215 魔王城凱旋 2
引き続き魔王城内では……
魔王直属の親衛騎士団を手中に収め城内の軍権を掌握した美鈴は、ひとまずはこれで安心とばかりに兵舎の中にある魔王が滞在する部屋に場所を移す。付き従うクルトワと共にエリザベスやフィリップ、レイフェンなども続いていく。その様子を遠巻きに眺める騎士団の者たちが奇妙に思ったのは、それとは別に黒いフード付きのマントを目深に羽織って顔を隠しながら歩く四人の男女と、宮司と巫女装束というこの世界では目にしたこともない珍妙な姿の2名が一緒だったことであった。
魔王専用の部屋に通された一行は、ソファーに腰を下ろして供された茶を口に含みながらくつろぎのひと時を過ごしている。
「まず第1段階は無事に終えたわね」
「美鈴とクルトワは、いい感じに台本通りに演じてくれたな」
どうやら今回の練兵場での一幕は、美鈴と聡史によって描かれたシナリオ通りに進んでいるようであった。舞台の演出を担当する両名は、事の成り行きに手応えを感じているのか満足そうな笑みを浮かべている。アライン砦に滞在する間にエリザベスやフィリップから綿密な聞き取りを行い、魔王城の内部や権力構造がどうなっているのかすでに完璧に把握しており、その情報を基にして組み上げた台本は今のところ上々の首尾と評価されるであろう。
より具体的に聡史と美鈴が描いたシナリオを解説すると、クルトワ、エリザベス、フィリップの魔族内での地位を生かした上で適切な役割を割り振って、無血で魔王城全体を掌握しようという作戦であった。その第1段階があっさりと終ったので、聡史と美鈴はこれに気を良くして次に進もうとしている。
「さて、城内の軍をこちらが握ってしまえば、残りは大した抵抗はできないだろう。時間を置かずに次の段階に移行しよう」
「ええ、そうしましょう」
聡史と美鈴の間ではすでに暗黙の裡に話がまとまっていたようだ。もちろんクルトワとエリザベスたちもおおよその流れを理解して頷いている。だがサッパリ分かっていないのは明日香ちゃんであった。頭の上に大量の???を浮かべている。
「桜ちゃん、次の段階って、何か聞いていますか?」
「右手にアンドーナツを握りしめて真面目な表情で聞かれても、こちらが返事に困りますわ。それに明日香ちゃんは聞いてもどうせ正確に覚えていないですから、もう何も気にしないでいいですよ」
「ああ、言われて見れば確かにそうでした。何も気にしないほうがいいですよね~。余計なことに頭を使わずに済みますから」
「明日香ちゃんのお気楽さ加減は、誰にもマネができませんわ」
「私も他者の追随を一切許していないと自負していますよ~」
「そんな自負はさっさと捨て去るんですよぉぉ」
桜が明日香ちゃんに突っ込んでいる横から、天狐が口を挟んでくる。
「主殿、昼餉はキツネうどんを召せるでしょうか?」
「ああ、ポチのお昼ですか… アイテムボックスに麺類をドンブリのままで入れるのはどうも気が進まないから、キツネうどんは用意していないんですよ」
桜の応えに、天狐はガックリと肩を落としている。なんでも持ち運べるアイテムボックスとはいえ、さすがにキツネうどんを丸ごと入れて異世界に運び込むのは桜も気が引けていた。内部にうどんのツユがこぼれてビショビショになってしまうのを恐れたのだろう。本当は入れた状態のままで保管されるからそのような心配は無用なのだが、なんとなくつゆ物を保管するのは嫌だったようだ。
「ほんに青柿丸はわがままなのじゃ。妾のように好き嫌いなく何でも召せばよいのじゃ」
玉藻の前はどうでもいいことに口を突っ込んでくる。ただしその手にはクリームドーナツを握り師めているので、この上なく説得力に欠けている。それにしてもなぜ、桜の周りだけはいつもこのように肝心な話題そっちのけで話が脱線してしまうのであろうか? 多分誰か一人が悪いわけではなくて、それぞれのキャラが混ざり合った結果としてこのような方向性に落ち着いてしまうのだと好意的に解釈しておこう。
