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6 チートなのはお互い様ですね

二話連続更新、ここで最後となります。

このあとは続編優先でのんびり更新となります。


姉川の戦い編・五話はこの六話あげるときに一緒に宣伝でいいかとこっそり上げたのに、見に来てくれた方が予想以上に多くて感激です。


ありがとうございます






 この姉川の戦いにおいて徳川軍と共闘することになった寧々子は、家康の側に控えていた。

 家康は準備が整った全軍をぐるっと見渡すと、一瞬目を閉じる。

 次に目を開いたときには、それまで寧々子が見てきたかわいらしい側面は一切消え、凛々しい雰囲気へと変貌した。


 それに驚いて息を呑んでいる間に、家康は皆に号令をかける。




「みな、信長様はこの戦の一番槍を盟友たる私に託してくださった。それは、私への信頼と期待がこめられていることに他ならない。そして、私はその期待に答えたい。 ……故に、みな、私に力を貸してほしい」

「おおー!」

「みなの奮戦に期待する。全軍、出陣!!」

「おおー!!」




 徳川軍の威勢のいい雄たけびが上がる。


 おお……と圧倒されている間に徳川軍は次々と前に出ていく。

 家康は徳川軍の大将であり、この姉川の戦いにおいては信長同様、敗走してはいけない総大将の一人なので一番後方で控えることになっている。


 家康は半分くらいの自軍が出たところを確認したところで忠勝に近づく。




「忠勝、味方を奮起させるのも含めて少しの間前線にて戦ってきてくれるかい? 味方の士気はあがるし、敵の士気にも少なからず影響を与えられるはずだ」

「承知」




 忠勝は二つ返事をすると、自身の手勢を率いて前線へと向かった。


 寧々子もついていくべきだろうかと、馬を走らせようとしたところを家康が制してくる。




「寧々子殿は私と共に」

「しかし私は微力故、こういうときに少しくらいお役に立たないと」

「いえ、あなたの出番はすぐあります」

「へ?」




 意味深な言い方をする家康を不審に思いつつ、言われたとおり馬を進めるのはやめる。


 そういえば先程、忠勝に前線へ出るように指示したときも、敵味方の士気を上げ下げするだけが目的ではない風な言い方をしていた。


 なにか策を講じているのかもしれない、と考えて大人しく家康の側へ控える。

 すると家康から会話を持ちかけられた。




「寧々子殿、まだ少し時間があるのでお話しましょう」

「いいんですか、そんなのんきで」

「余裕に構えていないと。大将なので」

「この戦、結構な被害で数多の血が流れたと記憶しているのですが」

「そうですねぇ。でもだからといって、慌てたり不安でいるのは大将として失格です。味方を不安にさせる要素でしかない。こうして堂々と余裕に構えていなくては」




 なるほど。やはり徳川という大きな軍を率いる立場にいるだけはある。


 この人は自称・神様である前に、一大将なのだなと実感する寧々子であった。




「半兵衛殿に言われて来たと言っていましたが、それは我ら徳川の力量を偵察にきたのでしょうか」

「意外にも今回はちゃんと合致していたんですね、意図の読み合い。そうです」

「先を知っている私としては複雑ですね。ここで追い返しておくべきとも考えます」

「それもそうでしょう。追い返しますか?」

「そうしたいところですが、こちらも秀吉側の勢力で不確定要素がありますのでこのままにしましょうかね」

「不確定要素?」

「あなたですよ」




 家康に言われて「え? なんで?」と率直に疑問を浮かべた。


 それを見て苦笑する家康。




「あなたは歴史を知る未来人ではありませんか。また、ねね殿の目的も果たそうとしていらっしゃるし、戦えるし信長殿含め結構重要な人物と縁があります。誰よりも脅威となるのは明白です」

