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4 すべてを知る者

二話連続です!


どうも、戦国を終わらせた人だから徳川家康を不動のラスボスって感じに置いてみました。

寧々子同様、作者も動揺しています( ゜Д゜)

 朝倉軍の妨害を制し、信長が待つ竜ヶ鼻へと向かう寧々子と徳川軍。


 その道中に、寧々子の戦中の仮の姿である一兵士・はるの正体が寧々子であることを知っている家康へ知ることになった経緯を聞き出す。


 そこで誰にもこの件は話していない、今後も話す予定もつもりもないと言われたものの、先の歴史を知っている寧々子としては複雑な気持ちでいたところ、家康も秘密を伝えるので取引という形でどうか? と申し出がある。


 家康の申し出に合意し、その肝心の秘密を聞いた寧々子は思考が停止していた。


 返事もなければ全く表情が動く様子もなく、それどころか固まっている寧々子に家康が「おーい」と小声で言いながら寧々子の眼前に手を振りかざしたりする。




「ねね殿、聞こえました?」

「――はっ。すみません。動揺が激しすぎて今、私の時間が止まりました」

「あれは動揺なのですね。全然動かないので、もしかして聞こえていなかったのかなと心配しました」

「聞こえていなかったら逆にすぐに反応があります」




 確かに、寧々子の前世・現代において徳川家康は日光東照宮で神として崇められている。

 でもそれは、死後の話である。

 東照宮を建てること自体は命じていてもおかしくないが、こんな、若いときから神になる気でいたのだろうか。

 いや、というか今いくつだ。




「家康殿、今、おいくつでありますか?」

「歳ですか? もうすぐ三十路となります」




 三十路手前なのにこの可愛さは罪だろ。

 いや、そこじゃない。

 自分は神なんです、とか言い出すあたり実はやばい人なのか。




「もしかして、三十路手前の男がどんな戯言を言い出しているのか、とか考えています? 気持ちは分かるので、これ言うのとても恥ずかしいです」

「気持ちが分かってしまうのですね。秘密、として信じるのが難しい秘密ですね。そもそもなぜご自身を神だと?」

「それが私にも何と言っていいか、分からないんです。人質生活を送っていた間にそれを自覚した、というか。でも、神だからといって僕自身に特別な能力がついているわけではないので、多分、管理・統率、が役割なのではないかと思います」

「なんのですか?」

「この時代に生まれている能力者たちの、ですね」

「!?」




 能力者という単語に、二度めの衝撃を受ける寧々子。


 一気に情報過多がすぎて思考が追い付かない。


 それでは何か。

 能力者的には、ねねさまや半兵衛の上司に当たるのが徳川家康ということだろうか。


 しかしそれなら半兵衛が家康に、隠すこともなくさらりと寧々子が戦場に出ていることを話したことにも合点がいく。

 もしや、戦前に半兵衛と話しをしたというのも、実は力を使って消耗している半兵衛に何かしら回復の術か逆に罰でも与えたりしに訪れて、その流れで知ったと言うことだろうか。




「半兵衛殿と直に接触したのは先日が初めてでしたが、半兵衛殿が能力者であることを私は知っていました。逆に、半兵衛殿も私の正体をご存じでした。能力ゆえですかね。あ、この前の金ヶ崎撤退戦において、運命変えの術を行使したことも知っています。そういった情報はどういう仕組みなのかはわかりませんが、いつのまにか入ってくるのです」

「……お待ちください。ということは」

「ええ、あなたのことも無論。本名は、寧々子、殿でしたか?」




 お、お、おねねさまー!!

 半兵衛よりも質の悪い、厄介な存在が目の前にいるんですけどこれは、これはいいんですか!?

 これ、ここで始末しておいた方が良くないですか!?




「あ、ねね殿を起こそうとするのは無駄です。能力者同士は反応しますが、私は神さまなので自分の気配を消すことができます。なので眠っていると思います」




 こ、こいつ、思考が読めるのか!?


 もはや動揺することしかできなくて考えることを放棄してしまいそうな寧々子である。


 こういう本当に肝心なところでねねさまは現れない。




「ハハッ、なんだかおもしろいですね。未来人の女性とは皆、そのように豊かにコロコロと表情を変えるものなのですか? この時代では本心を隠すために作り物の顔をするのが常なのでとても新鮮です。信長殿が気に入るのも理解できます」


「こちらは心臓が止まりそうなほど焦っております……」


「すみません。その様子だと、ねね殿は私のことを話さなかったのですね。だからさきほど治殿がねね殿であることを口外しないと言った時に難色を示したのですね」


「知っていたら、取引成立だと勝手に納得してそれ以上何も話さないです。聞いていません……なにも」




 ほんとに、また話す機会ができたらねねさまを正座させて問い詰めておきたいくらいだ。

 というか、半兵衛も教えてくれてもよくないだろうか。

 なぜ接触しろ、などという遠回しなことを言ってきたのか。



 どう考えても叶うわけの無いラスボスを相手にしている心地だ。

 チートがすぎる。


 豊臣家が滅んだのも納得の二文字しか浮かばない。




「しかし、私にできるのは先程も言ったように管理と統率だけです。私自身にはその謎の仕組みで情報が入ってくること、それによって誰がどの能力があっていつどれだけ行使したか履歴が見られる感じですね。あとは悪用する人がいれば剥奪、逆に何もない者が望むなら与えることができます」