だがいつもはこのグループに混ざってさらにカオスな状況を作り上げるはずのクルトワは、さすがに自分の国の一大事だけあって真剣な表情で美鈴に尋ねている。本当に珍しい出来事ではあるが、やはり彼女なりにナズディア王国の先行きを案じているのであろう。
「美鈴様、次に私はどのようにいたせばよろしいでしょうか?」
「クルトワはまだ直接動く必要なないわ。ここは相手方に私たちの存在を敢えて明かして出方を窺いましょう」
「わざと教えるのですか? ここまで可能な限り秘密裏に進めてきたのが無駄になりませんか?」
「クルトワも中々考えているわね。そういう先々への見通しに繋がる疑問を感じるのは、将来きっと役に立つわ」
美鈴からお褒めの言葉をいただいたクルトワは、顔を紅潮させて「どうだ」と言わんばかりの表情で明日香ちゃんを見遣る。この場で友人に思いっきり違いを見せつけようという魂胆が見え隠れしている。だがせっかくクルトワからパスを受けた明日香ちゃんは、ドーナツ片手に玉藻の前とデザート談議に花を咲かせてこの遣り取りを何も聞いていなかった。せっかく自分が褒められた場面を明日香ちゃんにスルーされて、クルトワはガックリと肩を落としている。もちろんクルトワの感情の中には、自分も一緒になってドーナツを口にしたいという思いもあるのだが、今は涙を呑んで我慢しているのは言うまでもない。
それよりも明日香ちゃんは、せっかくクルトワのファインプレーを見逃すなんて、なんとも友達甲斐がなさすぎではないだろうか? あまり突っ込んでも、甘い物を前にした明日香ちゃんが他の物事に考えを巡らすなどあり得ない話であるが…
ということで明日香ちゃんに無視された結果ヤケ酒の一つでも飲みたい気分に浸っているクルトワに、美鈴が続ける。
「さっきも言ったけど、こうして親衛騎士団を掌握した今は逆に相手の出方を窺ったほうがいいのよ。追い詰められた気分になると、人間でも魔族でも自爆するケースが往々にしてあるの」
「自爆ですか?」
「ええ、自ら墓穴を掘ってくれるのを待つのも戦術の一つだと覚えておきなさい」
「はい、わかりました」
これだけクルトワが美鈴から色々と学んでいる最中でも、明日香ちゃんの頭はお菓子から離れていない。ウットリした目で玉藻の前と美味しいデザートについて語り合っている。いい加減現実に戻ってきてもらいたい。
「フィリップ、親衛騎士団の幹部を王宮に派遣して、クルトワの帰還を伝えてきてもらえるかしら」
「承知いたしました。騎士団の副団長を遣わしましょう」
親衛騎士団からの報告となると王宮は正式な対応をせねばならない。ましてやその内容が行方不明となっていたクルトワの消息ともなれな尚更であろう。美鈴は敢えて正式な連絡を王宮に届けさせたうえで、果たしてどのような対応をしてくるのかを見極めようとしているのであった。それが相手の出方を窺うという先の発言に繋がっている。
フィリップから命令を受け取った騎士団の副団長は、三人の随行者を連れて至急王宮へと向かっていく。今回彼が報告を携えるのはあくまでもクルトワの帰還に関してだけであって、3千の遠征軍が入場したことや美鈴の大魔王としての宣言等は伏せられているのは言うまでもなかった。
◇◇◇◇◇
現在の魔王城で政治の中心にあるのは、当然ながら宰相である。魔王の補佐役である宰相職は主に行政の実行機関であり、その役割の中には魔王城内外からの報告や通信の授受も含まれている。魔王が健在の時分であってもこのような業務は宰相が管轄しており、それに必要な人員が多数割り与えられている。
そして今回、3千人の将兵が入場した件やクルトワが帰還したという第一報が宰相の耳に伝えられたのは、親衛騎士団の兵舎から副団長が出立したのとほぼ同時刻であった。すでに美鈴が完全に親衛騎士団を掌握してかなり時間も経過した頃合いに、ようやく宰相の元に第一報が届いたと言える。