「そんなことはないんですが。家康様が目的の遂行を邪魔しなければ、我々は敵となることはないと思うんですが」

「ではもしも、歴史改変のために私が邪魔になったとき、あなたはどうしますか?」




 ――まぁ、始末するかな。


 信長譲りの過激派発想である。


 寧々子が返事の言葉を飲み込んだことによって、家康は自分が予想した答えとの一致を察したのか「でしょう?」とにこやかに言う。




「私は乱世を終わらせなくてはいけませんからね。それをするために障害となる可能性があなたにはあるわけです」

「……お互いのためにここは引きあった方がいいのではないでしょうか」

「もっと早くその可能性に至るべきでしたね。もう逃げられませんよ」




 そういって家康は前方を指差す。

 すると、いつのまにか朝倉軍が目の前に現れていた。


 どうやら徳川軍の側面を突いて奇襲をかけてきた様子。


 朝倉軍の精鋭とおぼしき武将が数名見えた。




「奇襲!?」

「そうです。まぁすぐに忠勝が戻ってくるので問題ありませんが、せっかくです。寧々子殿、どうぞ」




 用意した舞台だぞ、みたいな意味であろうか。

 この時代の人はみんなサディスティックな趣味をお持ちなのか? というくらい急に無茶ぶりしてくる人が多くはないだろうか。


 苦笑いを浮かべる寧々子だが、敵にはこちらの都合など関係ない。


 敵は敵なのだ。


 寧々子は家康の期待に答えることにして、背負っている槍を構える。

 忠勝が戻る手筈になっているのであれば、家康に危害のない程度に敵を薙ぎ払えばいいと断定して寧々子は敵を全て倒すのではなく、交わすことにした。


 単身で奇襲してきた朝倉軍の元へ突撃していく。


 寧々子が単身で駆け寄ってきているのを目視した朝倉軍は「一人じゃねぇか」と鼻で笑い、連れの軍に対処を任せる。

 命を受けた朝倉兵士が自身に向かってくるのを確認すると、寧々子はギリギリまで近づいたあと馬をそのまま突撃させるように乗り捨て、上に高く跳ぶ。


 馬だけが突撃してきたので、それを避ける朝倉兵士。

 その背後に寧々子は降り立ち、軽く槍で一薙ぎする。


 油断していた朝倉兵士の屍が積み上がった。


 あっという間の出来事にそれを見ていた朝倉の武将は呆然とする。


 特に名のある武将ではなく、一兵士がやったことなのだからその反応も当然だろう。

 そういう虚をつけるという意味でも、寧々子のこの一兵変装は役に立つ。


 忠勝のように武名高く知れ渡れば、名前や顔だけで相手を恐怖させることもできるのでそれができないことは残念だが。



 そのままの勢いで、寧々子は朝倉軍を軽く薙ぎ払い、でも全員は殺さずに翻弄していく。









 寧々子が一人で朝倉軍を翻弄する光景を離れたところから見ていた家康はわりと驚いて目の前の光景にまじまじと食い入るように見ていた。




「――すごく戦慣れしている。少数とはいえ、精鋭たる朝倉の将を相手に一人で翻弄するとは。本当にねね殿はいい未来人を召喚されたようだ」




 家康は内心で言っているつもりなのだが、バッチリ声に出ている。

 しかし誰にも聞こえない、限りなく小さな声なので周りには聞かれてはいない。


 寧々子が戦う光景を見れば見るほど、家康の眼光は鋭くなっていく。




「これは、本当に私の障害とならないことを祈りたいな。 ……お」




 奇襲した朝倉軍の向こう側に忠勝の姿を確認して、家康は共にいた徳川軍にも挟み撃ちにする指示を出す。










「あ、忠勝殿が戻ってきた」




 朝倉軍を翻弄していた寧々子も前線に行った忠勝の戻りを確認して、一時後退する。


 寧々子が急に後退したことを不審に思った朝倉軍が後ろを見た途端。




「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!」




 雄たけびを上げて忠勝自慢の槍・蜻蛉切を一振りする瞬間だった。


 朝倉軍が、自分が斬られたことに気付いたころには、もう首と胴体は真っ二つである。


 その勢いのままみるみる朝倉奇襲軍を一掃してしまう忠勝。

 それを後退して見守っていた寧々子は「ほあーー」と気の抜けた声を上げた。


 本多忠勝は、寧々子の時代まで戦で傷一つつけられたことはなく、日ノ本一の勇士とも、東の本多忠勝、西の立花宗茂と天下無双の武将として並びたてられたとも言われている。


 歴史的噂にたがわぬ実力がある。

 やはり傷一つつかなかったという武将だけあって一人桁違いすぎる。




「これはずるくね……」

「ほんとうに、私には過ぎたる宝ですよ」




 後ろに控えていた家康が寧々子に再び声をかける。




「先程はお疲れさまでした。たった一人で朝倉の精鋭相手に翻弄するなど、なかなかですよ」

「いや……忠勝殿に比べれば全然。ところで、忠勝殿は能力者ではないのですか?」

「ん? ああ、あなたは召喚された側だから判別がつかないんですね。どちらだと思いますか?」

「能力者であってほしいチートぶりです」

「残念」

「えっ、あれ実力ですか!?」

「はい」




 いやまじでチートだろ。

 そりゃ乱世終わらせられるよ。



 大将は、能力者を統率・管理する神。

 家臣の一人に、傷一つついたことのない本当に強い天下無双の武将。



 字面ですでに無理ゲーがすぎる。豊臣家終わるな。

 これはもし私が救わなくてはいけない人が豊臣家に関わる人だったとき、豊臣家を生かすルートを模索するより、その人自身を生き永らえさせる手段を講じた方が賢明だと予測されるな。



 もはや自分の夫の家を守る気が薄くなっていく寧々子である。




「さぁ、奇襲軍も蹴散らしたことですし、このまま朝倉本陣まで攻め、信長殿の助勢に参ろうではありませんか」

「ええ、そうですね」




 寧々子と家康、忠勝も共に、徳川全軍の総力を持って朝倉軍へ攻め入る。


 織田軍は反対側から浅井軍を攻めており、今は両側をお互いせめぎあっている戦況。


 しかし織田・徳川軍が両端から攻めているためか、浅井・朝倉軍はどんどん横に伸びて行っている。

 そこに注目した家康。




「康政、半分の軍を率いて先程徳川本陣へ奇襲した朝倉軍が使用した道を利用し、側面から攻撃して」

「はっ! 殿。承知しました」




 のちの徳川四天王の一人・榊原康政に命じて、朝倉軍が仕掛けてきた奇襲を逆手にとって朝倉軍へ攻めさせる。

 すると挟み撃ちにされてしまった朝倉軍はみるみる瓦解し、あっという間に敗走してしまった。




「おお……。鮮やかなお手並みですね、家康様」

「このくらいは当然ですよ。寧々子殿も戦闘力だけでなく、戦術を鍛えるときっと後々にお役に立つかと。あっ、いや、学ばなくていいです」

「なるほど? ぜひ半兵衛に頼んでみることにします。後々役に立ちそうですからね」

「うう、今度は私が墓穴を掘ってしまった」




 徳川軍の朝倉攻めは完了し、残るは浅井軍のみとなったのだった。


読了ありがとうございました。

ブクマ・ptよろしくお願いします!


家康に分があるように感じられますが、武術経験有(現在進行形で極めている)・先のことを知っている・人脈がある・今は天才軍師がいる、これらの要素がある寧々子は家康からすれば十分な脅威ですよね。



姉川の戦い編、次がラストとなる予定です。

番外編、結構大事なポイントをぶちこんでしまったのでやはり本編にいれて再編集したい


続編もよろしくです!


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