 ――うん、神様だ。

 気まぐれでないところだけしっかりしている神様という感じ。

 というか能力者にとって、神、のような能力、と考えるべきでは。


 などと寧々子は思案するが、結局死後神様になっているので神様と断言してもおよそ間違いではないのだろう。

 逆に、こういう能力を持っていたから死ぬ前に自分を奉るようにお堂を建てる指示などをした、とも考えられる。

 それならば、大分、神であることに驕っているようにも感じる。


 徳川家康、ねねさまの望みを叶えるのに本当に邪魔にならないのだろうか。


 しかし実際邪魔をしてきたとして、何か打つ手があるのだろうか。

 家康自身が無力なのだとしても、家康は力ある者を知っており、人徳もある。

 逆に何もない者にも与えることができるのなら、大量の兵器を量産できるということ。

 それは結局、力があるのと同じだ。




「いろいろ思案されていますね。ねね殿はよい未来人を連れてこられたのですね」

「お褒めに預かり、恐悦至極?」

「……それはもしや、敬っている態度なのでしょうか? おやめください。この身は普通に人間ですので、人と接するのと同じで構いません」

「そこはいいんですね。 ……私の正体を知っているのなら、ねねさまの目的も知っているのですか?」




 寧々子は最も重要である核心に触れた話題を振ってみる。

 これにちゃんと答えるのであろうか。


 不安になりながらも続きを待っていると家康は一瞬キョトンとした表情をしたのちに、




「知っていますね」




 と、さらりと答えた。


 あまりにも、肝心なことを隠す様子もなく、嘘をつく様子もない家康に寧々子は毒気を抜かれそうだった。

 半兵衛にいろいろ隠し事をしていることが馬鹿らしく感じてくるくらいだ。




「許可、したのですか?」

「はい。私としても徳川の、平和な世を一年でも長くするためにその者の存在があればよいなと考えていました。結局叶いませんでしたが」

「ということは、家康様もねねさまと共にやり直しに来たと言うことですか!?」

「そうです」




 では、味方と考えていいのだろうか。

 正直、ちまちまひそかな味方を募るよりも徳川という大きな勢力の、しかも総大将の協力を得られるならそこらの人間よりはるかにいい。


 これは、今回の家康との接触は大きな収穫になったのではないだろうか。


 というか、当初の、治がねねである、という秘密とは比べ物にならないレベルの秘密を聞いてしまったし、自分やねねさまのことを知っているのならこれもはや取引とかいう話ではない。


 ん?

 むしろ、これ、やはり取引になっていないよな?




「家康様。その情報は当初の取引など成り立たぬくらい大きい情報な上に私はあなたに新たな弱みを握られています」

「新たな弱み?」

「半兵衛には、私が寧々子であることをまだ話していません」




 ・・・。




「えっ!? そうなんですか!?」

「そうなんです!!」

「てっきり全部知っているのかと。あ、だから評価が扱いにくい人なんですね」




 そこで全て合点がいったかのように拳をもう片方の空いている手でポンと叩く家康。


 寧々子はそれを見て頭を抱えた。


 そもそもの前提情報にお互いの違う思い込みがあるではないか。




「ということは、寧々子殿は今兵士の正体以外に、半兵衛殿に未来人であることを知られていない? ふむ。では寧々子殿は私の秘密を誰にも話さぬという約束で両方の取引、手を打とうではありませんか」

「能力者にも悟られないのですよね? 家康様のことは」

「はい。私は基本この神の気配を殺していますので」

「なら成立します、よね」




 思考があまり追い付いていない気がして、これはほんとに成立するのか疑心暗鬼に囚われてしまうが、とりあえず家康の正体を誰に告げないうちは大丈夫だろう。

 少なくとも半兵衛が知っているのであれば、話す相手はいるのだし。



 情報量の多い会話をしている間に織田軍が遠目に見えてくる。

 どうやら合流のようだ。




「そうだ、寧々子殿」

「はい?」

「全部知っているのに、武器庫ではいじわるなことを聞いてすみませんでした」




 武器庫でのいじわるな質問?


 あ、城が戦場になったらとかいうあれだろうか。




「いえ、平気です。それにあれは本心ですから」




 そういうと寧々子は家康との間に距離を置く。


 もう織田軍の陣営はすぐそこだ。

 お迎えの役割は果たしたし、新たに大きな情報を得たこと以外はほんとに行く意味があったのかと言われるくらいなにもしていない。

 もはや自分はここには不要だろうと考えて、家康だけでなく徳川軍から離れる。


寧々子は木下隊のいる場所へ馬を走らせた。


読了ありがとうございます。

ブクマ・ptよろしくお願いします!


ほんとにこれ、再編集して書き直さないとアカンなとひしひし感じる内容の濃さになってきた。


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