報告が上がるまでの間に相当なタイムラグが生じたのは、偶然でもなんでもなかった。街や王城の門付近にいた間諜が担当部署に駆けつけて兵士の入場やクルトワの帰還をもたらしてから、その内容が宰相の耳に届くまでは数か所の部署を経由する必要があるのだ。日本でも時折話題になるお役所での稟議書と同様に、幾重にもチェックが行われて絶対に間違いのない報告が上げられていく形式となっているのであった。殊に今回はクルトワの帰還といった大問題が街の門付近にいた者からもたらされており、役人たちが普段よりも慎重にその裏付けをとった分だけ相当な時間がかかってしまった。
これが間諜の報告と騎士団からの正式な報告が、ほぼ同時刻となった原因と言える。そしてようやく情報部門の責任者の手によって宰相の執務室にクルトワ帰還と3千名の部隊の入場がもたらされたのであった。
「一体どういうことなのだ? 3千にも及ぶ規模の部隊が急にナズディアポリスに出現したとでもいうのか。各街に派遣しておる手の者たちは何をしておったのだ」
「それが我々にもサッパリわかってはおりませぬ。念のためにそれぞれの街に駐在しております配下に確認しても、そのような大掛かりな部隊の動きは何処にもございませんでした」
「あまりにも解せぬ話だ。一体何がどうなっておるのだ…」
報告を受けた宰相は、現在混乱に極みにあった。クルトワの帰還だけでも頭が痛いところに以ってきて、どこの街も通過した様子もないにも拘らず現実に3千にも上る部隊がまるで降って湧いたかの如くにこの王都に突如出現した。一体どの部隊がこのように隠密に兵を動かせるのか… もしかしてらさらに後続の軍勢が控えており、今日明日には続々と魔王城へ入場するのではないか… このような不安が宰相の脳内で頭をもたげて、彼は居ても立っても居られない気分を味わっている最中であった。
そこに…
「失礼します。宰相閣下、親衛騎士団副団長オーノス殿がご報告を持ってまいりました」
「わかった、通せ」
係から告げられた来訪者が入ってくるとあって、宰相は千々に乱れる頭を大きく振って、なんとか冷静な表情を取り戻してから応えを返す。実は本人は冷静さを取り戻したつもりであっても、他から見ると心の内の動揺が隠しきれてはいない様子がありありであった。
宰相からの許可を得た係はドアを開いて副騎士団長を執務室に案内する。入室した副団長は、いかにも騎士らしい姿で礼の姿勢をとって待機している。実はこのオーノス副団長は、魔王が不在になってから専横を開始した宰相に意にそぐわない命令を出されて不本意ながら従わざるを得なかった事例は一度や二度ではなかった。その最たるものが、騎士団長であるハインリッヒ公爵に率いられた千名の親衛騎士団がエクバダナに派遣されて以降完全に消息を絶ってしまったあの一件であった。
その後騎士団長の消息が不明となり、何も連絡がないままに彼の両肩には団長不在の分までその職務が圧し掛かり、日々残業の連続でここ数か月休暇もないままに職務に追われるという経験をしてきた。そしてオーノス副団長は本日晴れて騎士団長の帰還を迎え、ようやくあの激務から脱却できるという思いにスキップをするような心地で宰相の執務室を訪れていた。もちろんオーノスがそのような思いを抱いているであろうと見越したうえで、フィリップが人選を行った結果でもある。
根っからの軍人でありながらオーノスは、相手を正確に観察する目をかねてから養っている。もちろんその人柄と相まって、フィリップからの信任も厚いのは言うまでもない。そしてその目は宰相が何らかの事情によって心の内で動揺しており、その心情を何とか隠そうと表面を取り繕っている様子が見通せた。
「親衛騎士副団長殿、報告を申してもらおうか」
待ってましたと言わんばかりに、オーノスは大きく息を吸い込む。そして満面の笑みを浮かべて第一声を放った。
「宰相閣下、どうぞお喜びくださいませ。クルトワ殿下がつい先程魔王城に無事にご帰還あそばされました」
