて、量子コンピューターとAI知能によってバックアップされて運営側でも削除不可能な正体不明のキャラが暴れ出したら、おそらくゲームの世界そのものが崩壊を迎えてしまうであろう。サイバー空間における弥生が魔法スキルで創り出すゴーストとは、それだけの破壊力を持つ情報体に相違ない。しかもこのゴーストが厄介な点は、まったく痕跡すら残さずにパスワードやセキュリティーシステムを一切無視してどこにでも潜り込める点にある。要はあらゆるプログラムをハッキング可能ということに他ならない。
「ゴースト製作完了」
「よし、それでは画面に表示されているロシア軍の誘導ミサイル管制プログラムに侵入してくれ」
「了解」
弥生のある種無機質に聞こえる声がオペレーションルームに響く。それだけでなくて端末を操る彼女の表情は、高校生らしい感情に乏しく無表情に映る。そんな表情を崩さないまま、弥生は魔力を操作しつつゴーストを所定のプログラムに潜入させていく。セキュリティーシステムをコンマ何秒で突破すると、パスワードを無視してプログラムの操作権限を確立していく。
「操作権限掌握しました。書き換え可能です」
「よくやった。ここから先は任せてくれ」
プログラムに表示されている多連装ロケット弾発射までの残り時間は2分少々。だがそれだけの時間があれば、着弾地点の座標を書き換えるには十分すぎる。サブオペレーターが端末を操作し始めると、あっという間に着弾座標が改竄されていく。
「着弾地点書き換え完了」
たった今弥生が乗っ取った多連装ロケットシステムは、ウクライナの水力発電所に向けて発射される予定だった。だが書き換えられた新たな座標は、ロシア国内の弾薬備蓄基地。味方の攻撃によってただでさえ不足が伝えられる弾薬が、今から木っ端みじんに吹き飛ばされようとしている。今回の実験に選ばれたロシアとしては、そのあまりの不条理ぶりをどこかにぶつけたくなるであろう。
「ロケット弾発射30秒前」
カウントダウンが続き、ついに12基のロケット弾が点火されて飛び出していく。
「楢崎特士、ロケット弾管制プログラムの全消去を頼む」
「了解しました。プログラム・デリート」
これもまた弥生の魔法スキルで、潜入した先のプログラムの一部分、もしくは全体を完全に消去する術式。進行方向がおかしいと気付いたロシア軍によってせっかく発射されたロケット弾が自爆されないように、ここは念には念を入れて飛び出した12基のロケット弾を制御不能状態に落とし込む。
そのまま待つこと約20分…
「ロシア上空に潜入している天の浮舟から連絡が入りました。ロケット弾5発がロシア軍の基地に着弾。他は目標を外れて付近の野原や林に着弾しています」
「ロシア製の武器性能だったら、4割がまともに着弾しただけでもまだマシなほうか」
「むしろ画期的な成果じゃないですか」
このところのウクライナ侵攻でロシア軍のお粗末さ加減が暴露されているせいか、隊員たちは口々にロケット弾の命中精度を笑いあっている。するとここで量子コンピューターオペレーション担当の責任者が、楢崎博士に声を掛ける。
「さすがは博士のお嬢さんですな。事前に何度もシミレーションを繰り返したとはいえ、まさか一発でこのような鮮やかな結果を出すとは思いませんでした。このまま順調に訓練が進んでいけば、いずれは巡航ミサイルや核弾頭搭載のICBMですら発射プログラムを乗っ取れるでしょう。我々が考えているよりもお嬢さんの才能ははるかに高いと断言いたします。これはもう戦略兵器レベルと申し上げても過言ではない」
「誰に似たのか… 物心ついた頃からパソコンをオモチャにして遊んでいたおかげかも知れません」
「英才教育というわけですな」
「そのような高尚なモノじゃありません。本人がやりたいようにさせていただけです」
これは母親の謙遜ではなくて偽わらざる本音。子供らしいオモチャには一切興味を示さず、ひたすらキーボードを叩いて過ごしていた成果が弥生の現在に繋がっているのかもしれない。
「ひとまずは政府のサイバー空間上での防衛目標達成のためには、お嬢さんはの能力は非常に心強いと申し上げて差し支えありません。しかしまだ課題は残ります」
「具体的にはどのような?」
「それは現状では魔力が少なすぎて、1日に何度も同様のハッキングが出来かねる点にあります」
「確かにその点は認めます」
「そこでですが… お嬢さんをこの施設に隣接する魔法学院に編入させて、より専門的な魔法に関する教育環境に置いてみるのはいかがでしょうか?」
「本人が希望するというなら、魔法学院への編入も吝かではありませんが。ただ…」
「何かご心配がありますか?」
「あの子にダンジョンで魔物と戦うなどといった危険が付きまとう行為をさせるのはちょっと… もっとも本人の意向を最優先にしますが」