宰相の右半分の顔が細かく痙攣するように動いている。オーノスは自らが発した嫌みが、思いのほか大きな効果をあげているとニンマリする。だがその微笑みは、クルトワが帰還したという喜びの表情だと言い訳できると彼は知っていた。なぜなら魔王陛下の一人娘が行方知れずになってようやく見つかったという知らせに喜ばない魔族など存在するはずがないからである。もちろんこれは拉致に関わった関係者を除くという条件が付くが…
「そうか、私もたった今その報告を耳にしたばかりだ」
ギリギリと歯ぎしりをするかの表情で宰相が返事をする。彼の中では、親衛騎士団が謎の部隊を城内に入れないように動くという淡い期待がもろくも崩れた瞬間であった。と同時に彼はもう一つ失敗を犯していることに気付いていない。3台の馬車を先頭にした3千の部隊が魔王城の門をくぐってからすでに1時間半が経過している。王都の門を通過してからとなれば2時間以上を経ているはずだ。それなのに宰相にその一報がもたらされてのはたった今だという。なるほど、宰相が王都の内部や城内に配置している諜報網は、意外と大したことはないとオーノスに勘付かれてしまっているのであった。さらにオーノスは畳み掛ける。この数か月続いた激務を埋め合わせるかのように。
「親衛騎士団の将兵は上から下まで大変な喜びようであり、中には声憚らず泣き出す者まで出る始末でありました。行方不明であられました殿下を保護する栄誉にあずかった親衛騎士団は、身を賭して殿下をお守りいたす所存でありまする」
直訳すると「クルトワ殿下には指一本触れさせないぞ」という意味になる。これはオーノスのアドリブであり、クルトワの帰還はこれまで思うが儘に専横をふるまっていた宰相の権力の一角が崩れたぞと突きつけるには十分な意味合いを含んでいた。
「そうであるか。騎士団にはかつてのような悲しい出来事が今後ないように、責任を持って殿下の警護に当たってもらいたい」
宰相としては、腹の内はどうであれこれ以外に答える術はなかった。まさかクルトワを偽物ではないかなどと疑ったりすれば、それだけで「不遜だ」と糾弾されてしまうであろう。だが、彼の苦虫を噛み潰した表情はまだまだ続く。
「つきましてはクルトワ殿下のご希望をお伝えいたしまする」
ここからがオーノスに課せられた本題であった。これまでは前哨戦、だがオーノスの恨み辛みがこもった直球が相当に宰相の精神を削っているのは間違いない。
「クルトワ殿下は心配している家臣一同に一刻も早くそのお元気なお姿をお披露目いたしたいと望まれております。可能であらば本日中に、一同を集めた謁見を開いていただけるようとのお考えです」
「さすがに本日中というのは難しいと思われる。準備等もあるし、何よりも殿下がお疲れであろうから。こちらで日取りを決めて良き日を殿下にご提示いたす」
オーノスには宰相の胸の内が手に取るようにわかっている。なんやかんやと理由をつけてはクルトワを家臣一同に会わせないように算段するつもりであろうと。だが彼はここでムリに押し通そうとはしない。すでにオーノスの鬱憤は相当な部分を解消しており、なによりもフィリップから「殿下が早く家臣に会いたいと希望していると伝えるだけでよい」と固く念を押されているためであった。話のつまりは、クルトワの要望を確かに宰相に伝えたという事実があればよかったのだ。以降の宰相には美鈴によって手の平で転がされる運命が待っているだけだ。
「それでは確かにご報告申し上げました。失礼いたします」
こうしてオーノスは一礼すると、宰相の執務室を出ていく。彼の後ろ姿を見送ると、宰相は怒りをあらわにしてデスクにコブシを叩きつけた。ドンという大きな音が響くと、その表情は怒りで真っ赤になり体はブルブルと震えている。
「クソ、なんということだ。すぐにクルトワ殿下への対応策を講じるのだ」
このような大声が、部屋の前の廊下にまで響き渡るのであった。
◇◇◇◇◇
「美鈴様、副団長のオーノスが戻ってまいりました」
「首尾はどうでした?」
「想像以上に宰相は動揺していた模様でございます」
「いいでしょう。揺さ振りとしては申し分ないです。それではここで行う用件は終わりましたから、クルトワの本来の居場所に戻りましょうか」
「承知いたしました。騎士団の精鋭200名が護衛いたします」
魔王城内で本来のクルトワの居場所というのは、本館である魔王城中枢の宮殿裏手にあるプリナム宮と名付けられた魔王とその家族のプライベート空間であった。ここは魔王一家の他には使用人やメイド、警備陣だけが入出を許可されており、いかに身分の高い貴族であろうとも許しがない限りは一歩も足を踏み込めない場所となっている。現在仮に腰を落ち着けている親衛騎士団の兵舎からそちらに移ろうという美鈴の提案であった。
もちろん住環境はクルトワが拉致される以前同様に使用人たちが毎日整えているので、いつ戻っても問題はない。ということで、フィリップやエリザベスを先頭にして再び馬車に乗り込んで城内を移動する一行。警備担当の2百人はそのままプリナム宮の警護に残り、他の騎士団員は通常の業務に戻っていく。ちなみにここまでクルトワに同行してきた遠征部隊は、一旦兵舎に収容されてしばらくの間こちらで過ごすこととなっている。魔王城の兵舎は一万人を収容できる広大な施設なので、まだまだ人数には余裕があるのであった。
◇◇◇◇◇
移動に関しては、特に問題は発生しなかった。おそらく宰相はクルトワが戻ってきたという報告への対処で手いっぱいで、他に気を回す余裕がなかったのであろう。美鈴はこの辺のタイミングも見計らっていたようだ。
プリナム宮に到着した美鈴に率いられた一行は、何ら咎められずに宮殿に通される。というよりもクルトワの顔を一目見た使用人たちは、その無事な姿に涙を流して心からの歓迎をして出迎えるのであった。もちろんクルトワだけでなくてフード付きのマントを被った怪しい風体のデビル&エンジェルや、さらに怪しさ満点の天狐と玉藻の前も問題なく受け入れられている。この辺は警備がザルなのではなくて、クルトワの要望が最重要視された結果であった。
「桜、この壁に沿ってあれを置いてもらえるか」
「いいですわ、お兄様」
桜はアイテムボックスから取り出した豪奢な作りの椅子を2脚取り出すと、大広間の一段高くなっている場所に据え付ける。やけに年代物のクラシックな作りだと思ったら、実はこの椅子は日本の映画会社が古い城の撮影に用いた物であった。見栄えだけは豪華な装飾が施されているが、実はそれほど高価な品ではない。だがそれを見た使用人たちは、ヒソヒソと囁き合う。
「なんと豪華な椅子なんだろう」
「まるでこの大広間が謁見の間になったようですよ」
「クルトワ殿下がお座りになるんでしょうけど、それにしてもなぜ2脚あるのでしょうか?」
魔王城の豪華な調度品を見慣れている使用人たちも、映画の小道具とはいえ日本製の椅子に目を見張っている。この辺は両国の技術力の違いなのであろう。使用人たちの間では、もう1脚の椅子に一体誰が座るのかという噂でもちきりであった。
プリナム宮にひとまず落ち着いてから、一行は昼食を終えて応接室で茶を飲みながらリラックスしている。もちろんクルトワも一緒で、ここまで我慢してきたのを取り返そうとばかりに、桜から提供されたパフェを口にして怒涛の勢いで食べている。見るからにスプーンの動きが止まらないようで、食べ終わってからお代わりを要求する始末であった。先程まではクルトワの行動を高く評価していた美鈴は、黙々とスプーンを動かすクルトワの姿に苦笑を浮かべている。
そんな様子のクルトワを横目で見つつ、美鈴はフィリップとエリザベスに目配せする。二人は頷いて席を立つと、応接室を出ていく。そのまま護衛の騎士数人を引き連れて、魔王城の本館へと向かっていくのであった。
着々と魔王城での足元を固めていく美鈴たち、そんな彼女たちの行く手には… この続きは出来上がり次第お届けいたします。どうぞお楽しみに!
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