普通に考えて、母親としての楢崎博士のこの感情は誰にでも頷けるものであろう。魔物との戦闘に喜んで我が子を送り出す親など、実際のところそうそういるものではない。在校する生徒たちの大半の親が、子供の強い意志に負けて渋々ながら入学を認めているのが現状。
しかもこの楢崎博士はアメリカ在住が長かったおかげで、聡史たちが魔法学院で過ごしているといった事情を知らない。元々日本にいる時から年に一度正月に顔を合わせる程度の間柄だったので、一時的に日本に戻ってきてからも連絡を取ってはいない。もっとも自衛隊からも「帰国は親族にも秘密にしてほしい」という要請があったのも一因となっている。
母親として楢崎博士が心配する様子を察した責任者は、ここで一つの提案を行う。
「ご心配な点はもっともです。そこで魔法学院に実際に在籍している生徒を呼び出しますので、当人たちから詳しく話をするのはいかがでしょうか」
「はあ… 話を訊くだけでしたら…」
やはり乗り気ではなさそうな態度。だが責任者はなぜか自信に満ちた表情を向けつつ、ポケットからスマホを取り出してどこかへ連絡を始める。
「30分もしないうちにこちらに来てもらえるそうです。その間にお嬢さんへも事情を説明いたしましょう」
「はい、わかりました」
ミッションも一段落したことだし責任者と楢崎博士親子は施設の談話室へと向かう。そこでお茶を飲みながら魔法学院に関する説明がなされる。
「私も実際に足を運んだわけではないので大まかな説明しかできませんが、大体このような内容となっています。楢崎特士としてはいかがお考えでしょうか?」
「現在通学しているハイスクールには知り合いもいますし、今更日本の学校に編入するのもちょっと…」
どうやら本人としてはあまり乗り気ではない様子。この態度に母親として胸を撫で下ろす楢崎博士。彼女としては量子コンピューターの開発と実用に携われるとあってこのまま日本での生活を希望しているのだが、娘の学校の問題もあるし先々に関して正式に回答を出してはいない。
コンコン
「失礼いたします。お客様をお連れいたしました」
案内役の女性職員がドアを開くと、彼女の背後から二つの人影が入室。予想通りというか、この場に呼び出されたのは聡史兄妹に相違ない。そして兄妹の口から…
「や、康子叔母さん。なんでこんな所に…」
「お隣に座っているのは、もしかして弥生ちゃんですか? 小学生の時以来ですわ。どうもお久しぶりですの」
「ええぇぇ… 聡史君と桜ちゃん。あなたたちが何でこんな場所に顔を出すの?」
楢崎博士の口は驚きのあまり開きっぱなし。その隣にいる弥生はというと、事の成り行きについていけずに無表情で固まっている。
「それは色々と事情がありまして…」
「学院長から聞いたところによると『新たな特待生の勧誘をしてこい』というお話でしたが、まさかその相手が叔母様と弥生ちゃんだとは思いませんでしたわ」
もちろん量子コンピューターオペレーション室として… ひいてはダンジョン対策室の意向として楢崎兄妹を利用して弥生を魔法学院に編入させるのは既定路線でもあった。
だが何も聞かされていない当人たちとしては、まさかこんな場所で親戚との対面などという状況は想定外。完全に声をなくしている博士親子に対して、様々な事情を知っている分だけ聡史たちはまだ余裕があるほうかもしれない。
「康子叔母さん、それから弥生ちゃん、細かい事情は打ち明けられないけど、俺たちは予備役として自衛隊に所属している。だから時折こうして伊勢原駐屯地やこの施設に出入りしているんだ。まさかここで叔母さんたちと出会うなんて思ってもいなかったけど、これから色々と顔を合わせる機会があると思うからよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ」
「は、はい… よろしくお願いします」
こうして親戚同士の対面が済んで、いよいよ魔法学院に関する説明がなされていくのであった。
私事ですが9月に職場の部署が移動になりまして、引継ぎやら新たに覚えることやらで小説を書いている精神的な余裕がなくここまで時間がかかりました。ようやく新たな業務にも慣れてそろそろ執筆を再開しようと思ったら色々と頭の中から抜け落ちていることが多々ありまして。しばらくは過去に投稿した話を読み返して修正などを行いながらリハビリに務めておりました。
おかげさまでようやくこうして続きの投稿が出来て、作者としても嬉しい限りです。続編をお持ちいただいた読者の皆様には大変お待たせして申し訳なかったですが、このような事情をどうぞご理解いただけたら幸いです。
今後は1週間から10日に1話程度のペースで投稿できればと考えております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
それから、読者の皆様にはどうか以下の点にご協力いただければ幸いです。
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